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初めての体験
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俺はテッドを連れて、ドルドランドの中央区画へと向かう。
さすがにこの辺りはまだ治安が良いようだ。
元々この区画は金持ちが多く住んでいるから、がらが悪い奴は少ない。
だがつい先日まではがらの悪い奴すらここにはいなかった。このままではドルドランドは、世紀末のヒャッハーな街になってしまうかもしれないな。
「リック、それでどこだよ? 可愛い姉ちゃんがいる店は」
テッドが知り合ってから、一番良い顔をしているように見えるのは気のせいか?
本当にケインさんの情報を探しに行くためだよな? 何だかただ可愛いお姉さんと楽しみたいだけに思えてきた。
しかし色々釈然とはしないが、今日くらいはテッドに付き合ってやるか。
そして俺達は夜でも煌びやかに光る区画へと到着し、一軒の店に入る。
「「「いらっしゃいませ~」」」
するときわどいドレスを着た女の子達が、俺とテッドを迎えてくれた。
これは目のやり場に困るな。
まるで以前見たルナさんのネグリジェのように胸の谷間が見えるし、スカートの丈が短い。
こういう所は前世も含めて初めて来たけど、何てけしからん場所なんだ。
「御客様、当店は初めてでございますね」
「は、はい」
落ち着いた雰囲気を出している女性が話しかけてきた。
さすがは高級店。客の顔を覚えているんだな。俺が初めての客だということをすぐに見抜かれてしまった。
「当店は一時間銀貨二枚でお楽しみ頂けます。そしてキャストを指名するとプラスして指名料を頂き、食事と飲み物は別途お金がかかることをご了承下さい」
「わかりました」
本当に前世のキャバクラみたいな所だな。指名料ってどれくらいかかるんだ?
「リック⋯⋯お前金は持ってるんだろ? 俺はラフィーネ様から最低限の旅費しかもらってなくてよお」
「わかりました。ここは俺が出しますよ」
ラフィーネさんの命令とはいえ、テッドは俺の都合でドルドランドまで来ることになってしまったからな。少しくらいは良い思いをさせてやろう。
「よっしゃー! さすがリックだぜ。この店のナンバー1とナンバー2を俺達のテーブルに呼んでくれ」
このやろう。人の金だと思って遠慮せずにきたな。
だが残念ながらテッドの思うようにはいかなかった。
「申し訳ありません。本日は当店のナンバー1とナンバー2は休みを頂いてまして⋯⋯」
「それならナンバー3とナンバー4を呼んでくれ。酒もジャンジャン持ってこい」
「かしこまりました。すぐに御用意させて頂きます」
そして俺達は柔らかい豪華なソファーに案内されると、すぐに酒と二人の女性が来た。
「お待たせ致しました。私はライムと申します」
「レモンで~す」
「本日は私達が担当させて頂きます」
「俺はテッド、こいつはリックだ。二人がナンバー1とナンバー2じゃないの? いや~こんなに綺麗で可愛い娘は初めて見たぜ」
「ふふ⋯⋯ありがとうございます」
「レモン、褒めてもらえて嬉しいで~す」
ライムさんは入口からここまで案内してくれたお姉さんだ。そしてレモンさんはちょっとギャルっぽくて、笑顔が似合う女の子だ。
「失礼します」
そしてライムさんが俺の隣に、レモンさんがテッドの横に座る。
「レモンちゃん可愛いねえ。お兄さんの彼女にならない?」
「嫌だもう~。会っていきなりそれですか~。でも~いっぱいお金を使ってくれたら考えてもいいかも~」
「任せてくれ。君をこの店のナンバー1にしてみせるよ」
「本当~? 嬉しい~」
レモンさんはそう言ってテッドの腕に抱きつく。
やれやれ。テッドは本当にケインさんの情報を仕入れに来たのだろうか。
俺にはただこの場を楽しんでいるようにしか見えない。
「リックさん少し疲れていますか?」
「えっ? 何でですか?」
