王妃の鑑

ごろごろみかん。

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パラレルワールド(2)

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「あ、あの、ノア」

「ん?」

「あの、フィフが………」

「ああ、そこの剣士ちゃん?いいんじゃない、別に。ほっておいて。自業自得でしょ」

そう言うと、ノアは既に興味を失ったように手元の髪飾りを見ていた。あっさり言ってしまうノアに 少し怖くなる。確かに私を殺そうとしてきた相手だ。だけど、それでも。助けられる人を見殺しにするのは、気分が悪い。
そう思っていたのが顔に出ていたのか。ノアは顔を上げて私を見ると、困った子を見る顔になった。

「………んー、仕方ないな。大サービスだよ」

そう言って、ノアはまた手を軽く振る。淡い黄色い光が、フィフを包んだ。

「あれは………」

「ま、そのうち意識は戻るでしょ。あとは王宮魔術師にでも見てもらえばいいんじゃない?」

そう言って、ノアは「よいしょっ」と言いながら立ち上がった。私もそれにつられて立ち上がる。久しぶりにあったノアは以前よりも大人っぽくなっていた。あれから八年がたっている。ノアは今、二十四歳なのだろう。青年独特のあどけなさが消え、大人の色気が垣間見える。あの時から軟派そうな男だとは思っていたが、今は昔以上だ。
チャラそうで、遊び人、という言葉が今のノアにはピッタリだった。ノアはぱんぱん、と軽く服を叩くと私を見た。

「時を戻すなんてそんなこと、出来ると思う?」

「それ、は」

でも、じゃあ。それなら、これはなんだと言うの。今まで見てきたものは何。それとも、未来で起きると思っていたーーー、私が殺された未来こそが幻想だというのか。
足元がおぼつかなくて、震えてくる。ノアは私の目線に合わせて腰を屈ませると、視線を合わせてきた。未だに、ノアとの距離は近い。きっと私のことを妹か何かと思っているのだろう。

「ここは、きみの過去だよ」

「………?」

「あ。はは、今何言ってんだこいつ、みたいな顔したでしょ。わかるよ、俺もさぁ説明が下手なんだよね。うーん、なんて言えばいいかなぁ」

ノアは一人で話すと、そのまま上を見た。秋も深まった今、空気は冷たい。この感覚も、全て、嘘?ここは、なんなの。どういうことなの。私は早く知りたくてノアの服の裾を掴んだ。

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