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望まぬ称号
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俺は久々に自宅へと戻り、おじいちゃんとおばあちゃんに帰って来た挨拶をしたかったが、2人はカレン商店でお客さんの相手をしていたので話すことが出来なかった。
「ノノちゃんは?」
我が家のもう1人の家族の姿が見えなかったので俺は母さんに聞いてみる。
「ノノちゃんは今おつかいを頼んでいるの。そろそろ帰ってくると思うわ。お兄ちゃんとお姉ちゃんが無事に帰ってきますようにって毎日お祈りしていたのよ」
「そっか。早く会いたいな」
「私も心配させてしまったので申し訳ないです」
新しい妹は本当に良い子のようだ。あの時ナルキスからノノちゃんを救うことが出来て本当に良かった。
「それと母さん、サーシャがどこにいるかわかる?」
ルナさんを助けるために逸早く皇帝陛下の元へ向かうことが出来たのはサーシャのお陰だ。ぜひともお礼を言いたい。
「サーシャさん⋯⋯ね」
ん?
先程までルナさんとリリナディアが自宅に泊まるということでテンションMAXだった母さんの表情が突如暗くなる。
「サーシャに何かあったの?」
「サーシャさんは⋯⋯連れ去られてしまったの」
「えっ!」
サーシャが連れ去られた⋯⋯だと⋯⋯。
俺は母さんの言葉に動揺してしまうがよくよく考えてみるとサーシャが連れ去られる心当たりがあったな。
「皇帝陛下が連れていったのか」
「さすがリックちゃんね」
母さんも紛らわしい行動をしないで欲しいものだ。一瞬本当に何かあったんじゃないかと心配したぞ。
「サーシャさんはここに残りたかったみたいだけど皇帝陛下に言われたらね」
「サーシャは気さくに接してくれているけど公爵家の令嬢だからいつまでも他国にいるわけにはいかないんじゃないかな」
「そういえば皇帝陛下と一緒に来ていたエミリアちゃんはサーシャさんが連れ去られるのを見て喜んでいるように見えたわ」
エミリアちゃん? 何だか親しい呼び方だな。
もしかしてだけど皇帝陛下がズーリエの街に来たのはエミリアのせいか? 帝国の外にサーシャだけ出ていることに嫉妬して皇帝陛下に働きをかけたのかもしれない。あの2人は仲が悪いからな。
「エミリアちゃんはあれよね」
母さんがあれと口にしたのはおそらく元婚約者だと言いたいのだろう。
「私がリックちゃんの母親だって知るとすごく良くしてくれたのよ」
「母さんとエミリアって初対面だよね?」
「そうよ」
「何でエミリアは⋯⋯」
正直あのドSのエミリアが人に優しくするなんて信じられない話だ。
「リックちゃんは何でエミリアさんが私に良くしてくれたかわからないの?」
「えっ? 母さんはわかるの?」
初対面であのエミリアと仲良くなれるなんて母さんはどれだけコミュニケーション能力が高いんだ。俺は2度目の生を受けているから人生経験は母さんと同じくらいなんなけどなあ。
「う~んそれは私の口からは言えないわ。だって将来のおよ⋯⋯んんっ! 何でもないわ」
「メリスさんそこで話を切られると気になってしまいますよ」
