婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

サテュロスゲットの旅 110

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「結構ばらついたのかしら?」

うーん……と考え込んだジムは少し首を捻って唸るとポロリと教えてくれました。

「マズかぁねぇんですが、何か足りねぇんですよ……だからちょいとご遠慮願ったんですよ。」

「そう……とりあえず一枚ずつ取り置いといてくれる?明日、食べて問題点を洗い出したい。」

「畏まりました。」

さすがに物わかりが良い。さて、今頃向こうではアイスクリーム作りに入ってるから、こっちのアンコ持って行かないとね!

「こっちの焼き菓子と炊いてくれた小豆……アンコを向こうに持って行って頂戴。完成は向こうで行うから。」

フルーツもまだ出して無かった!しまった!

「向こうにお願いする事忘れてた!先に行ってる!」

走り出してコンロの料理長の所に向かう。こんな時マップが大活躍だ。人の動きが分かるって有難い。
料理人で作業してない人がいる!ヨシ!

「料理長、今から果物を出すのでそのまま食べれない物だから食べれるようにして。あと一口大に切っておいて欲しいの。」

「畏まりました。」

料理長の返事を聞いて空いている台に行き、次々と果物とボウルを出して行く。勿論カットが必要そうな物限定です。
近くを歩いていたメイドや給仕に声を掛けてテーブルを一つあけて貰う。
並んでいた料理が纏められ、別のテーブルへと移され何一つ無くなったテーブルの上にボウルを置いていく。
本当は深鉢とか深皿があれば良いんだけど、無いから仕方ない。この世界にはお皿と言えば平皿しか無いのだ。いや、私が知らないだけで本当はあるかも知れない。
空のボウルにイチゴを盛り盛りに入れていく。それだけで女性陣か近付いて来る。

「エリーゼ、このイチゴはもう食べて良いのかしら?」

早速のお母様ですよ!

「ダメです。これは今から出てくる甘味の一部です。勿論甘味が出た後、様子を見て足しますから。まだまだ果物は出ますからお好きな物を好きなだけ一緒に楽しんで下さいね。」

お母様はちょっとだけ驚いた顔で料理長の方を見ると、ニコニコと笑顔になってきました。
ブルーベリーとラズベリーをそれぞれ違うボウルに同じように盛り盛りに盛っていく。

「料理長!お待たせ致しました!」

ジムの声に振り向くとアンコがタップリ入っているだろう大鍋を持った三人がいました。
料理長は私を見て指示待ち状態です。

「鍋は火にかけないで!冷めて良いから!」

えっ?ってお母様が小さく叫んだけど無視です。熱々アンコだとアイスクリームすぐ溶けちゃうんで!
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