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episode T . ウィレムの場合 / ガストロミー・パーティー
Willem 003. Birthday プレゼント
しおりを挟むウィレムは
まるまる肥ったお餅ボディを
釦きらきらと羅紗の筒袖にぱつぱつ通し。
調教師にエスコートされ
部屋の中央に設けられた、少し高い壇上の
大座布団にその尻まですっぽりと安置に及んで、達磨を極めて、微笑んだ。
ぽっちりと両つの眼を青貝のように列べて光らせている。
それと、
むっちりとした太い指に食い込むターコイズの指輪の輝きを浴びた二十名の旦那さま方は、
果たせた性奴隷ウィレムとの再会に喜んだ。
会えない時間を経てもいっこうに色あせていないもののように思われる。
ウィレムの肥った体は、愛好家の旦那さま方の
血となり、肉となり、人生の糧になる。
partyでの禁止事項は、既に伝えられている。
今日の調教師の主な仕事は、アンティークチェアで優雅に座ること。
一番積極的な旦那さまがウィレムに近づき、
早速、鶏卵入の滋養麵麭がお口に運ばれた。
ウィレムがどういう存在なのかを、脳髄の細胞に理解させためだ。
真っ赤なリップが咀嚼するさまに、全ての人がときめいた。
そこへ、一体何を食べたのか唇にトマトケチャップのけばけばしいメイクを施した旦那さまがやって来て、
ロマンチックな箱をウィレムに差し出した。
金色のリボンを解きお花柄の包装紙を開けば、
透明な箱にネオンオレンジが眩しい大きなバイブレーターがテグスで固定されているものが出てきた。
ウィレムの頬がポォっと赤らんだのを見て、気を良くした旦那さまは
ウィレムの乳の下あたり膨りとした腹に埋もれたシルクのショーツを探り、少し許おんにょごおんにょごと行る。
「ぁぁ…」
気紛れにチョッチョッと触る。
「あぁぁ…~ンッ」
待憧れたウィレムの声の淡い彩りに、周囲の旦那さま方は、溢れる唾液をシャンパンやビールで流し込んだ。
次いで、濃紺のガウンをお洒落に着こなした旦那さまがウィレムの元へやってきた。
この旦那さまはドクターなのだ。
手には一目で匠の作品と分かる堅牢と軽やかさが同居した藤篭を下げている。
その中に納められているモノを見たウィレムは
「あぁ…、それは、許してください…ご主人さまぁ」
と、涙混じりの声訴えた。
篭の底の白い敷布の上には、夢見心地なパステルカラーのマーブルがプリントされたゴム製エネマシリンジ、
注射器型の浣腸器具は葡萄や百合の模様が施されたヴェネチアガラス製。
旦那さま監修のもと、ウィレムのためだけに職人に作らせたモノだ。
医師からエロの伝道師に成り上がった旦那さまが、調教師に次回の公開プレイのリクエストを伝える。
「今日とてつもなく愛らしく摂取したご馳走を排泄しているところも見てみたい」
と、声色にかッと気競が出て、白気濃やかに狼煙を揚げる。
「それでは、三日後にウィレムの公開排泄プレイを開催いたしましょう。私がMaster として取り仕切らせていただきます。詳細は明日発表致しますゆえ、皆様、性奴隷コンテンツにご注目を。抽選に漏れた方々にも肉便器の奉仕をご用意致します」
本日初めての調教師の発声がこのような内容となり、
何でい、わーい、おおお、という声が譟然と入違った。
ウィレムはお先真っ暗な近い未来を思い、遠慮なく、唇の厚い、真赤な顔を、ぬい、と出して、はたと睨んで、酔眼をとろりと据える。
そのチャーミングさに俄然食欲が増した旦那さまは、
熱々のフォンダンショコラにフォークを入れた。
勿論、このようなものだけでなく、煌めく贈り物を次々見せられ、旦那さま方はウィレムの顔に奇々妙々感心ピュアな微笑みをもたらした。
唐縮緬の浴衣、
金刺繍の入った分厚い日記帳、
絣の羽織、
薔薇の香りの歯磨き粉、
黄色い更紗のワンピース、
金剛砂の花骨牌、
毛糸の襟巻き、
凜々しい縞模様の腕時計、
蒼白い灯りを灯すランプ、
ブンブンと唸って飛ぶ蜜蜂の玩具、
紫色に光って消えるお化粧品、
ラピスラズリが嵌め込まれた聖画、
瑪瑙の万年筆、
烏賊墨のインク、
応援ありがとうございます!
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