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25話

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「ふぅ……」

美南は大きく息を吐き出してからシャワーのコックを捻った。
ポタポタとお湯が落ちて漸く止まると借りたタオルで髪の水気を拭う。
お風呂に入りたい……。
独り暮らしの時も入れるときにはバスタブにお湯をはって身体を沈めたのだが、こちらの世界には入浴という概念が無い。
いや、無いわけではないのだけれど、シャワー文化らしくシャワーで済ませてしまうらしい。
立ち仕事が多いと足が浮腫まないのかなぁ。そんなことを考えながら美南は身体にバスタオルを巻いた。
疲れが抜けないように感じるのは何でだろうか。
このくらいの業務は普通にこなせていた筈なのに。
そう、思いながら着替えをして髪を拭きながらバスルームを出た。

「ベルゴッドさん?」

紅茶でも飲もうかとキッチンへ向かおうとして、まだベルゴッドが執務室の椅子に座っているのに気付く。

「あぁ、美南か……シャワーの使い方はわかったか?」
「はい、ひとりでできました」
「そうか……髪を拭いてやろうか?」
「大丈夫ですよ、紅茶飲みますか?飲むならいれますけど」

風呂上がりだから、冷たい飲み物が欲しいと思いながら、ティーポットを用意する。

「ベルゴッドさん、氷とか欲しいときはどうしたらいいですか?」
「氷か?厨房へ行けば分けてくれると思うが」
「あ、じゃあ行ってきます!」
「ちょっと待て、その格好でか?俺が行ってくるどのくらい必要だ?」
「グラスに詰めるくらいあれば大丈夫です」
「わかった、いいかその格好で部屋から外には出るな」

立ち上がったベルゴッドは、そう言い残して部屋を出ていく。
美南は首を傾げながらお湯が沸騰するのを待った。
お湯が沸騰してから、美南はお気に入りのピーチティーを少し濃いめに作る。
アイスピーチティーが一番好きなのだ。
色を見てから茶葉を除き、ベルゴッドが持ってきてくれる氷を使って冷たいのを飲みたいとグラスを用意して待っていた。

「貰ってきたぞ?」
「ありがとうございます」

あまり待たずに戻ってきたベルゴッドの手には、かなりの量のクラッシュアイスが入ったアイスペール。

「これをどうするんだ?」
「グラスに入れてから、濃いめに作った紅茶を注いで飲むのですよ」
「紅茶を冷たくするのか?」
「はい」

アイスペールを受けとると、トングを使ってグラスいっぱいに氷を入れるとゆっくりと紅茶を注ぐ。

「口に合うかわかりませんが、飲んでみますか?」
「じゃあ、せっかくだからいただく」

美南が差し出したグラスを受け取りつつ、ベルゴッドは残った氷を別のグラスに詰めていく。

「あっちで一緒に飲もうか」

そうソファーに促されて美南は自分のグラスを持ってソファーに移動する。
マドラーで回すとカランと鳴った氷がとても美味しそうに見えた。
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