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「仕事が遅い」「のろま」「要領が悪い」
そう言われ続け、部署をたらい回しにされた男爵令嬢リア。
最後に送られたのは、王立文書院の窓際部署だった。
与えられた仕事は、古文書や設計図の複写。
一枚に三日。
けれどリアが写したものには、一つの間違いもなかった。
そんなある日、失われた古代文明の魔法陣を複写したリア。
最後の線を描いた瞬間――
動くはずのないアーティファクトが起動した。
「君は遅いんじゃない。正確すぎるんだ」
そう告げたのは、古代文明を研究する第三王子エリック。
失われた冷暖房、冷蔵庫、照明――古代の技術が、リアの手で次々と蘇っていく。
そして彼女が願ったのは、自分と同じ「のろま」と呼ばれている人たちを集めること。
これは、のろまと笑われた令嬢が、誰よりも正確な才能で王国を変えていく物語。
文字数 3,546
最終更新日 2026.08.11
登録日 2026.08.11
婚約破棄を告げられた伯爵令嬢エレノア。
けれど彼女は、相手の顔を見ても首をかしげるだけだった。
「失礼ですが……どちら様でしょう?」
重度の近眼ゆえに、婚約者の顔すら判別できなかったのである。
社交より研究が大好きな彼女は、婚約解消をあっさり受け入れ、魔導工学の研究へ没頭する日々を送ることに。そんなある日、王立図書館で出会った謎の青年リヒトの何気ない一言から、世界を変える大発明への道が開かれていく。
やがて誕生するのは、人々の人生を一変させる「魔導レンズ」。
見た目や噂だけで彼女を切り捨てた者たちが後悔する頃、エレノアの隣には、最初から彼女の価値を見抜いていた人物がいた――。
天然研究者令嬢が恋も夢もつかみ取る、ほのぼのラブコメファンタジーです。
文字数 9,587
最終更新日 2026.08.09
登録日 2026.06.24
「鍋や包丁なんざ、鍛冶じゃねぇ」
そう言われ、鍛冶師クララは工房を追われた。
彼女が作ってきたのは、華やかな武器でも、貴族が欲しがる装飾品でもない。
村人が毎日使う鍋、農具、道具――人の暮らしを支える品々だった。
彼女は師をみつけ、やがて国を代表する鍛冶師に。
しかし時代は変わった。
戦争により、力ある武器を作れる鍛冶師こそが一流。
戦いに役に立たない鍛冶を国家は疎むようになる。
そしてクララは、国家反逆の罪まで着せられ、すべてを失う。
だが、彼女の技術を本当に知る者たちはいた。
最後の弟子リュートは、師匠が残した「ものづくりの心」を胸に、新たな道を歩み始める。
壊れた道具を直し、
村の不便を解決し、
誰も気づかなかった価値を形に変えていく。
やがて人々は気づく。
本当に国を支えていたのは、戦うための武器だけではなかったのだと。
これは、追放された鍛冶師と、その意志を受け継いだ弟子が、
忘れられた職人の力で世界を変えていく物語。
文字数 58,725
最終更新日 2026.08.09
登録日 2026.07.04
夜会の楽しみ方は、人それぞれ。
私は豪華な料理を片手に、バルコニーの下へ潜り込みます。
なぜなら、そこは婚約破棄や貴族同士の修羅場が一番よく聞こえる、私だけの特等席だから!
「来たっ。本日のメインディッシュ!」
ローストビーフを頬張りながら婚約破棄劇を観賞していたら、隣にはなぜか同じ趣味を持つ隣国の総司令官が!?
