婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

年越し準備! 39

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カチャリと食事を終えて、冷たいお水をコクコクと飲み干す。
ハフと息を吐き出し、グルリと見回す。
キラキラしてるお父様とキャスバルお兄様とお祖母さま、小さく笑うトールお兄様に何か考え込んでるお祖父さまとルーク。
そう言えばルークの所のノエルはいるけど、ルチルはどうしたんだろう。
敷地内なら安心だ……マップの表示にはユキとピカ太郎も一緒にいる。

「私、今から行く所がありますので失礼致しますわ。」

カタリと立ち上がる。
ルークも立ち上がり、微笑みを顔に貼り付けている。
そんな所はやはり皇子様なんだな……と感じる。あの残念王子とは違うな。残念王子ちょっとは教育されたかな?アンネローゼとミネルバに……あの二人なら少し位教育出来ると思うのよね、お母様も筋が良いって言ってたから。

「私も失礼する。」

お祖父さまはギロリと見やったけど、サラリと受け流すと堂々と食堂から出て行った。

「あれが婿に来るのか。悪くないな。」

大声でもない声でお祖父さまが食堂の扉を見ながら言って、お父様とキャスバルお兄様とトールお兄様の三人が声を出さずに笑う。

「ああ見えて大型に立ち向かう。初めてなら腰が引けるものだが、中々どうして度胸がある。」

リアル一狩りで興奮してましたからね。
お父様、意外と見てるのね。

「その辺りはエリーゼも戦列に加わって戦ってて、多くの隊員が見惚れてましたけどね。」

なぜにキャスバルお兄様はムッとした顔で言うのかしら?可愛い妹なのよ!

「まぁ、正直女じゃなかったらな!と思ったな。」

うん、トールお兄様そのツッコミは痛いです。

「そんなお話しはサロンでやったら良いのに。私も行きますわ。」

スタスタと歩いて食堂を出て行く。
椅子の背もたれに掛けておいた黄色いマントを手に取り、エントランスでバサリと羽織ってブローチで留める。
とりあえず林の中のお社に行こう。まずはそこかな。
正面玄関から出て林を目指して歩く。
食後なんで走らないわよ!
冷たい風を受けてるけど、日差しはほんのり暖かい。
それも林の中に入れば日差しが途切れ肌寒く感じる。
マップにはお社が表示されてるし、その手前にある池も表示されている。
池に向かってく。僅かな日の光を受けてキラキラと輝く水面と水底。
神様はいないかも知れないけど、何か精霊とかいそうなのよね。
池のほとりに跪いて池の中に手を入れてみる。
……冷たっ……この冷たさは懐かしい冷たさですよ!
今は温かいお湯しか触ってませんから。
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