婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

元日! 19

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「エリーゼ!」

大慌てでルークが追いかけて来たので見てみれば……ルークの肩にルチルが乗っかって頭にしがみ付き、ノエルが縦抱っこの状態でした。
……安定のイクメン状態でした。

「怒った訳じゃないよな?」

ちょっとトーンダウンしました。
落ち着いた様で私も少し勢いを消す。
歩くスピードを落として軽く息を吐く。

「怒ってないわよ。ただお腹空いてるから怒りっぽくなってるかな?早く戻ってお雑煮頂きましょう。きっと料理長とジムが待ち構えてるわよ」

「そうか……そうだな。お雑煮か……エリーゼはどんなお雑煮食べてたんだ?」

話し掛けながら指絡ませてきましたよ。
嬉しいけど、あったかくて良いけど……何て言うか……
これがリア充なのか!確かに爆発しろって言われちゃう!

「えーと……普通にお出汁の効いた焼いた角餅の入った物だけど」

「焼いた……他は?何入れてた?」

ん?やけに聞いて来るわね。

「鶏肉にかまぼこにシイタケに三つ葉……かな?」

「良かった。お雑煮って結構地域によって違うから不安だったんだよね」

「あー……なる程。でも似たような地域なんだから、そんなに違わないでしょ」

林から出ると、あちこちで使用人が起き出して仕事をしてるのが見える。
邸全体が起き出してるような活気が見て取れる。

「慌ただしいな」

「そりゃそうよ。夜には前庭を解放して新年のお祝いが開かれるのよ。夜はドレスで参加するの。エスコートして下さるでしょう?未来の旦那様♡」

ん?手がちょっと熱くなったわよ(笑)ヒョイとルークの顔を下から覗き込むと頬がほんのり赤くなっていた。
旦那様♡で赤くなってるのかな?
フフッそんな所は可愛らしいとか思っちゃうのはイケナイ事かしら?

「参ったな……未来の奥さんにそんな事言われたら断れないよ。それこそキャスバルに奪われそうで怖いな」

「キャスバルお兄様はブレないわよね……」

「ああ……」

そんな他愛ない事を話しながら歩いてあっという間に正面玄関に到着しました。
開かれた扉からエントランスに入り、そのまま食堂へと向かう。
邸の中は温かくショールの必要性を感じない。
ルークと繋いだ手を外す。
シュルリとショールを取って腕に掛けて食堂へと入る。
食堂の中には家族全員揃ってました!
勿論、お祖父様もお祖母様もいます!
室内に漂うお出汁の香り!と日本酒の香り……
先にお雑煮と燗酒楽しんでますね……燗酒のお供は……田作りでした。
お節はまだ出してないのね。
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