文字の大きさ
大
中
小
539 / 1,624
連載
新しい日々 46
「何でそんな事に……」
幾らなんでもそこまで酷くなるなんて思ってもみなかった。
え?ちょっと待って?そんな短期間に経済が悪化するなんて、幾らなんでもおかしすぎるでしょう?
「谷から王都へ向かう帝国の商隊が使う大街道の通ってる通行税が高くなって王都に行く帝国の商隊が無くなったのが始まりよ」
お母様の冷たい声が聞こえる。
帝国の商隊は通る各領地で売買をしてく。そのおかげで各領地が潤う。だからこそ通行税は上げないのが普通なのに、通行税を上げる?愚かだとしか言えない。
「何故、通行税を上げたのかしら?」
「第三王子妃のせいよ。あれで大街道が通ってる下位貴族家が自分の娘も王家に食い込めると勘違いしてお金をかき集めようと通行税を上げたのよ。大抵は寄子だから親の貴族家が慌てて通行税を下げさせようとしたけど、言う事を聞かなくて外された下位貴族もそれなりにいる。けれど王都に近い下位貴族は既に商隊が来なくなってにっちもさっちも行かなくなったのよ」
「え?でもうちの領地には多くの帝国商隊来てますよね?」
領都にだって多くの帝国商隊が来てるし、商売をしてる。
「ええ、うちから塩街道側の一部領地には商いをしてるわ。それでも王家直轄地までよ」
王家直轄地……あの小さな集落しかない領地か……商いに繋がらないなら選択しないか……
帝国商隊はいわば物流のメインみたいな立ち位置だった筈、荷馬車の数も多く商人も多かった。小さな商隊は魔物怖さに領地から出ないのが普通だった。
じゃあ物流の止まった王都は僅かな生命線だけで?バカな!
「ではどうやって生き延びるというの……」
「今、我が家の定期便は数を増やし物品も増やしました。可能な限り物資を王都に送り続けてます、もし王家からの要請があっても大丈夫なようにしてます。勿論、他の貴族家からの要請があれば対応出来るようにもしてます」
さすがお母様いえ、お父様かしら?便数も増やして量も増やしてるなんて!
「なら安心かしら……」
「そうね……」
お母様の歯切れは悪い。
「でも、多くの貴族は余程切羽詰まらないと助けを求めて来ないでしょうね」
お祖母さまが放った一言にハッとする。そうだ、貴族は弱味を見せない。もし貧しくても我慢出来るなら限界まで我慢する可能性の方が高い。
「ええ……今、何とかやり取りをしてるのはギョーム公爵家、キンダー侯爵家、ロズウェル伯爵家、ウナス伯爵家辺りね。ギョーム公爵家は王家の分も少し賄ってると思うわ、そうしなければ到底賄いきれないでしょうしね」
脳内に地図を広げて確認する。ギョーム公爵領から王都へはギョーム公の寄子貴族とロア公爵家の寄子貴族とロア公爵領しか無いから何とか物資を運ぶ事も出来る。
それでもシビアな状況だ。
王家だけじゃなく、王家が抱える騎士や兵士もいる。王都民まで回す余裕は無いんだろう……
幾らなんでもそこまで酷くなるなんて思ってもみなかった。
え?ちょっと待って?そんな短期間に経済が悪化するなんて、幾らなんでもおかしすぎるでしょう?
「谷から王都へ向かう帝国の商隊が使う大街道の通ってる通行税が高くなって王都に行く帝国の商隊が無くなったのが始まりよ」
お母様の冷たい声が聞こえる。
帝国の商隊は通る各領地で売買をしてく。そのおかげで各領地が潤う。だからこそ通行税は上げないのが普通なのに、通行税を上げる?愚かだとしか言えない。
「何故、通行税を上げたのかしら?」
「第三王子妃のせいよ。あれで大街道が通ってる下位貴族家が自分の娘も王家に食い込めると勘違いしてお金をかき集めようと通行税を上げたのよ。大抵は寄子だから親の貴族家が慌てて通行税を下げさせようとしたけど、言う事を聞かなくて外された下位貴族もそれなりにいる。けれど王都に近い下位貴族は既に商隊が来なくなってにっちもさっちも行かなくなったのよ」
「え?でもうちの領地には多くの帝国商隊来てますよね?」
領都にだって多くの帝国商隊が来てるし、商売をしてる。
「ええ、うちから塩街道側の一部領地には商いをしてるわ。それでも王家直轄地までよ」
王家直轄地……あの小さな集落しかない領地か……商いに繋がらないなら選択しないか……
帝国商隊はいわば物流のメインみたいな立ち位置だった筈、荷馬車の数も多く商人も多かった。小さな商隊は魔物怖さに領地から出ないのが普通だった。
じゃあ物流の止まった王都は僅かな生命線だけで?バカな!
