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連載
カティ 脱・ファザコン!
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「カティ様?」
いつものように夕食のセッティングをしていたメイドが戸惑う。
エドヴァルドの席の隣の椅子に座るカティ。
「今日はエドヴァルド様のお膝で召し上がらなくて良いのですか?お調子でも?」
「ほほほほ。淑女たるもの一人で食事が摂れなくてどうします?これからはこのようにお願いします。」
「・・・かしこまりました。」
エドヴァルドはちらっと見て
「もう大丈夫か?」
「はい、お父様。ご心配をお掛けいたしました。」
レオがカティを見て首をひねっているが、気にしない。
「脱・ファザコン!」を掲げ、今日からカティは自立する予定なのだ。
これまでのようにエドヴァルドに甘えてはいけない。
どこに出ても恥ずかしくない令嬢になれば、周囲から先日のような嘲笑を受けることもなく、エドヴァルドの評判も悪くなることはないだろう。そして、心の病だと皆が優しくしてくれているのも知っている、このままではエドヴァルドも心配で離れられないはずだ。
エドヴァルドのためにも自立する!カティは強く決意した。
王家のおかげもあり、公爵令嬢としてのマナーや教育は表面的には身につけている。ただ真に身についていないだけである。
お淑やかにナイフとフォークを使って少しづつ食事をすすめる。
「はっ・・・これは・・・・」
カティはスープの中に椎茸を発見した。
「これは・・・シェフめ・・・この手で来たか。」
椎茸が細かく刻まれている。
エドヴァルドが帰ってくるまではシェフとの戦いだった。椎茸が食べられないカティと何とかして食べさせようとするシェフ。あの手この手で料理に紛れ込ませてきていた。
いつもならこっそりエドヴァルドの皿に入れて、エドヴァルドも黙ってそっと食べてくれていたが今日はこの手は使えない。
(よし!)
エドヴァルドのお皿を見るとほとんど空になっている。
カティはぐっと自分のお皿を睨みつけて、脳内で砂時計をイメージする。
砂時計の砂が移動するように自分の皿からエドヴァルドの皿にスープが移動し、自分のお皿が空になる。そのイメージに魔力を乗せ発動した。
(よしっ!!)
自分の目の前の皿が空になっている。
ぐっとこぶしを握る。
が、痛いほどの視線を横から感じる。
「ん?何か?」
「お前の所作に感心したばかりなのだが。」
エドヴァルドは再び一杯になった自分のお皿を見て溜息をついた。
「類まれなる能力に感心すればいいのか、能力の無駄使いと嘆けばよいのか迷うところだ。」
そう言いながらも椎茸入りのスープをすべて飲んでくれた。
食後にはサロンに移動し、いつも紅茶(カティは+お菓子)を嗜むのだがその時もカティは少し離れて座る。
「今日はサロン冷えてるね?」
「・・・いつもと変わりはありませんが。」
ちらっとレオはエドヴァルドを見る。
「お父様、先ほどのわたくしいかがでしたか?」
「どうとは?」
「公爵令嬢としてですわ。」
「・・・令嬢は嫌いなものを他人の皿には移動しない。」
「ぐっ・・・」
カティはぶーっと口を尖らす。
「カティ様、淑女たるもの口はとがらせてはいけません。」
「急にどうした?」
「わたくしの真の姿を見ていただこうと思ったのです。私の淑女ぶりを見たらお父様もご安心されるかと。ほほほ。」
(不安でしか、ありませんよ。また下らない事思いついたんですね。)
レオはおそらく巻き込まれるだろうとため息をついた。
いつものように夕食のセッティングをしていたメイドが戸惑う。
エドヴァルドの席の隣の椅子に座るカティ。
「今日はエドヴァルド様のお膝で召し上がらなくて良いのですか?お調子でも?」
「ほほほほ。淑女たるもの一人で食事が摂れなくてどうします?これからはこのようにお願いします。」
「・・・かしこまりました。」
エドヴァルドはちらっと見て
「もう大丈夫か?」
「はい、お父様。ご心配をお掛けいたしました。」
レオがカティを見て首をひねっているが、気にしない。
「脱・ファザコン!」を掲げ、今日からカティは自立する予定なのだ。
これまでのようにエドヴァルドに甘えてはいけない。
どこに出ても恥ずかしくない令嬢になれば、周囲から先日のような嘲笑を受けることもなく、エドヴァルドの評判も悪くなることはないだろう。そして、心の病だと皆が優しくしてくれているのも知っている、このままではエドヴァルドも心配で離れられないはずだ。
エドヴァルドのためにも自立する!カティは強く決意した。
王家のおかげもあり、公爵令嬢としてのマナーや教育は表面的には身につけている。ただ真に身についていないだけである。
お淑やかにナイフとフォークを使って少しづつ食事をすすめる。
「はっ・・・これは・・・・」
カティはスープの中に椎茸を発見した。
「これは・・・シェフめ・・・この手で来たか。」
椎茸が細かく刻まれている。
エドヴァルドが帰ってくるまではシェフとの戦いだった。椎茸が食べられないカティと何とかして食べさせようとするシェフ。あの手この手で料理に紛れ込ませてきていた。
いつもならこっそりエドヴァルドの皿に入れて、エドヴァルドも黙ってそっと食べてくれていたが今日はこの手は使えない。
(よし!)
エドヴァルドのお皿を見るとほとんど空になっている。
カティはぐっと自分のお皿を睨みつけて、脳内で砂時計をイメージする。
砂時計の砂が移動するように自分の皿からエドヴァルドの皿にスープが移動し、自分のお皿が空になる。そのイメージに魔力を乗せ発動した。
(よしっ!!)
自分の目の前の皿が空になっている。
ぐっとこぶしを握る。
が、痛いほどの視線を横から感じる。
「ん?何か?」
「お前の所作に感心したばかりなのだが。」
エドヴァルドは再び一杯になった自分のお皿を見て溜息をついた。
「類まれなる能力に感心すればいいのか、能力の無駄使いと嘆けばよいのか迷うところだ。」
そう言いながらも椎茸入りのスープをすべて飲んでくれた。
食後にはサロンに移動し、いつも紅茶(カティは+お菓子)を嗜むのだがその時もカティは少し離れて座る。
「今日はサロン冷えてるね?」
「・・・いつもと変わりはありませんが。」
ちらっとレオはエドヴァルドを見る。
「お父様、先ほどのわたくしいかがでしたか?」
「どうとは?」
「公爵令嬢としてですわ。」
「・・・令嬢は嫌いなものを他人の皿には移動しない。」
「ぐっ・・・」
カティはぶーっと口を尖らす。
「カティ様、淑女たるもの口はとがらせてはいけません。」
「急にどうした?」
「わたくしの真の姿を見ていただこうと思ったのです。私の淑女ぶりを見たらお父様もご安心されるかと。ほほほ。」
(不安でしか、ありませんよ。また下らない事思いついたんですね。)
レオはおそらく巻き込まれるだろうとため息をついた。
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