縁カウンセラー朝日奈恋九郎 〜愛と運命を導くタロット〜 ②焦げた青が星になる夜《星(The Star)/XVII》神崎 璃々花
《星(The Star)》――希望は、夜の底から生まれる。
美大の学生・神崎璃々花は、恋人だった男に作品を盗まれ、賞まで奪われた。
「君は下塗りが上手い」と嘲笑われた言葉が、今も手を震わせる。
筆を持つと、線が灰色に崩れてしまう。
描けない。眠れない。食べられない。
色を失った心は、由比ヶ浜の水際で固まり、風も光も拒んでいた。
そこで出会うのが、円城あかり。
もう一度“呼吸”を取り戻すために手を伸ばし、
彼女をKokū Counselingへ連れていく。
迎えるのは、縁カウンセラー・朝比奈恋九郎。
穏やかで、海風のように透明な目を持つ男。
彼は璃々花の乱れた呼吸と沈んだ瞳を見て、静かにタロットを開く。
――《星(The Star)》正位置。
「星は、夜しか見えません。
あなたはいま、夜の真ん中にいるだけです」
恋九郎は“慰め”ではなく“行動”を出す。
十五分だけ青を描くこと。
五つの光を探すこと。
窓を拭き、筆を洗い、風を通すこと。
それは「縁を動かす」ための小さな儀式。
あかりの温かい茶と海の匂いが、璃々花の心の層を少しずつ溶かしていく。
やがて彼女は、風の中で再び筆を動かし始める。
恋九郎を“風”として描いた絵『風を描く人』は、SNSで反響を呼び、
その光はやがてギャラリーのキュレーターをも惹きつける。
だが、そこに再び現れる“影”。
かつての恋人・久我遼による中傷と盗作疑惑の拡散。
古い傷が疼き、心が凍りかけた瞬間──
恋九郎の言葉が届く。
「影は、光を恐れるだけです。
あなたの青は、もう奪えません」
璃々花は“影”を描き、そして乗り越える。
真実が明らかになると同時に、彼女の青は痛みから希望へと変わり、
ギャラリーの評価は彼女を新たな創作プログラムへと押し上げる。
「怖いけれど、行きます」
歩き出した彼女へ、恋九郎は窓を少しだけ開けて告げる。
「行きたい場所へ、行きなさい。
風は、いつでもあなたの背中に吹きます」
璃々花は星のカードを胸に、新しい空へ飛び込む。
彼女が選ぶ未来は、もう“奪われた光”ではなく、
自分で見つけた“描く力”そのものだった。
――星は、自分の行きたい場所を選ぶ。
その真理が、静かに読者の胸にも灯る章。
美大の学生・神崎璃々花は、恋人だった男に作品を盗まれ、賞まで奪われた。
「君は下塗りが上手い」と嘲笑われた言葉が、今も手を震わせる。
筆を持つと、線が灰色に崩れてしまう。
描けない。眠れない。食べられない。
色を失った心は、由比ヶ浜の水際で固まり、風も光も拒んでいた。
そこで出会うのが、円城あかり。
もう一度“呼吸”を取り戻すために手を伸ばし、
彼女をKokū Counselingへ連れていく。
迎えるのは、縁カウンセラー・朝比奈恋九郎。
穏やかで、海風のように透明な目を持つ男。
彼は璃々花の乱れた呼吸と沈んだ瞳を見て、静かにタロットを開く。
――《星(The Star)》正位置。
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あなたはいま、夜の真ん中にいるだけです」
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十五分だけ青を描くこと。
五つの光を探すこと。
窓を拭き、筆を洗い、風を通すこと。
それは「縁を動かす」ための小さな儀式。
あかりの温かい茶と海の匂いが、璃々花の心の層を少しずつ溶かしていく。
やがて彼女は、風の中で再び筆を動かし始める。
恋九郎を“風”として描いた絵『風を描く人』は、SNSで反響を呼び、
その光はやがてギャラリーのキュレーターをも惹きつける。
だが、そこに再び現れる“影”。
かつての恋人・久我遼による中傷と盗作疑惑の拡散。
古い傷が疼き、心が凍りかけた瞬間──
恋九郎の言葉が届く。
「影は、光を恐れるだけです。
あなたの青は、もう奪えません」
璃々花は“影”を描き、そして乗り越える。
真実が明らかになると同時に、彼女の青は痛みから希望へと変わり、
ギャラリーの評価は彼女を新たな創作プログラムへと押し上げる。
「怖いけれど、行きます」
歩き出した彼女へ、恋九郎は窓を少しだけ開けて告げる。
「行きたい場所へ、行きなさい。
風は、いつでもあなたの背中に吹きます」
璃々花は星のカードを胸に、新しい空へ飛び込む。
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――星は、自分の行きたい場所を選ぶ。
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