「ふふ⋯⋯ごめんなさいね。修羅場になるかもしれないからこれ以上はちょっと」
「修羅場ですか?」
何だかよくわからないが母さんが物騒なことを言い始めた。これ以上聞かない方が身のためなのかもしれない。
「さあさあそんなことより長旅で疲れたでしょ? 座って座って」
そして俺達は母さんの手によって強引にリビングへと押し込まれるのであった。
「お兄ちゃん! お姉ちゃん!」
リビングにて椅子に座ってゆっくり休んでいると突然叫ぶような声が聞こえ、ノノちゃんが俺の腹部目掛けて突撃してきた。
「ぐふっ! いいタックルだ」
ノノちゃんの勢いがついたタックルに腹の中にあるものをリバースしそうになるが何とか堪える。
そしてノノちゃんは俺のお腹に自分の頭をグリグリと押しつけてきた。
「お兄ちゃんお兄ちゃん会いたかったよお」
な、何だこの庇護欲のそそる生き物は。
俺に懐いてくれるノノちゃんが可愛くてしょうがない。
あれ? もしかして俺ってけっこう年下好き? ロリコン? いやいやそんなバカな。俺にそんな称号はないはず⋯⋯⋯⋯⋯⋯だけど念のために調べてみるか。
俺は自分に向かって鑑定を使ってみる。
名前:リック
性別:男
種族:人間
レベル:67/500
称号:元子爵・勇者パーティーから追放されし者・女神の祝福を受けし者・異世界転生者・???・昆虫ハンター・王者を打ち破りし者・ロリコン
力:762
素早さ:532
耐久力:401
魔力:7021
HP:432
MP:1231
スキル:力強化A・スピード強化E・魔力強化D・剣技B・弓技D・鑑定・探知・夜目・聴覚強化・麻痺耐性A・ミーティアスラスト・動体視力強化・反射神経強化
魔法:補助魔法クラス4・創聖魔法クラス6
おっ? けっこうレベルが上がっているな。それと創聖魔法のクラスが5から6になっている。
称号も皇帝陛下に勝ったせいか【王者を打ち破りし者】が追加されてロリコンなんてものは⋯⋯あるぅぅぅっ!
何で! つい先日確認した時にはなかったよな! もしかして今追加されたのか!
称号って消すことができるのか? 落ち着け俺⋯⋯ノノちゃんは妹ノノちゃんは妹。女性として意識しちゃいけない。
しかしさっきからノノちゃんが頭をグリグリと押しつけると同時に、けして大きくない柔らかい膨らみも押しつけられていて意識するなというのは無理な話だ。
この称号⋯⋯絶対に見られたらダメだな!
こうして俺は望んでいない称号を手に入れてしまい、絶対他人に自分のステータスを見られるわけにはいかないと心に強く誓うのであった。
「ノノちゃんは?」
我が家のもう1人の家族の姿が見えなかったので俺は母さんに聞いてみる。
「ノノちゃんは今おつかいを頼んでいるの。そろそろ帰ってくると思うわ。お兄ちゃんとお姉ちゃんが無事に帰ってきますようにって毎日お祈りしていたのよ」
「そっか。早く会いたいな」
「私も心配させてしまったので申し訳ないです」
新しい妹は本当に良い子のようだ。あの時ナルキスからノノちゃんを救うことが出来て本当に良かった。
「それと母さん、サーシャがどこにいるかわかる?」
ルナさんを助けるために逸早く皇帝陛下の元へ向かうことが出来たのはサーシャのお陰だ。ぜひともお礼を言いたい。
「サーシャさん⋯⋯ね」
ん?
