恋ってウソだろ?!

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恋ってウソだろ?! 26

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「着物ショーは女優の中川アスカ、南澤奈々氏をメインに考えておりますが、ここでメンズ着物への注目度をあげるために、男性モデルだけでなく、文化人やスポーツ界などからもご協力を仰ごうと考えています。リストアップした中から数名の方にに参加していただき……」
 ベビーフェイスで年齢より若く見られるのを気にしている浩輔だが、今日はスーツに身を固め、年配の社員たちを前に、よどみなく話を進めていく。
「それからイベントのひとつとして考えているのが、お茶を点てて振舞うというものです。ここでもメンズ着物に注目していただくために、男性の師範の方にお願いする予定です。そしてもうひとつは、体験着物です。これには着付けのプロをお願いしなくてはなりませんが、会場で希望者を募り、その場で着物を着ていただくわけです」
 浩輔の説明があらかた終わると、リストに佐々木の名前を見て、小夜子が真っ先に聞いた。
「佐々木先生、本当にお願いできますの?」
「私でよろしければ、ご協力させていただくつもりです」
 本音は不承不承だが、浩輔の顔を潰すわけにもいかないだろう。
「まあ、何だか楽しいイベントになりそうですわね」
 小夜子の天然の笑顔に気圧されながら、プレゼンはつつがなく終わり、大和屋の面々にも好印象が得られたようだった。
「何と言っても佐々木さんですよ」
 大和屋を出るなり、興奮気味に浩輔が言った。
「佐々木さんが着物でお茶を点てるってとこに、皆さん納得してましたよ」
「しかし、そううまくいくやろか」
 佐々木としては今一つ不安なものがある。
「いくに決まってますよ。当日は佐々木さんはお茶を点ててくださるだけでいいんです。メンズ着物もですけど、やっぱ、お年頃の女の子の興味を引くってところも大事な要素で」
「俺は客寄せパンダか? まあ、ええけどねぇ、浩輔ちゃんのたっての頼みなら」
「まあまあ」
 二人は約束どおり、青山プロダクションに向かう前に、馴染みの店に入った。
 佐々木は久しぶりに浩輔と一緒に食事をしながら、にこやかに浩輔を見つめていた。
「どうしたんですか?」
「浩輔もいっぱしのもんになったなぁて、俺は嬉しいよ」
「やだな、何ですか、年寄りくさいこと……」
「いや、俺も年を取るわけやね」
 天丼をつつきながら佐々木が言うと、浩輔が首を傾げる。
「逆ですよ、何だか今日、佐々木さん、若くなったって言うと変だけど、いつも以上に溌剌とした感じ? リフレッシュしたっつーか、何かありましたか?」
「はあ?」
 いきなり浩輔にそんなことを言われて、佐々木はドキリとする。
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