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第一章 保護されました
第十九話 向き合うこと
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とうとう、私の思いの丈を告げることができた。これで、ライト様もオリアナ様も喜んでくれるはず。
そう思って顔を上げた私は、お二人のどこか苦しそうな表情にギョッとする。
「僕達は、そんなつもりで君を引き取ったわけじゃないよ」
「私達は、あなたに幸せになってもらいたかった。ただそれだけなのよ」
そんな予想外の言葉に、私は何を返せば良いのか分からなかった。
「ミオ姉。ミオ姉が僕達に幸せになってほしいと思うのと同じくらい、僕達だってミオ姉に幸せになってほしいんだ」
「ケイン……」
ライト様やオリアナ様、そして、ケインの言葉は、全く考えてもみなかったことだ。
「ミオ姉が恩返しをしたいっていうのは分かるけど、それでミオ姉が不幸になったら、僕達も不幸になるんだ。僕達もミオ姉が大切なんだから……」
いつの間にか、自分が大切に思われている。確かに、粗雑に扱われた記憶はないが、それでも、私はライト様やオリアナ様にとってはお荷物であり、ケイン達にとっては、自分達の立場を脅かす存在として見られていてもおかしくないと思っていた。
「大切……」
ついつい、オウム返しにしてしまった私は、悪くないと思う。
「そうだよ。僕も、オリーも、ケインやルキウス、それに、ここの使用人達も皆、ミオのことが大切なんだ」
ライト様にまでそう言われてしまえば、否定などできなくなる。
そして、それと同時に、私は一つのことに思い至る。
そっか……一線を引いていたのは、皆じゃなくて、私の方だったんだ……。
大切にされていても、大切にされるわけがないと、慕われていても、それは一時的なものだと、どこか、諦めていた。
「ミオ姉、僕は、ミオ姉が幸せになれないような奴に、ミオ姉を渡したくない」
そう言い切ったケインの瞳はとても真剣で、きっと、以前までの私ならば『姉離れができていない』くらいの感想しか抱かなかっただろう。
しかし、今なら、それは私を大切に思っているからこその言葉なのだと、しっかり理解できた。
「もし、これからお見合いの話があったとしても、ミオが嫌なら断って構わないんだ。むしろ、僕はまだまだ嫁になんて出したくないっ」
「男親は、娘が可愛いですからね。ですが、私も同じ。まだミオは、幼いままに育たなかった心があると思うの。だから、ゆっくり成長しましょう。結婚とか、そういった話はその後でも遅くはないわ」
『幼いままの心』。それはきっと、ずっとずっと、受け入れられるわけがないと拒絶し続けた、幼稚な心のこと。そして、ようやく愛情を受け入れられるようになったばかりの、まだまだ成長するだろう心のこと。
私はこの日、初めて、自分の心と向き合った気がした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お知らせ!
『黒板の怪談』完結しましたっ。
もし良ければ、読んでみてくださいm(_ _)m
投票もしてもらえたら嬉しいです♪
そして、完結したので、この作品も少しずつ更新していきますね!
そう思って顔を上げた私は、お二人のどこか苦しそうな表情にギョッとする。
「僕達は、そんなつもりで君を引き取ったわけじゃないよ」
「私達は、あなたに幸せになってもらいたかった。ただそれだけなのよ」
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「ケイン……」
ライト様やオリアナ様、そして、ケインの言葉は、全く考えてもみなかったことだ。
「ミオ姉が恩返しをしたいっていうのは分かるけど、それでミオ姉が不幸になったら、僕達も不幸になるんだ。僕達もミオ姉が大切なんだから……」
いつの間にか、自分が大切に思われている。確かに、粗雑に扱われた記憶はないが、それでも、私はライト様やオリアナ様にとってはお荷物であり、ケイン達にとっては、自分達の立場を脅かす存在として見られていてもおかしくないと思っていた。
「大切……」
ついつい、オウム返しにしてしまった私は、悪くないと思う。
「そうだよ。僕も、オリーも、ケインやルキウス、それに、ここの使用人達も皆、ミオのことが大切なんだ」
ライト様にまでそう言われてしまえば、否定などできなくなる。
そして、それと同時に、私は一つのことに思い至る。
そっか……一線を引いていたのは、皆じゃなくて、私の方だったんだ……。
大切にされていても、大切にされるわけがないと、慕われていても、それは一時的なものだと、どこか、諦めていた。
「ミオ姉、僕は、ミオ姉が幸せになれないような奴に、ミオ姉を渡したくない」
そう言い切ったケインの瞳はとても真剣で、きっと、以前までの私ならば『姉離れができていない』くらいの感想しか抱かなかっただろう。
しかし、今なら、それは私を大切に思っているからこその言葉なのだと、しっかり理解できた。
「もし、これからお見合いの話があったとしても、ミオが嫌なら断って構わないんだ。むしろ、僕はまだまだ嫁になんて出したくないっ」
「男親は、娘が可愛いですからね。ですが、私も同じ。まだミオは、幼いままに育たなかった心があると思うの。だから、ゆっくり成長しましょう。結婚とか、そういった話はその後でも遅くはないわ」
『幼いままの心』。それはきっと、ずっとずっと、受け入れられるわけがないと拒絶し続けた、幼稚な心のこと。そして、ようやく愛情を受け入れられるようになったばかりの、まだまだ成長するだろう心のこと。
私はこの日、初めて、自分の心と向き合った気がした。
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