婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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年越し準備! 11

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もう良いや……そう思いスタスタと集落から真っ直ぐ森に向かって歩いて行く。
木々は全て太く立派な物ばかり。まるで映画に出て来るような大木が殆どだ。高さもかなりあって遠くから見たら、鬱蒼としてるに違いない。
後ろでボソボソ声がするし、足音も大勢の足音だからあの場にいた全員が来てるのかな?

(ナビさん、天蚕達五匹出すけど良いかな?)

〈勿論です、マスター。〉

「そっか。出ておいで、天蚕達。」

広い森の中に五匹の天蚕達が現れた!

ギチギチギチィ!
(お外だぁ!)
ギッチギチィ!
(広いねぇ!)
ギチチチチ!
(新しいトコ度よぉ!)

口々にそんな事言ってます。私には二重音声で聞こえてますが、後ろにいる人達にはギチギチ音しか聞こえてません。
どよめきとか倒れる音とか色々してますが、天蚕でこれだとテラを出すのは考え物です。
おや?……マップに表示される私に急接近してくる精霊のマーカーが……
ドドドドド……って……何だ?

「イモムシちゃ~ん!」

何と数人?のサテュロス達が走って来ました!全力疾走っぽいです!てか怖いよ!ヌーの大移動とかのイメージですよ!二足歩行の蹄でものッ凄い勢いで来る!
十人のサテュロス達だと確認出来ました。

「「「ご主人様は動かないでぇ~♡」」」

そんな声が聞こえたら微動だに出来ぬ!怖すぎて!

ポョ~ン!ポョョ~ン!ポョョョョ~ン!

……全力疾走のサテュロス達をムチムチプニプニボディが間抜けな音を立てながら受け止めたようです。

「会いたかった~イモムシちゃ~ん!」

「このムチムチプヨプヨ!最高よ~!」

「このポヨンポヨンのぬくもり!寂しかったわ~!」

……デブ専のオネーチャンみたいな発現です。

ギッチギチィ!
(会いたかったよぉ!)

イモムシ……もとい天蚕達も大きなプヨプヨボディでサテュロス達とイチャイチャしてます。

「エリーゼ様……あの……」

ハッ!忘れてた!

「あの巨大なイモムシが天蚕。天蚕糸を吐き出す魔物。彼等はサテュロス達と一緒に暮らしていたから仲が良いのよ。」

「ご主人様♡イモムシちゃん達と一緒に暮らしたいの!」

ギチギチギチィ!
(ボク達も一緒が良い!)

相思相愛ですか、そうですか。
止める理由も無いしね。

「良いよ。一緒に暮らして。でも寒くない?」

ギッチギチィ!ギチチチチ!
(平気だよ!糸の太さでどうとでも出来るから!)

太さ変えれるのか!凄いな!

「分かった。寝床を作って落ち着いたら彼等の為に糸を出して欲しいんだけど。」

ギチチチチ!
(良いよ出すよ!)

「そう!ありがとう。長、彼等の寝床が出来て落ち着いたら糸を出してくれるって。だから待ってて貰えるかな?」

「良いでしょう。それにしても大きいですね……」

ムニムニと動き出す天蚕達はそれぞれ大木に登り始めて行く。
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