「う~ん⋯⋯何となくです。このお仕事をしているとお客様の状態がわかる時があるんです」
「少しね。今日ドルドランドに到着したばかりなんだ」
「それは大変でしたね。今この街はとても治安が悪くて危険ですから」
「そうですね。盗賊が何人も邪魔してきました」
「そのような中で街までたどり着くなんて⋯⋯リックさんはお強いんですね。私も守って頂きたいわ」
そしてライムさんが身体をこちらに寄せてくる。
うっ! 甘い良い匂いが俺の鼻をくすぐってきた。しかもライムさんは少し前屈みになっているので、胸の谷間がより一層強調される形になっている。
ノノちゃんとリリを宿に置いてきていることもあり、何だか凄く悪いことをしているような気になってしまう。
「ち、治安がもっとよくなると良いですね」
「そうですね。ですがそれは難しいと思います」
「それはどういうことですか?」
予想はつくけど、ここに住んでいる人がどう思っているのか聞いてみたい。
「元々ドルドランドの領主様と長男のデイド様の評判は悪くて⋯⋯一時は次男のリック様が勇者パーティーに入り、領主になるのではと皆さん期待していたみたいですが追放されてしまって⋯⋯あら? そういえばお客様のお名前は領主様の次男の方と同じです」
「ほ、本当だ。奇遇ですね」
「そのリック様が追放されたことで、これ以上ドルドランドは良くならないと街の人達も諦めてしまいました。犯罪が多くなってしまったのはそのためです」
俺が勇者パーティーに入った所で、誰も期待していないと思った。ハインツ達からは冷遇されていたしな。でも違ったんだ。
「すみませんお話ばかりして。お酒をつがせて頂きますね」
「ありがとうございます」
「せっかくお知り合いになれたので、気分が沈む話よりリックさんのことをもっと聞いてみたいです」
そしてライムさんは俺の左膝の上に手を置いてきた。
ちょ、ちょっと近すぎじゃないか! このままだと俺は⋯⋯
「す、すみません! ちょっとトイレに行ってきます!」
俺はライムさんの誘惑にのまれそうになったので立ち上がり、この場を離脱する。
「ふふ⋯⋯リックさんは初なんですね。食べたくなっちゃうくらい可愛いわ」
た、食べるってどういう意味だ! 俺、この後どうなっちゃうの!
とりあえず俺はライムさんに乱された感情を落ち着かせるために、トイレへと向かう。
そしてトイレに行って席に戻ると、先程とは違う空気が流れていることに気づくのであった。
さすがにこの辺りはまだ治安が良いようだ。
元々この区画は金持ちが多く住んでいるから、がらが悪い奴は少ない。
だがつい先日まではがらの悪い奴すらここにはいなかった。このままではドルドランドは、世紀末のヒャッハーな街になってしまうかもしれないな。
「リック、それでどこだよ? 可愛い姉ちゃんがいる店は」
テッドが知り合ってから、一番良い顔をしているように見えるのは気のせいか?
本当にケインさんの情報を探しに行くためだよな? 何だかただ可愛いお姉さんと楽しみたいだけに思えてきた。
しかし色々釈然とはしないが、今日くらいはテッドに付き合ってやるか。
そして俺達は夜でも煌びやかに光る区画へと到着し、一軒の店に入る。
「「「いらっしゃいませ~」」」
するときわどいドレスを着た女の子達が、俺とテッドを迎えてくれた。
これは目のやり場に困るな。
まるで以前見たルナさんのネグリジェのように胸の谷間が見えるし、スカートの丈が短い。
こういう所は前世も含めて初めて来たけど、何てけしからん場所なんだ。
「御客様、当店は初めてでございますね」
「は、はい」
落ち着いた雰囲気を出している女性が話しかけてきた。
さすがは高級店。客の顔を覚えているんだな。俺が初めての客だということをすぐに見抜かれてしまった。
「当店は一時間銀貨二枚でお楽しみ頂けます。そしてキャストを指名するとプラスして指名料を頂き、食事と飲み物は別途お金がかかることをご了承下さい」
「わかりました」
本当に前世のキャバクラみたいな所だな。指名料ってどれくらいかかるんだ?