「その王子、期待を裏切りませんね」
「……常連なんですか?」
夜会をサボる聞き耳令嬢と、戦場より修羅場観賞が好き(?)な総司令官。
婚約破棄、ざまぁ、恋愛騒動、貴族の秘密――今日も二人は料理片手に最高の特等席へ。
これは、社交界の表では決して語られない「バルコニー下の観客席」から始まる、恋とゴシップと飯テロのラブコメディです。
文字数 1,637
最終更新日 2026.08.07
登録日 2026.08.07
「もう、知らない!」
「おちよさん!」
乙女心がわからぬ唐変木。
剣の腕だけを磨いてきた浪人・平八。
人を斬るための刀しか持たなかった男は、ある日、謎の老人・松濤老師と出会う。
「城で働けば、腹いっぱい食えるぞ」
その言葉につられて連れてこられた先は――なんと江戸城の御台所。
刀を預け、代わりに渡されたのは一本の包丁だった。
「ここは戦場ではない。台所だ」
そう言われた平八だったが、剣で培った技は料理にも通じていた。
大根を絹糸のように剥き、野菜を芸術の域まで切り分ける。
食材と真剣に向き合う姿は、やがて「包丁侍」と呼ばれ、城中で噂となっていく。
しかし本人はというと――
「この鯉……見事な肥え方です」
「孔雀は食べられるのですか?」
美しい女性たちが集う大奥でも、興味があるのは料理と食材ばかり。
そんな平八の前に現れたのは、食事を拒む姫様。
そして、かつて焼き芋を巡って怒らせてしまった娘・おちよ。
刀では救えなかったものを、包丁で救う。
不器用な剣士が、料理で人の心を満たしていく江戸料理×人情時代劇。
文字数 8,581
最終更新日 2026.08.04
登録日 2026.08.04
愛する人を失った二人が、政略結婚から始めた夫婦生活。
「無理に私を愛さなくていい」
そう言った侯爵は、妻の連れ子を我が子として育てた。
夫婦として過ごした十五年。
いつしか、かけがえのない存在になっていたことに、二人は気付いていなかった。
――失いかけた時、初めて分かる。
この人がいない人生など、考えられない。
これは、時間をかけて育った夫婦の愛の物語。
文字数 2,610
最終更新日 2026.08.02
登録日 2026.08.02
婚約破棄の夜会。
「私は婚約者ではなくなっても、応援している。友よ」
シンシア・アークエット子爵令嬢は、男気溢れる熱血漢。
婚約者である侯爵令息バグストンを本気で励ましていました。
「過ちは誰にでもある! 一緒に国庫へ行こう!」
「君の隠し子も、私が育てる覚悟だ!」
――本人は善意100%。
しかし、そのド直球すぎる本音は、婚約者が隠していた脱税や不貞疑惑まで次々と暴き、夜会は大混乱!
「婚約は破棄だ!」
結局、婚約は予定どおり破棄されてしまう。
けれど、王都で本当に失ったのはシンシアではなく、婚約者の信用でした。
これは、空気を読まず、嘘もつけず、悪人まで全力で励ましてしまう天然熱血令嬢が、持ち前の正義感で悪事を次々と暴いてしまう、勘違いコメディです。
文字数 1,326
最終更新日 2026.08.02
登録日 2026.08.02
王都の冒険者ギルドで働く受付嬢リズは、いつも泥だらけのブーツで帰ってくる冒険者カイルが少し苦手だった。
北の凍土帰り特有の灰色の泥。
無愛想なくせに、怪我ばかり増やして戻ってくる男。
「汚れるんですけど」
「貸しにしてくれ」
そんな他愛ないやり取りを繰り返すうち、リズの日常にはいつの間にか彼がいた。
だが、大規模討伐の遠征後、カイルは行方不明になる。
泣けなかった。
だって、またふらりと帰ってくる気がしていたから。
――五年後。
雪解けの崖から見つかったのは、泥のこびりついた片方のブーツだけだった。
これは、長い間泣けなかった受付嬢が、ようやくひとつの恋を失うまでの話。
文字数 2,249
最終更新日 2026.06.02
登録日 2026.06.02
若くして未亡人となった公爵夫人リラには、誰にも知られてはいけない秘密がある。
それは、“本音しか書かない黒手帳”。
『夜会は嫌い。全員うっすら目が死んでる』
『優しい男ほど信用ならない』
『第二王子殿下は大型犬みたい』
そんな危険すぎる手帳を、ある日うっかり紛失。
しかも拾った相手は、書かれていた本人――第二王子ヘンリーだった。
「返していただけます?」
「嫌だ」
黒歴史を握られた未亡人公爵夫人と、彼女の“本音”に妙に執着する年下王子。
これは、建前ばかりの社交界で、本音を拾ってしまった二人の話。
文字数 2,130
最終更新日 2026.05.30
登録日 2026.05.30
王都のパン屋〈麦の鈴〉には、毎朝ちょっと変な常連客が来る。
パンを一個買うだけなのに、やたら礼儀正しい。
しかも本人は平民のふりをしているつもりらしいのだが、どう見ても隠しきれていない。
そんな謎の男に、パン屋の娘リナも父親も半分呆れ、半分気になっていた。
不器用すぎる最強騎士と、町娘のゆるい身分差ラブコメ短編。
文字数 2,636
最終更新日 2026.05.29
登録日 2026.05.29
有名商会で会計を任されるバネッサは、帳簿だけではなく荷運びまで押しつけられる毎日を送っていた。
断れない。頼まれればやってしまう。
気づけば、肩にはいつも力が入っていた。
ある雨の夜。
壊れた帳簿を拾ってくれたのは、近くの家具工房の親方・マシューだった。
「……力が入りすぎてる」
ぶっきらぼうで無愛想。
けれど彼は、椅子ひとつで人の身体が変わることを知っている男だった。
高さ三十ミリ。
肘掛けの位置。
肩の力の抜き方。
少しずつ、“無理をしない座り方”を教えられていくうちに、バネッサは初めて気づく。
――断っても、世界は壊れないのだと。
これは、壊れるまで頑張ってしまった女性が、静かな工房で少しずつ居場所を見つけていく、大人の恋愛短編。
文字数 4,777
最終更新日 2026.05.29
登録日 2026.05.29
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