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賢者、仲間の由来を知る。

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冒険者は何気ない言葉で、子供らしい向こう見ずな憧れをやんわりと窘めたのかもしれない。
そう簡単に村を出るわけにはいかないんだよ──と。
確かにケヴィンが長男や次男ならば、たとえ平民であっても家を継いでもらい家系を繋ぐために家を出る選択は与えられなかっただろう。
父親はおそらく一時の怒りで三男を追い出したが、さらに下の弟妹がいたのならば、家に金を入れるために村の娘と結婚してくれた方が都合がいい。

だというのにケヴィンは言われたのを幸いと村を飛び出し、かつての冒険者が言ったように『冒険に出れるようになったらわかった』のである──その無謀さこそが彼の才能を開花させたのだと。

「本当ならそこで僕の『冒険』は終わると思ったんだけどね」
「俺がケヴィンの村まで送るということでな」
ちょうどパーティーを離れ、1人で別の町に行って新しく旅を始めようと思っていたところだったデューンは、そのままケヴィンを引き受けることを約束して仲間と別れた。
まさかまったく装備を持たない子供を連れて旅をするわけにもいかず、とりあえず一式を買い与えようとしたのだが、そこで幸運だったのが、ケヴィンが拾った遺品はちゃんと商会の者が所持していたことが判明し、届けてもらった礼が支払われたのである。
「おかげで武器と防具の他にも着替えも買えたんだよねぇ」
「まあ、冒険者ギルドに登録する金は貸したがな」
「すぐに返しただろう?!」
「それが普通はあり得ないんだよ……」
ハァッとデューンが溜息をついたが、さらに聞けばケヴィンは旅立ちそうそう出来立てのダンジョンにぶち当たり、さっさとダンジョンマスターを斃してしまったと話してくれる。
「最低ランクのなり立て冒険者が倒せるものじゃないだろう、普通は。いくら出来立てのダンジョンとはいえ……」
「本当だよねぇ。アタシもそれ聞いた時は、こいつどれだけアホなのかとか思ったわよ!」
「え。だって別に普通だったよ?人間じゃなかっただけで。むしろ人間じゃなかったから、思いっきりいけたとゆーか」
あっけらかんとケヴィンは笑い、一体どんな魔物と戦ったのかと私は大いに気なった。


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