「ではどうやって生き延びるというの……」
「今、我が家の定期便は数を増やし物品も増やしました。可能な限り物資を王都に送り続けてます、もし王家からの要請があっても大丈夫なようにしてます。勿論、他の貴族家からの要請があれば対応出来るようにもしてます」
さすがお母様いえ、お父様かしら?便数も増やして量も増やしてるなんて!
「なら安心かしら……」
「そうね……」
お母様の歯切れは悪い。
「でも、多くの貴族は余程切羽詰まらないと助けを求めて来ないでしょうね」
お祖母さまが放った一言にハッとする。そうだ、貴族は弱味を見せない。もし貧しくても我慢出来るなら限界まで我慢する可能性の方が高い。
「ええ……今、何とかやり取りをしてるのはギョーム公爵家、キンダー侯爵家、ロズウェル伯爵家、ウナス伯爵家辺りね。ギョーム公爵家は王家の分も少し賄ってると思うわ、そうしなければ到底賄いきれないでしょうしね」
脳内に地図を広げて確認する。ギョーム公爵領から王都へはギョーム公の寄子貴族とロア公爵家の寄子貴族とロア公爵領しか無いから何とか物資を運ぶ事も出来る。
それでもシビアな状況だ。
王家だけじゃなく、王家が抱える騎士や兵士もいる。王都民まで回す余裕は無いんだろう……
感想 5,724
あなたにおすすめの小説
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
「私が愛するのは王妃のみだ、君を愛することはない」私だって会ったばかりの人を愛したりしませんけど。
下菊みことこのヒロイン、実は…結構逞しい性格を持ち合わせている。
レティシアは貧乏な男爵家の長女。実家の男爵家に少しでも貢献するために、国王陛下の側妃となる。しかし国王陛下は王妃殿下を溺愛しており、レティシアに失礼な態度をとってきた!レティシアはそれに対して、一言言い返す。それに対する国王陛下の反応は?
小説家になろう様でも投稿しています。
迎えに行ったら、すでに君は行方知れずになっていた
月山 歩孤児院で育った二人は彼が貴族の息子であることから、引き取られ離れ離れになる。好きだから、一緒に住むために準備を整え、迎えに行くと、少女はもういなくなっていた。事故に合い、行方知れずに。そして、時をかけて二人は再び巡り会う。
ド近眼の伯爵令嬢は婚約破棄されたらしいですが、相手が誰だか見えていませんでした
茨野 三智婚約破棄を告げられた伯爵令嬢エレノア。
けれど彼女は、相手の顔を見ても首をかしげるだけだった。
「失礼ですが……どちら様でしょう?」
重度の近眼ゆえに、婚約者の顔すら判別できなかったのである。
社交より研究が大好きな彼女は、婚約解消をあっさり受け入れ、魔導工学の研究へ没頭する日々を送ることに。そんなある日、王立図書館で出会った謎の青年リヒトの何気ない一言から、世界を変える大発明への道が開かれていく。
やがて誕生するのは、人々の人生を一変させる「魔導レンズ」。
見た目や噂だけで彼女を切り捨てた者たちが後悔する頃、エレノアの隣には、最初から彼女の価値を見抜いていた人物がいた――。
天然研究者令嬢が恋も夢もつかみ取る、ほのぼのラブコメファンタジーです。
【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!
旦那様には好きな人がいる
えくれあ私の旦那様である、テオドール・セルヴァン侯爵様には好きな人がいる。
それは、幼馴染であり、王太子妃でもあるマチルダ様だ。
お二人は、いつもとても仲睦まじいご様子で、そんな叶わぬお二人の恋をそっと見守るのが私の日常だった。
そんなある日、夜会にめったに顔を出さない王太子殿下に、ダンスに誘われて。それがきっかけで、私の日常は少しずつ変化し始めた。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!