先程までルナさんとリリナディアが自宅に泊まるということでテンションMAXだった母さんの表情が突如暗くなる。
「サーシャに何かあったの?」
「サーシャさんは⋯⋯連れ去られてしまったの」
「えっ!」
サーシャが連れ去られた⋯⋯だと⋯⋯。
俺は母さんの言葉に動揺してしまうがよくよく考えてみるとサーシャが連れ去られる心当たりがあったな。
「皇帝陛下が連れていったのか」
「さすがリックちゃんね」
母さんも紛らわしい行動をしないで欲しいものだ。一瞬本当に何かあったんじゃないかと心配したぞ。
「サーシャさんはここに残りたかったみたいだけど皇帝陛下に言われたらね」
「サーシャは気さくに接してくれているけど公爵家の令嬢だからいつまでも他国にいるわけにはいかないんじゃないかな」
「そういえば皇帝陛下と一緒に来ていたエミリアちゃんはサーシャさんが連れ去られるのを見て喜んでいるように見えたわ」
エミリアちゃん? 何だか親しい呼び方だな。
もしかしてだけど皇帝陛下がズーリエの街に来たのはエミリアのせいか? 帝国の外にサーシャだけ出ていることに嫉妬して皇帝陛下に働きをかけたのかもしれない。あの2人は仲が悪いからな。
「エミリアちゃんはあれよね」
母さんがあれと口にしたのはおそらく元婚約者だと言いたいのだろう。
「私がリックちゃんの母親だって知るとすごく良くしてくれたのよ」
「母さんとエミリアって初対面だよね?」
「そうよ」
「何でエミリアは⋯⋯」
正直あのドSのエミリアが人に優しくするなんて信じられない話だ。
「リックちゃんは何でエミリアさんが私に良くしてくれたかわからないの?」
「えっ? 母さんはわかるの?」
初対面であのエミリアと仲良くなれるなんて母さんはどれだけコミュニケーション能力が高いんだ。俺は2度目の生を受けているから人生経験は母さんと同じくらいなんなけどなあ。
「う~んそれは私の口からは言えないわ。だって将来のおよ⋯⋯んんっ! 何でもないわ」
「メリスさんそこで話を切られると気になってしまいますよ」
「ふふ⋯⋯ごめんなさいね。修羅場になるかもしれないからこれ以上はちょっと」
「修羅場ですか?」
何だかよくわからないが母さんが物騒なことを言い始めた。これ以上聞かない方が身のためなのかもしれない。
「さあさあそんなことより長旅で疲れたでしょ? 座って座って」
そして俺達は母さんの手によって強引にリビングへと押し込まれるのであった。
「お兄ちゃん! お姉ちゃん!」
リビングにて椅子に座ってゆっくり休んでいると突然叫ぶような声が聞こえ、ノノちゃんが俺の腹部目掛けて突撃してきた。
「ぐふっ! いいタックルだ」
ノノちゃんの勢いがついたタックルに腹の中にあるものをリバースしそうになるが何とか堪える。
そしてノノちゃんは俺のお腹に自分の頭をグリグリと押しつけてきた。
「お兄ちゃんお兄ちゃん会いたかったよお」
な、何だこの庇護欲のそそる生き物は。
俺に懐いてくれるノノちゃんが可愛くてしょうがない。
あれ? もしかして俺ってけっこう年下好き? ロリコン? いやいやそんなバカな。俺にそんな称号はないはず⋯⋯⋯⋯⋯⋯だけど念のために調べてみるか。
俺は自分に向かって鑑定を使ってみる。
名前:リック
性別:男
種族:人間
レベル:67/500
称号:元子爵・勇者パーティーから追放されし者・女神の祝福を受けし者・異世界転生者・???・昆虫ハンター・王者を打ち破りし者・ロリコン
力:762
素早さ:532
耐久力:401
魔力:7021
HP:432
MP:1231
スキル:力強化A・スピード強化E・魔力強化D・剣技B・弓技D・鑑定・探知・夜目・聴覚強化・麻痺耐性A・ミーティアスラスト・動体視力強化・反射神経強化
魔法:補助魔法クラス4・創聖魔法クラス6
おっ? けっこうレベルが上がっているな。それと創聖魔法のクラスが5から6になっている。
称号も皇帝陛下に勝ったせいか【王者を打ち破りし者】が追加されてロリコンなんてものは⋯⋯あるぅぅぅっ!
何で! つい先日確認した時にはなかったよな! もしかして今追加されたのか!
称号って消すことができるのか? 落ち着け俺⋯⋯ノノちゃんは妹ノノちゃんは妹。女性として意識しちゃいけない。
しかしさっきからノノちゃんが頭をグリグリと押しつけると同時に、けして大きくない柔らかい膨らみも押しつけられていて意識するなというのは無理な話だ。
この称号⋯⋯絶対に見られたらダメだな!
こうして俺は望んでいない称号を手に入れてしまい、絶対他人に自分のステータスを見られるわけにはいかないと心に強く誓うのであった。
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