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貧乏クジ2

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緑の宮に来てから5日目。

私達は護衛長の邸に招待された。

レオン様が笑顔で迎えてくれたけれど、トーマとミランダの機嫌がとても悪い。今いるのが窓もない薄暗い部屋だから、余計に怒って見えるわ。

「話とは何だ?緑の宮では出来ない事なのか?」
「アレン様のパーティーについて、話をしたかったんです。」
「俺達は欠席する。ランスロット様には既に手紙…」

レオン様が内ポケットから封筒を取り出したのを見て、何故かトーマが喋るのを止めてしまった。

「これの事ですか?」
「レオン…、何故その手紙を持ってるんだ。」
「欠席されては困るからです。」
「…俺達を囮にするつもりか?」
「そうです。」

囮…?

「もしかして辺境伯をパーティーに誘きだして捕まえるつもりなの?」
「はい。」
「駄目に決まってるじゃない!それじゃ、パーティーを延期した意味が全くなくなるわ!!」

辺境伯を捕まえるためだからって、ランスロット様を巻き込めない。

「ルーナ、少し落ち着くんだ。」
「でも…」
「レオン、俺だけ出席する。それで良いだろう。」
「2人で出席願います。」
「狙われる確率が高いのは俺だろう。ルーナは必要ない。」
「これは王命です。」
「だったら、何故直接俺にめいじないんだ。城で仕事をしていたのに。」
「分が悪いからでしょう。侯爵に反論されれば、簡単に命令出来ない。ラッセンは王家にとって頼りになる反面、脅威でもあるんです。」
「この邸に呼び出したのは陛下に会わせないようにする為か。」

パーティーの日まで、私とトーマはこの邸に閉じ込められるの?

護衛長…、ランスロット様の言う通り、仕事になると非情ね。

自分の思い通りの結果を得られるならまわりが傷ついても構わないっていうなら、犯罪者と大して変わらないじゃない。

皆、大切な人や物を持ってるのよ。それを、簡単に扱われてたまるもんですか。

「私達がパーティーに行かなければ、この人達は確実に辺境伯を捕まえられないのよ。でしょう?レオン様。」
「痛いと所をつきますね。実際、その通りです。万が一、野垂れ死にされると、死体を見つけるまで捜査は終わりませんから。」

野垂れ死に…?
辺境は今どうなってるのかしら。聞いても答えてはくれないわよね。

「トーマ、2人で出席しましょう。」
「駄目だ。これ以上ルーナを危険にさらしたくない。」
「辺境伯が捕まるまで、私達家族は危険だわ。トーマや私は自分の身を護る事が出来ても、エミリーはそうじゃない。」

エミリーの為にも、絶対にトーマは生きなきゃいけないのよ。
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