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1話 パーティ会場での婚約破棄
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「すまないがシエル。僕と別れてもらいたい」
「え……どういうことですか……?」
一瞬、言われた言葉の意味が理解できなかった。私に言葉を発した人物はシグマ・ブリーテン侯爵令息。今年で21歳になる由緒ある貴族の息子なんだけど……伯爵令嬢である私とは婚約関係にあった。
貴族の集まるパーティ会場での出来事……当然、周囲には他の貴族の方々もいるわけで、会場の中央では楽しく踊りを披露しているグループもあった。数々のテーブルにはメイドや執事たちが次々と料理を用意している。
そんな楽しいはずの貴族たちの社交の場で、私はなんと言われた? 思わず、シグマに聞き返していた。
「ごめんなさい、もう一度言ってくださる?」
「だから、僕と別れてほしいんだ。婚約破棄ということだね」
「……え?」
婚約破棄? 婚約破棄ってあの婚約破棄? フォーランド王国の貴族たちの間でも偶に耳にする言葉ではあるけれど……それをシグマ・ブリーテン……私の夫になるはずの人物がしようとしている? 嘘でしょ?
「ど、どうして……? 私、なにか阻喪をしてしまいましたか……?」
私は咄嗟になにか不味いことをしたのではないかと考えてしまった。彼との関係は政略結婚要素が強いが、婚約破棄なんてことになったら、父さんや母さんへの迷惑……ひいては、アクアマイト家に傷がついてしまう。それだけはなんとか避けたかった。
「なにもないさ。ただ、僕が他に好きな人ができただけだよ」
「えっ?」
「ま、そういうことだから」
「あなたは……」
シグマの隣に立つ女性……金髪ブロンドの美人な彼女は侯爵令嬢であるアンナ・ホプキンスだった。
「彼女のことが好きになったんだよ。だから、君との仲は解消だシエル」
「そういうことだから。残念ね~~」
「…………」
目の前が真っ暗になってしまった……こんなパーティ会場での、まさかの婚約破棄……。たくさんの貴族に見られながらの恥辱以外の何物でもない……。それをシグマとアンナは悪びれる様子もなく、平然とやってのけたのだ……。
どうしよう……父さんや母さんになんて言えば……ブリーテン家との関係が強化されれば、アクアマイト家の家柄も強化される。そうやって言い聞かされてきたのに……こんな浮気男に台無しにされ、婚約破棄という汚名を公開されることになるなんて……。
私は許せなかった……でも、なにもできない……侯爵令息であるシグマに手を出せば、投獄だってあり得るわ。それをシグマはわかっている……だからこんなことができるんだ。私は涙が溢れてしまった。
「シエルを泣かせるとは、いい度胸だ」
「……?」
突如、そんな言葉を聞くまでは……。
「え……どういうことですか……?」
一瞬、言われた言葉の意味が理解できなかった。私に言葉を発した人物はシグマ・ブリーテン侯爵令息。今年で21歳になる由緒ある貴族の息子なんだけど……伯爵令嬢である私とは婚約関係にあった。
貴族の集まるパーティ会場での出来事……当然、周囲には他の貴族の方々もいるわけで、会場の中央では楽しく踊りを披露しているグループもあった。数々のテーブルにはメイドや執事たちが次々と料理を用意している。
そんな楽しいはずの貴族たちの社交の場で、私はなんと言われた? 思わず、シグマに聞き返していた。
「ごめんなさい、もう一度言ってくださる?」
「だから、僕と別れてほしいんだ。婚約破棄ということだね」
「……え?」
婚約破棄? 婚約破棄ってあの婚約破棄? フォーランド王国の貴族たちの間でも偶に耳にする言葉ではあるけれど……それをシグマ・ブリーテン……私の夫になるはずの人物がしようとしている? 嘘でしょ?
「ど、どうして……? 私、なにか阻喪をしてしまいましたか……?」
私は咄嗟になにか不味いことをしたのではないかと考えてしまった。彼との関係は政略結婚要素が強いが、婚約破棄なんてことになったら、父さんや母さんへの迷惑……ひいては、アクアマイト家に傷がついてしまう。それだけはなんとか避けたかった。
「なにもないさ。ただ、僕が他に好きな人ができただけだよ」
「えっ?」
「ま、そういうことだから」
「あなたは……」
シグマの隣に立つ女性……金髪ブロンドの美人な彼女は侯爵令嬢であるアンナ・ホプキンスだった。
「彼女のことが好きになったんだよ。だから、君との仲は解消だシエル」
「そういうことだから。残念ね~~」
「…………」
目の前が真っ暗になってしまった……こんなパーティ会場での、まさかの婚約破棄……。たくさんの貴族に見られながらの恥辱以外の何物でもない……。それをシグマとアンナは悪びれる様子もなく、平然とやってのけたのだ……。
どうしよう……父さんや母さんになんて言えば……ブリーテン家との関係が強化されれば、アクアマイト家の家柄も強化される。そうやって言い聞かされてきたのに……こんな浮気男に台無しにされ、婚約破棄という汚名を公開されることになるなんて……。
私は許せなかった……でも、なにもできない……侯爵令息であるシグマに手を出せば、投獄だってあり得るわ。それをシグマはわかっている……だからこんなことができるんだ。私は涙が溢れてしまった。
「シエルを泣かせるとは、いい度胸だ」
「……?」
突如、そんな言葉を聞くまでは……。
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