婚約破棄されまして(笑)

竹本 芳生

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新しい日々 89

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ギャアギャアと婚姻式の事を話し合ってるお祖父さまとお父様とお兄様達。
どれだけ派手にやるつもりなのかしら?でも、元々国でもあったならそのプライドは今でも続いてると思った方が良いのかしら?まるで一国の姫君のような盛大な婚姻式。それを行う事に抵抗もためらいも無い……愛情だけではない何かがあるかも知れないけど、でも何故かしら婚姻式だけでなくこの先の暮らしも何もかもが私が何一つ不自由無いようにと配慮される気がする。
何処までもいつまでも私は好きに行きて良いのだと言われてるよう……
この愛情を重いとも辛いとも思わない。
政略結婚では無く、恋愛結婚……しかも二代続けての。政略結婚ではない結婚なんてほぼ皆無なご時世な世界で……でもお母様の一族は恋愛結婚って言って良いのかしら?女性上位の世界故に子供の父親を女性が選ぶ……まるで番のようにも感じる。
ふ……とよぎる考え。女性が男性を選ぶのはより良い遺伝子を残すため……仮説だったと思うけど、より良い遺伝子を残し生存競争を……生き残る可能性を高める為に女は男を選ぶ……より強い男を……より優れた男を……その血を残すために……

「まさか……ね……」

ゾクリと寒気が背筋を登るけど、無視出来ない何かがある。アニスだって能力や風の精霊との契約なんかを見たら、そこらの貴族令嬢とは比べ物にはならない。エミリもシンシアもソニアも侍女として働いてるけど、その能力の高さは比べる事は出来ない。私自身もだけど、お母様だって普通じゃない……それを思えば王国貴族の力の無さは……男性優位で繋いだ血は弱い?まさかね……
王国も帝国も男性優位なのに、この考えは良くない……危険思想と受け止められてしまう。いえ、だからこそお母様の一族は領地から出ない?一族を守るため?争わないため?いえ、そんなバカな事あり得ない。確か、シルヴァニア家はゴルゴダ皇家と共にある。武のゴルゴダ皇家、知のシルヴァニア家。これがゴルゴダ帝国の成文律……何人たりとも破る事なかれ。その為に厳しい法が幾つもあるとか……その一族が女性優位である。とか、秘密が多すぎて怖いです!考えると頭がパンクしそうです!役割とか何か色々あるんだろうな……とは思うけど簡単に教えて貰うのは危険極まりない気がする。

「エリーゼ様、お待たせ致しました」

「ああ、アニス」

アニス来たし、自室に戻ろう。お母様の実家云々は新婚旅行に行くと気にでも聞けば良いや。
面倒くさいのは後回し!今、考えても解決しなさそうな事は時間の無駄よ!
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