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別れと再会
友人との再会
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前にここを通った時はジュビエール達と共にいた。咎められるどころか、頭を下げられたものだが。
次は誰が出て来るだろうか。
冬の太陽は柔らかな日差しを振りまいているはずなのに、私の頭に熱が上がっていく。後頭部を流れる汗を感じた。これまでとは違う意味で早くなる鼓動を、姫も感じてしまうだろう。
クラムが私の心情を読み取ったように、更にゆっくりと城門に近づいていく。
カミュートは目の前だ。
辺りを見渡せば、国境門を行き交う兵士は皆カミュートの者のようだ。その兵士たちの間をぬって、門まで進んでいく。
「通して、もらえるか?」
門の見張りは若い兵士だった。
「は!どうぞ、お通り下さい!」
ガクッと力が抜けるのを感じる。ジュビエールのマントか、騎乗していることか、それとも誰が来ても通す命令か、門の見張りの態度に呆れ果てた。
これでは見張りとして、何の意味もないだろう。
私たちは呆気なく、国境を越えた。
国境を越えてしばらくは、都に向かう道を進んでいく。そして周りにカミュート兵がいなくなったことを確認すると、私は方向を変えた。
「アイシュタルト?どうしたのですか?」
「姫。行き先は都ではありません。しばらくその身を隠す為、一緒に来ていただきたい場所があります。」
「え、えぇ……わかりました。アイシュタルトが連れていって下さるのですから、どちらでも大丈夫です。」
姫の了承を得て、私が向かうのは地図から消えた村。サポナ村だ。
壊れた建物の影にクラムを隠すように繋ぎ、姫を抱き上げ、村の奥でたった一軒、綺麗な形を保ったままの家の前に立つ。
「姫、少し離れていて下さい。」
私からほんの少し距離をあけたところに姫を降ろし、剣を構え、扉に手をかけた。
ギィ、と扉を軋ませながら、ほんの少しだけ開ける。
バタン!大きな音を立てて一気に開かれた扉の奥から、剣が降りかかってきた。
剣同士が大きな音を立ててぶつかり合う。何度も打ち合っているうちに剣の筋に、つい懐かしさを感じて、楽しさすら浮かんできた。
「おい!二人とも何やってるんだよ!見つかるって、早く入れよ!」
ステフのはるか後方から、私の正体に気づいたルーイが大きな声を上げる。肩越しに見える茶色い頭がなんとも懐かしい。
「ふふ。」
「ククッ。」
「兄さんに、怒られてしまいました。」
私たちは剣を納めて、顔を見合わせて笑い合った。
「ステフ、ルーイ。久しぶりだ。」
「おぅ。」
「はい。お久しぶりです。」
「ルーイの提案に乗って、お連れした方がいる。」
私は一度家の外に出て、姫の手を取り、一緒に家の中に入る。
「アイシュタルト、その人って?」
「シャーノ国第一王女。クリュスエント様だ。」
私の言葉に、隣に立っていた姫が軽く頭を下げられた。フラつくこともなく、優雅に振る舞っていらっしゃるのはさすがである。
姫の紹介に、ルーイもステフも慌てて膝をついた。
「本当に連れてきたの?!」
「兄さん!王女様の御前だよ!」
膝をついても、言葉遣いは変わらぬルーイにステフが顔色を変える。
「わ、わかってるけど……」
「アイシュタルト、この方たちはどなたですか?」
「この二人は、私と共に旅をしてくれていた……友人です。」
二人のことをそのように紹介することを照れ臭く思う。
「アイシュタルトのご友人……お二人とも、姿勢を直して下さい。」
姫が二人にそう声をかけると、二人が恐る恐る立ち上がるのが見えた。
「初めまして。ご挨拶が遅れました。シャーノ国王女、クリュスエントでございます。」
本来ならば下の者から挨拶すべきところを、敢えて姫が順序を破ってくださる。
私の友人二人へ、敬意を払ってくださることがわかった。
