婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

サテュロスゲットの旅 35

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何度も並んで己の食欲を満たそうとするフレイを見ました。多くの隊員達がおかわりしてお腹が満たされていくうちに笑顔になってく様は何となく気分が良くなりました。やっぱりご飯が美味しいって大事ですよ。デザートにと出したイチゴも皆笑顔で摘まんで……

「あ~美味しかった!」

アニスが満足そうにお腹を擦って呟くから、何かおかしくってクスリと笑ったらムゥ……とホッペタ膨らませました。

「ゴメンゴメン。でも余程だったのね。食べる前は笑顔なんて無かったもの、食事が豊かって大事だと痛感したわ。」

「はぁ……」

「この先も街に泊まる事はあると思うの。まだまだ領地中に新しい料理とか広まってないから、塩味だけってのは仕方ない事だと思うし覚悟するしかない。だから、その分翌日の食事は多めに作る事になったの。」

「そうですね……そうなんですか。まだ、どこかの街に泊まる予定なんですね。」

「ええ、その予定だと思うわ。帰りの事を考えても、やはりどこかで泊まる予定だと思ってるの。」

「帰り……」

「まだ寒い季節だからあちこちの料理人に領都まで来させるのは不憫だと思ってるの。温かくなったら多くの者に料理を教えて、食生活を豊かにしたいと思ったの。」

「素晴らしいお考えです!どの街でも美味しいお料理が食べれるようになったら多くの領民は喜ぶと思います。」

「ありがとうアニス。貴女がそう言ってくれると心強いわ。」

フンスと鼻息荒く握り拳で瞳を輝かせる姿は何だか可愛らしくて心がポカポカしてくる。やる事がどんどん増えてる気がするけど、領民の幸せに繋がると思えば頑張るしかない。使われた食器は既にクリーンの魔法でピッカピカになって積まれてる。その食器をドンドン収納にしまい込んでいく。

「エリーゼ様のお考えはとても大事ですし、領民にとっても良い事です。」

「ええ、アニスも覚悟してね。温かくなったら忙しくなるわよ。」

次々と運ばれる食器や調理道具。使いかけの調味料。それらを片っ端から収納していく。

「さて、片付けもそろそろ終わるからタマ達と一緒に馬車に向かって頂戴。」

「はい。」

力強く頷き、私に一礼して私の側から離れて行く。向かう先にはルークとタマ達カワイコちゃん達。

「こちらで最後です!」

ドン!と置かれた様々な鍋を収納する。

「これで全部しまえたわね。それじゃあ、私は行くわ。」

「はい!ありがとうございました!」

確認して台から離れ、ルークの元へ歩き出す。さあ、午後は元気一杯だろう。今日の晩ご飯を考えながら行こうっと!
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