婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新しい日々 85

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「だからね、エリーゼがあのクズと離れられて本当に良かったと思ってるわ!あのクズに比べたらルークならエリーゼを任せられるもの」

いつの間にか呼び捨てですね、お母様。私にはお母様がドロンジ○様に見えます。似合ってる分、笑えません。平伏しそうです。

「全くだ!あのクズにはいまだ腹立たしい思いでいっぱいだ!」

お父様が参戦してきた!そんなに?そんなにまだ引き摺ってるの?私はルークと婚姻出来るし、王家の一員にならないし良い事尽くめなのに。

「だが、あのクズが男爵令嬢を選んでくれたおかげでエリーゼを再び我が家に戻してくれたんだからあのクズには感謝しても良いでしょう」

キャスバルお兄様よ……一見良い様な事言ってる気がするけど、クズには変わらないんだね。トールお兄様もウンウンって頷かないで。てか家族からの評価はことごとくクズなのね……分かるけどね!いつでも問題児でしたからね!人の言う事全く聞きゃしないし!どんだけ我が儘なのかと!

「はぁ……思い出すとあの頃の疲れを思い出して嫌になるわ……」

思わず出てしまった言葉にしみじみとする。毎日毎日、アホな事言って回って挙げ句の果てにやっぱりアホな子の男爵令嬢を侍らせて……どれだけ、このバカ坊をど殴ってやろうかと思ったか……

「バカに付ける薬は無いと言われるけど、ほんとだったんだって思ったものよ……」

後、バカは伝染るってのもな。ちょっとでも努力とかしてくれれば、あれこれ悩まなかったし手助けも出来たし……あー……!考えても仕方ない事考えてる!未練って訳じゃないけど、アンネとミーネの苦労ご忍ばれる!

「お母様、王宮の情報とかは入ってますか?」

王宮関係はお母様が一番良く知ってる筈!全くの情報無しだとは思えないですから!

「あら?何か気になるのかしら?」

「王都の事だけで無く、王宮内の事もお母様は色々知っているのではないのですか?」

お母様の微笑みが黒くなりました。ドキドキします……

「勿論よ。何が知りたいのかしら?」

サロンの中がシーンとしてます。 

「王宮内では王都民を助けるつもりは無いのでしょうか?」

「そこまで手が回らないと言うのが正解でしょうね。王宮内の侍女や女官、侍従や各武官に文官は勿論それ以外の使用人達の生活をみなければ王宮は回らない。王都に近い貴族家から物資を運び込ませてるけど、ぎりぎりよ。さすがに贅沢も出来ないわ、でも王妃陛下と正妃殿下達と第三王子側妃のお二方はエリーゼの作った甘味が唯一の贅沢となっているのよ。本当なら春の社交に合わせてドレスを作り出したりする筈だけど、王都の仕立て屋も王宮勤めのお針子も果たして作れるかどうか……」

ん?何でドレスが?
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