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42話

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「俺だって甘いの好きだし、俺の世界じゃ熊は蜂蜜を舐めるものだから、レヴィが甘いものが好きでも全然大丈夫!むしろ、好きなら好きって言って欲しい…そうしたら、俺も作るし」

新しい事を知れたと笑うと、レヴィはそうか?と、鼻の頭をポリポリと掻いた。

「リルは何が好きかなぁ…」
「うーん…そのうち聞いてみたらどうだ?隠す事じゃないしな」
「そっか」

それもそうだと頷いてミルクを飲む。

「あ、レヴィはこのくらいの甘さなら平気?」

自分の飲んでいたカップを差し出す。
それを受け取ったレヴィは口をつけて嚥下する。
美味いと笑ったレヴィの笑顔が可愛いと思った。
カップを返されてからゆっくり飲み干したカップをシンクに置いて、レヴィにおやすみなさいを言う。
今の気持ちならふたりと一緒に寝られる気がした。

「レヴィ、リルと一緒に寝る?俺、邪魔じゃない?」
「邪魔なんて思わない…リクトが望むなら獣体でもいい…」
「それなら、ふたりをブラッシングしたい…喧嘩した訳じゃないけど…仲直りしよ?」

レヴィが瓶を空にしたのを見ながら、俺はリルの部屋に向かった。

「リル、いる?」
「おぅ」

短い返事があって俺は扉を開けた。

「リル、ごめん…許してくれるならレヴィと3人で寝よ?」

ダメかなと顔を上げられずにいると、リルが立ち上がる気配がして、次の瞬間抱き締められていた。

「むしろ、俺を赦してくれるのか?」

泣き出しそうなリルにきょとんと相手を見上げた。
何、赦すって…

「え、何で?リルを赦さないなんて…俺、何かされた?されてないよ?寧ろ俺の方が迷惑かけてるから…」

だから、リルはレヴィにあんなことを言ったのだろう。
こっそりと聞いてしまった言葉。

「俺は何も…されてないよ?だから、大丈夫」

リルの腕の力が強くなる。
少し苦しくなって、俺はポンポンとリルの背中を叩いた。

「リル、ちょっと痛い…ほら、レヴィも待ってるしあっちの部屋に行こう?」

腕を離してもらってから、リルの手を繋ぐようにして隣の部屋に向かう。
3人で眠るための部屋に既にレヴィは獣体でいた。
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