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極冬の国 篇

拒む異世界の姫と疑念を抱く王ら・前

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何かを想い、ふけるようにゆるりと過ごす冬子。美しい相貌そうぼううれいに満ちている。

近頃の冬子はどこか夢現ゆめうつつ。

あまり氷華ひょうかの宮からは出ず、寝所に置かれた長椅子にて、日がな微睡まどろむことが多い。

あれ程にこのんでは、通い詰めていた氷華ひょうかの花咲く王の庭園にも足が遠のく冬子。

当然、極冬王や双生そうせい二枚翅にまいばねのヒョウとセツが気付かないはずもなく、冬子のうれいを体調の悪さと感じる極冬王らは、冬子をいたわり、寝所での情交を差し控えている。

極冬王と同じく、冬子を愛する双生の片羽かたはのヒョウ。

元々に食の細い冬子が、最近では殊更ことさらに食べる量が少ない。

その冬子をおもんばかり、ヒョウは己れの歯でくだいた果実を流し込もうと、長椅子に微睡まどろむ冬子を引き寄せる。

「……あっ、ヒョウー」

思わず小さく驚く冬子。

「ー姫様、口を開けて……姫様の好きな実桃みもうの果実だ、さぁー」

ヒョウは冬子の唇へと己れの唇を重ねるなり、なかなか口を開けない冬子の口内へと強引に舌を差し入れ、すぐさま実桃みもうを流し入れる。

「ううっ……」

強引に流し込まれた実桃みもううめきを漏らす冬子は、ついぞこくりっとみ込む。

ヒョウはその様子に満足するやいなや、断りを入れる冬子の意には従わず、幾度も実桃みもうを流し入れる。

「……ヒョウ、ヒョウ、やめて……もういらないわ。お願い、お願いだから少し休ませてー……あっ!」

冬子の想いとは裏腹に、幾度も冬子と唇を合わせれば、当然ながらヒョウの欲情はたかぶりを見せる。

ーしかも幾度いくども重ねられた唇に、果実の汁がべたりと甘い粘液ねんえきとして残り、余計にヒョウの欲情に火を付ける。

やはりー、と云うか。

ヒョウはやわらかい敷布しきふがふんだんに敷かれた長椅子へと冬子を沈めるなり、冬子の衣装を肩からはずし、はだけさせてはそのなまめかしい裸身に魅入みいる。

「あっ、ヒョウ、いやっ……!」

身をよじる冬子。

ーしかし豊かな冬子の乳房があらわにさらされ、欲情みなぎるヒョウを甘く誘う。

冬子の乳房の頂きは薄く桃色に色付き、更には極冬王により刺し込まれた紫紺しこんの胸飾りがあやしくきらめいては、ゆらりと揺れている

たわわと実る乳房に、ぴんっと張り詰めた頂き。

色香纏いろかまとう美しい姫の淫靡いんびな裸身は、悩ましい程につやめいている。

途端とたんに、ヒョウの太きくさびがいきりつ。

「ああっ! いつ見ても姫様の双眸そうぼうは美しいー……」

もはや恍惚こうこつ相貌そうぼうゆるめるヒョウには、目の前の美しい裸身をさらけ出す冬子しか見えない。

冬子の豊かな乳房を片手でみ上げては、その頂きを口へと含み、舌でめ回してはこねくり回す。

「あっ、あっ、だめ……いやっ……!」

冬子の豊かな乳房のやわらかさに舌を打ち、存分ぞんぶんもてあそぶヒョウ。

「……ああっ、いや、いや、ヒョウ、お願いー……あああっ!」

何故なぜか美しい黒曜石こきようせきの瞳に涙をにじませる冬子。

冬子のその様子を官能かんのうよろこゆえうるみと受け取るヒョウは、もはや甘いみつを垂らしては、充分じゅうぶんうるおっているであろうー、冬子の蜜壺みつつぼへとぷつりっと指をし入れる。

「……!」

思わず驚きを隠せないヒョウ。

極冬王を始め、我ら双生そうせい二枚翅にまいばねさえもそのまめめかしい色香いろかからめ取る淫靡いんびじはなとも云える異世界の姫。

「……姫様、なぜ!」

「……ヒョウ、ヒョウ、お願い。気分がすぐれないの……だからお願い……どうか休ませてー」

(まさかっ、姫様は再び御子おこ身籠みごもっている……? それなら調子の悪さはうなずける)

「……姫様、どうかゆるして欲しい。そうとは知らずに無体むたいいた。すぐに寝台に連れていくから休んでー」

ヒョウは、冬子の身をつくろうなり寝台へと移す。

「姫様、姫様ー、もしや懐妊かいにんかもしれない。すぐに医官を呼んで来る」

冬子の感情の変化がもたらす情交への拒絶だとは、まさか思いもよらないヒョウは、あせりの色を浮かべ、心配げ冬子を見遣みやる。

「ヒョウー、その心配はないよ。姫様は懐妊かいにんなどはしていない。そうでしょう? 姫様ー……」

あやしげな笑みを浮かべる双生そうせい片羽かたはのセツが、突然に寝所へと現れては、冬子へと言葉を投げる。

「ふふっ、先程も敬愛けいあいするが王と話していたがー、今の姫様とヒョウの様子を伺っていてもやはり……姫様は我らとの交わりをいとおておられる感がいなめない。ふふっ、我が王もそう思われるでしょう……?」

「ああ、まさにー……姫、いったい如何いかがした。その心根こころねに何を想い、何を隠しているー」

いつもとは違い、どこか冷ややかな口調でのたまう極冬王がいる。

そしてー、思わず身を震わす冬子がいる。




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