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23.種明かし3
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「あの時は気が付かなかったけど、あれ、わざと言ったのね」
「うん。マーガレットにああ言えば、僕を嫌ってくれると思って。今日のマーガレットを見て改めて分かった。僕じゃマーガレットを満足させられない。マークと話すマーガレットは、とても綺麗で可愛いよ」
「なっ……」
「そんな顔、僕の前ではしたことないもんね。ま、そうさせたのは僕だけど。マーク、マーガレットを頼むよ。不幸にしたら、許さないから」
「お任せ下さい。世界一幸せにしてみせますよ。陛下も、シルビア様とお幸せに」
「どうかなぁ。今後は彼女次第だよ。多分、たくさんの領地が独立するから、ますますうちの国は貧乏になる。お金のない僕がシルビアに好かれるか、分からないよ」
「シルビア様は、フィリップの本心を知らないの?」
「……全ては、話してないかな。影が聞いてるのに、父上を引き摺り下ろしたいなんて言えないよ。今は影も僕のものだから父上と母上を見張らせてるけどね」
「初めて仕事をシルビア様に教えた日、なんだか変だと思ったの。シルビア様は、人目がある時だけフィリップに擦り寄るのよ。けど、城じゃ見張られてるし、シルビア様には侍女がべったりだし、ちゃんとお話し出来なくて。わたくしも早くフィリップと縁を切りたくてあまり疑問に思わなかったの」
「シルビア様は、あの家の中ではきちんとしておられます。ですが、周りに影響されやすい方でもありますね。フィリップ陛下次第では、王太后様のようになられるかもしれません」
「それだけは嫌だ!」
「でしたら、陛下の御心を包み隠さずお話しなさる方が宜しいかと」
「僕の……言葉?」
「ええ。なぁマーガレット、今の陛下はどうだ?」
「素敵な国王陛下だと思うわ。独立した事を後悔しちゃいそう」
「マーガレットはお世辞は言いますけど嘘は言いません。俺も、マーガレットと同意見です。ハリソン公爵家の独立は必要だったと思いますけど、ルーク様も早まったかなと呟いておられましたよ」
「あの厳しいルークが……?」
「ええ。素晴らしい戴冠式だったと聞きました。陛下のお言葉は多くの貴族の心を打ったと思いますよ」
「そうね。うちは独立するけど、他はしないんじゃないかしら」
「だと良いけど……」
「陛下は強いリーダーです。俺が保証しますよ」
「フィリップは変わったわ。それにね、シルビア様は覚悟を決めればとっても強いと思うわよ。わたくしに対するライバル心は強いけど、なんだかんだ真面目な人みたいだし、実家と距離を置けば上手くいくのではないかしら」
「そうですね。あの牧場は潰すべきです」
「ははっ。貴族の領地を牧場呼ばわりか。さすが世界一の商人は豪快だな。確かに、あの家はあまり良くないようだ。僕がシルビアと親しくなってから、調子に乗っている。あの場で、高位貴族を無視して発言するなんてありえない」
「そうね。まるでシルビア様とフィリップの結婚が決まったかのような態度だったわ」
「そんな事、一言も言ってないのにね。ここらで少しお灸を据えた方が良いだろう。マーク、また指導を頼むよ」
「承りました。実はこのような物を持っておりまして……」
「これは! 帝王学の権威の……」
「潰れた国の財産整理を頼まれた時に、紛れ込んでしまったようでして。王族のみが所有する品ですので、開くのも恐れ多く、販売もできずに困っておりました。在庫処分のような言い方をしてしまいましたが、価値ある品です。未来ある国王陛下に、即位のお祝いとして贈らせて下さい。どうか今後もご贔屓下さい」
「ありがとう! どんな宝飾品よりも嬉しい贈り物だ。マーガレット、見ていて。僕は立派に国を治めてみせる。だからたまには、遊びに来てよ。マークと一緒なら、平民でも城に入れるからさ」