「リック⋯⋯お前金は持ってるんだろ? 俺はラフィーネ様から最低限の旅費しかもらってなくてよお」
「わかりました。ここは俺が出しますよ」
ラフィーネさんの命令とはいえ、テッドは俺の都合でドルドランドまで来ることになってしまったからな。少しくらいは良い思いをさせてやろう。
「よっしゃー! さすがリックだぜ。この店のナンバー1とナンバー2を俺達のテーブルに呼んでくれ」
このやろう。人の金だと思って遠慮せずにきたな。
だが残念ながらテッドの思うようにはいかなかった。
「申し訳ありません。本日は当店のナンバー1とナンバー2は休みを頂いてまして⋯⋯」
「それならナンバー3とナンバー4を呼んでくれ。酒もジャンジャン持ってこい」
「かしこまりました。すぐに御用意させて頂きます」
そして俺達は柔らかい豪華なソファーに案内されると、すぐに酒と二人の女性が来た。
「お待たせ致しました。私はライムと申します」
「レモンで~す」
「本日は私達が担当させて頂きます」
「俺はテッド、こいつはリックだ。二人がナンバー1とナンバー2じゃないの? いや~こんなに綺麗で可愛い娘は初めて見たぜ」
「ふふ⋯⋯ありがとうございます」
「レモン、褒めてもらえて嬉しいで~す」
ライムさんは入口からここまで案内してくれたお姉さんだ。そしてレモンさんはちょっとギャルっぽくて、笑顔が似合う女の子だ。
「失礼します」
そしてライムさんが俺の隣に、レモンさんがテッドの横に座る。
「レモンちゃん可愛いねえ。お兄さんの彼女にならない?」
「嫌だもう~。会っていきなりそれですか~。でも~いっぱいお金を使ってくれたら考えてもいいかも~」
「任せてくれ。君をこの店のナンバー1にしてみせるよ」
「本当~? 嬉しい~」
レモンさんはそう言ってテッドの腕に抱きつく。
やれやれ。テッドは本当にケインさんの情報を仕入れに来たのだろうか。
俺にはただこの場を楽しんでいるようにしか見えない。
「リックさん少し疲れていますか?」
「えっ? 何でですか?」
「う~ん⋯⋯何となくです。このお仕事をしているとお客様の状態がわかる時があるんです」
「少しね。今日ドルドランドに到着したばかりなんだ」
「それは大変でしたね。今この街はとても治安が悪くて危険ですから」
「そうですね。盗賊が何人も邪魔してきました」
「そのような中で街までたどり着くなんて⋯⋯リックさんはお強いんですね。私も守って頂きたいわ」
そしてライムさんが身体をこちらに寄せてくる。
うっ! 甘い良い匂いが俺の鼻をくすぐってきた。しかもライムさんは少し前屈みになっているので、胸の谷間がより一層強調される形になっている。
ノノちゃんとリリを宿に置いてきていることもあり、何だか凄く悪いことをしているような気になってしまう。
「ち、治安がもっとよくなると良いですね」
「そうですね。ですがそれは難しいと思います」
「それはどういうことですか?」
予想はつくけど、ここに住んでいる人がどう思っているのか聞いてみたい。
「元々ドルドランドの領主様と長男のデイド様の評判は悪くて⋯⋯一時は次男のリック様が勇者パーティーに入り、領主になるのではと皆さん期待していたみたいですが追放されてしまって⋯⋯あら? そういえばお客様のお名前は領主様の次男の方と同じです」
「ほ、本当だ。奇遇ですね」
「そのリック様が追放されたことで、これ以上ドルドランドは良くならないと街の人達も諦めてしまいました。犯罪が多くなってしまったのはそのためです」
俺が勇者パーティーに入った所で、誰も期待していないと思った。ハインツ達からは冷遇されていたしな。でも違ったんだ。
「すみませんお話ばかりして。お酒をつがせて頂きますね」
「ありがとうございます」
「せっかくお知り合いになれたので、気分が沈む話よりリックさんのことをもっと聞いてみたいです」
そしてライムさんは俺の左膝の上に手を置いてきた。
ちょ、ちょっと近すぎじゃないか! このままだと俺は⋯⋯
「す、すみません! ちょっとトイレに行ってきます!」
俺はライムさんの誘惑にのまれそうになったので立ち上がり、この場を離脱する。
「ふふ⋯⋯リックさんは初なんですね。食べたくなっちゃうくらい可愛いわ」
た、食べるってどういう意味だ! 俺、この後どうなっちゃうの!
とりあえず俺はライムさんに乱された感情を落ち着かせるために、トイレへと向かう。
そしてトイレに行って席に戻ると、先程とは違う空気が流れていることに気づくのであった。
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