姫の心遣いを嬉しく思う。
「ルーイです。」
「ステフと申します。」
二人と顔を合わせて、姫が優しく微笑んだ。
次は誰が出て来るだろうか。
冬の太陽は柔らかな日差しを振りまいているはずなのに、私の頭に熱が上がっていく。後頭部を流れる汗を感じた。これまでとは違う意味で早くなる鼓動を、姫も感じてしまうだろう。
クラムが私の心情を読み取ったように、更にゆっくりと城門に近づいていく。
カミュートは目の前だ。
辺りを見渡せば、国境門を行き交う兵士は皆カミュートの者のようだ。その兵士たちの間をぬって、門まで進んでいく。
「通して、もらえるか?」
門の見張りは若い兵士だった。
「は!どうぞ、お通り下さい!」
ガクッと力が抜けるのを感じる。ジュビエールのマントか、騎乗していることか、それとも誰が来ても通す命令か、門の見張りの態度に呆れ果てた。
これでは見張りとして、何の意味もないだろう。
私たちは呆気なく、国境を越えた。
国境を越えてしばらくは、都に向かう道を進んでいく。そして周りにカミュート兵がいなくなったことを確認すると、私は方向を変えた。
「アイシュタルト?どうしたのですか?」
「姫。行き先は都ではありません。しばらくその身を隠す為、一緒に来ていただきたい場所があります。」
「え、えぇ……わかりました。アイシュタルトが連れていって下さるのですから、どちらでも大丈夫です。」
姫の了承を得て、私が向かうのは地図から消えた村。サポナ村だ。
壊れた建物の影にクラムを隠すように繋ぎ、姫を抱き上げ、村の奥でたった一軒、綺麗な形を保ったままの家の前に立つ。
「姫、少し離れていて下さい。」
私からほんの少し距離をあけたところに姫を降ろし、剣を構え、扉に手をかけた。
ギィ、と扉を軋ませながら、ほんの少しだけ開ける。
バタン!大きな音を立てて一気に開かれた扉の奥から、剣が降りかかってきた。
剣同士が大きな音を立ててぶつかり合う。何度も打ち合っているうちに剣の筋に、つい懐かしさを感じて、楽しさすら浮かんできた。
「おい!二人とも何やってるんだよ!見つかるって、早く入れよ!」
ステフのはるか後方から、私の正体に気づいたルーイが大きな声を上げる。肩越しに見える茶色い頭がなんとも懐かしい。
「ふふ。」
「ククッ。」
「兄さんに、怒られてしまいました。」
私たちは剣を納めて、顔を見合わせて笑い合った。
「ステフ、ルーイ。久しぶりだ。」
「おぅ。」
「はい。お久しぶりです。」
「ルーイの提案に乗って、お連れした方がいる。」
私は一度家の外に出て、姫の手を取り、一緒に家の中に入る。
「アイシュタルト、その人って?」
「シャーノ国第一王女。クリュスエント様だ。」
私の言葉に、隣に立っていた姫が軽く頭を下げられた。フラつくこともなく、優雅に振る舞っていらっしゃるのはさすがである。
姫の紹介に、ルーイもステフも慌てて膝をついた。
「本当に連れてきたの?!」
「兄さん!王女様の御前だよ!」
膝をついても、言葉遣いは変わらぬルーイにステフが顔色を変える。
「わ、わかってるけど……」
「アイシュタルト、この方たちはどなたですか?」
「この二人は、私と共に旅をしてくれていた……友人です。」
二人のことをそのように紹介することを照れ臭く思う。
「アイシュタルトのご友人……お二人とも、姿勢を直して下さい。」
姫が二人にそう声をかけると、二人が恐る恐る立ち上がるのが見えた。
「初めまして。ご挨拶が遅れました。シャーノ国王女、クリュスエントでございます。」
本来ならば下の者から挨拶すべきところを、敢えて姫が順序を破ってくださる。
私の友人二人へ、敬意を払ってくださることがわかった。
姫の心遣いを嬉しく思う。
「ルーイです。」
「ステフと申します。」
二人と顔を合わせて、姫が優しく微笑んだ。
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