優しく、甘いだけだと思っていたフィリップは、変わったわ。今のフィリップは、とても魅力的だ。
「うん。マーガレットにああ言えば、僕を嫌ってくれると思って。今日のマーガレットを見て改めて分かった。僕じゃマーガレットを満足させられない。マークと話すマーガレットは、とても綺麗で可愛いよ」
「なっ……」
「そんな顔、僕の前ではしたことないもんね。ま、そうさせたのは僕だけど。マーク、マーガレットを頼むよ。不幸にしたら、許さないから」
「お任せ下さい。世界一幸せにしてみせますよ。陛下も、シルビア様とお幸せに」
「どうかなぁ。今後は彼女次第だよ。多分、たくさんの領地が独立するから、ますますうちの国は貧乏になる。お金のない僕がシルビアに好かれるか、分からないよ」
「シルビア様は、フィリップの本心を知らないの?」
「……全ては、話してないかな。影が聞いてるのに、父上を引き摺り下ろしたいなんて言えないよ。今は影も僕のものだから父上と母上を見張らせてるけどね」
「初めて仕事をシルビア様に教えた日、なんだか変だと思ったの。シルビア様は、人目がある時だけフィリップに擦り寄るのよ。けど、城じゃ見張られてるし、シルビア様には侍女がべったりだし、ちゃんとお話し出来なくて。わたくしも早くフィリップと縁を切りたくてあまり疑問に思わなかったの」
「シルビア様は、あの家の中ではきちんとしておられます。ですが、周りに影響されやすい方でもありますね。フィリップ陛下次第では、王太后様のようになられるかもしれません」
「それだけは嫌だ!」
「でしたら、陛下の御心を包み隠さずお話しなさる方が宜しいかと」
「僕の……言葉?」
「ええ。なぁマーガレット、今の陛下はどうだ?」
「素敵な国王陛下だと思うわ。独立した事を後悔しちゃいそう」
「マーガレットはお世辞は言いますけど嘘は言いません。俺も、マーガレットと同意見です。ハリソン公爵家の独立は必要だったと思いますけど、ルーク様も早まったかなと呟いておられましたよ」
「あの厳しいルークが……?」
「ええ。素晴らしい戴冠式だったと聞きました。陛下のお言葉は多くの貴族の心を打ったと思いますよ」
「そうね。うちは独立するけど、他はしないんじゃないかしら」
「だと良いけど……」
「陛下は強いリーダーです。俺が保証しますよ」
「フィリップは変わったわ。それにね、シルビア様は覚悟を決めればとっても強いと思うわよ。わたくしに対するライバル心は強いけど、なんだかんだ真面目な人みたいだし、実家と距離を置けば上手くいくのではないかしら」
「そうですね。あの牧場は潰すべきです」
「ははっ。貴族の領地を牧場呼ばわりか。さすが世界一の商人は豪快だな。確かに、あの家はあまり良くないようだ。僕がシルビアと親しくなってから、調子に乗っている。あの場で、高位貴族を無視して発言するなんてありえない」
「そうね。まるでシルビア様とフィリップの結婚が決まったかのような態度だったわ」
「そんな事、一言も言ってないのにね。ここらで少しお灸を据えた方が良いだろう。マーク、また指導を頼むよ」
「承りました。実はこのような物を持っておりまして……」
「これは! 帝王学の権威の……」
「潰れた国の財産整理を頼まれた時に、紛れ込んでしまったようでして。王族のみが所有する品ですので、開くのも恐れ多く、販売もできずに困っておりました。在庫処分のような言い方をしてしまいましたが、価値ある品です。未来ある国王陛下に、即位のお祝いとして贈らせて下さい。どうか今後もご贔屓下さい」
「ありがとう! どんな宝飾品よりも嬉しい贈り物だ。マーガレット、見ていて。僕は立派に国を治めてみせる。だからたまには、遊びに来てよ。マークと一緒なら、平民でも城に入れるからさ」
優しく、甘いだけだと思っていたフィリップは、変わったわ。今のフィリップは、とても魅力的だ。
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