婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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連載

新しい日々 37

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この場所で待ってるのも何ですのでエントランスへと向かいます。
エントランスには若い執事が二人待って……いや、若いけど年の差が……
一人はキャスバルお兄様の執事でもう一人はルークの執事って事なのかな?明らかに若いもんね。
私の姿を見て若い方が深々とお辞儀した。
必要もなく声を掛ける訳にはいかないから、頭を上げた後小さく頷く。
このまま立って待ってるのも良いけど、なんとなく気まずいから隅っこに設置してる椅子に座ることにする。
座って程なくアニスがコートを抱えて来た。立ち上がって着せてもらう。

「エリーゼ様、お手を」

薄手だけど温かい手袋も持ってきてくれてた。なぜか手袋の装着ですら手伝うアニスに小さく笑う。
自らもコートを着込んでるアニスは私が手袋をつけたのを見てから手袋を嵌めた。

「準備万端ですよ!エリーゼ様」

「じゃあ見に行きましょう!」

私はアニスと共に外へと出ていった。多くの隊員達は皆、顔が晴れやかだ。
ただの隊員じゃない、隊色を持つっていうのは彼等からすれば嬉しい事なのだ……多分。
一際派手な装備をしてるのは前隊長、その横に立っているのは前副隊長だった人だ。
私に気がついて、照れ臭そうに笑った二人に私は困ったように笑う。
共に位が下がったけど、隊色持ちになったからか晴れやかだ。
そうして見て回ってる時だった。
急に静かになって隊員達の意識が前方に向かった。
私も前方を見て息を飲む。
コートの上にマントを羽織った新しい武装を着たルークとキースが現れた。
私達は慌ててルークの側へと移動する。隊員達も動いているから丁度良い。

「ルーク。凄い格好いい」

「ありがとう」

晴れやかなルークの顔、皇子の顔じゃない……一人の男の顔……そんな気がする。
いつの間にか背後の隊員達から聞こえていた音が無くなった。
少しだけ振り返り見たのはきちんと並んだ隊列だった。
お父様達も現れ私もアニスを連れてお父様達の近くへと行く。

「我が息子となるルークよ、今から初陣となる討伐へ行くが良い」

お父様がそう言う。我が息子となる……そう公に告げた。

「必ずや武勲を上げ、無事エリーゼ嬢の元に帰る事を誓います!」

え?やだ、メッチャ格好いい!

ウオオオォォォ!

……隊員達も歓声上げてる。それで合ってるの?

「行って参ります!」

ルークの一声でクワイが引かれて来た。もう一頭軍馬が引かれて来る、キースの乗る馬だ。
黒く美しく大きなクワイに跨がるルークは一際格好いい。
そしてクワイが進んで行く。
ゆるゆると隊列が動いて行く。
ふと力が抜けそうになる。どんどん小さくなるルークの後ろ姿に涙が溢れそうになる。
大丈夫、ルークはきっとちゃんと帰って来てくれる。
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