婚約破棄されまして(笑)

連載

サテュロスゲットの旅 100

ミルク粥の朝ご飯は概ね受け入れて貰えましたが、やっぱり肉を食べたかったようです。
朝から胃の丈夫な人達です。たまには胃に優しい物を食べようとは思わない……思わないか。
まぁ、ミルク粥のベーコンで我慢してくれ！お昼ご飯は照り焼きサンドにするからさ！犬鳴きの肉はまだまだ山盛り残ってるから丁度良かろう。最後の野営地ご飯になるけどね！
……領都のお邸に着いたら労いのパーリーかな？
とにかく朝ご飯食べ終わったので出発の準備です。
カワイコちゃん達を島送りにします。アニスはどこかに行ってますがトイレでしょう。チョロギーとクワイを出しに馬達の所にトコトコとルークと歩いてます。
あれ？いつの間にか見当たらなかったアニスが魔物除けの杭の所に立ってました。
何はともあれチョロギーとクワイを出します。チョロギーもクワイも満足そうな顔でくっついて来ます。エリックが走って来ました（笑）

「おはようございます、ごっ……エリーゼ様！」

うん、今ご主人様って言おうとしたな。まぁ良いけど。

「チョロギーの支度は私が行います！」

「宜しくね。」

ニッコリと微笑んでおく。これはエリック（犬）のご褒美貯金なのでやらせます。ルークは自分でサッサとブラシを掛けてます。手慣れたもんですね、その隙にアニスの所に行きます。

「アニス。」

「あ！エリーゼ様。」

ずっと空を見つめていたアニスは慌てて振り向いて笑顔を浮かべました。

「何……してたの？」

「はい。母さまに今日中に到着予定だとハーピーを飛ばしてたんです。この距離ならもう少ししたら帰って来るかな？と思って。」

マップで確認すると高速移動してくる精霊のマーカー……何かクリスマスのサンタクロースの追跡映像みたいだ……あれってＮＡＳＡがやってるんだっけ？いや、そんな事はどうでも良い事だったな。

「戻って来たわよ。」

オレンジ色の小さな点があっという間にアニスの肩の停まった。

「無事で何よりだわ。フェリシア様も帰還を心待ちにしてます。今日中に会えるのを楽しみに待ってます。……以上よ、主。」

何と！エミリの声を録音したかのように言った後、可愛らしい声でアニスに話し掛けたわよ！

「良いなぁ……風の精霊……私も欲しいなぁ……」

ついポロリと溢れてしまった。アニス達には聞こえて無いようで一安心！

「ありがと、キナ。じゃあいつもみたいにしてて良いわよ。」

「ありがと主。またね！」

フワリと浮いたかと思ったら姿が消えました！どこ行った！

（ナビさん！アニスのキナってどこにいるか分かる？）

〈はい。上空に待機しております。表示しますか？〉

（いや、しなくて良いです。あー……でも大型の飛来は表示して頂戴。）

〈畏まりました。〉

「エリーゼ様！皆の所に戻りましょう。」

「そうね。」

風の精霊は結構見えないようにしてるなぁ……お母様もだし、侍女トリオもなんだよね。恥ずかしがり屋って訳じゃなくて、あえて姿を消してる感じなんだよね。秘匿ってやつかな？シルヴァニアって謎が多いよね。


＊現在エリーゼ達の上空は全部で七羽？のハーピーが風の中待機してます。