悪役令嬢、闇ギルドの稼ぎ頭になる

砂糖 真湖

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「レイ、才能ありますよ」

レイが闇ギルドに入って2週間。

島の人に頼みレイを指導してもらっているが。

報告させると皆そう言うのだ。

「何て言うんだろ、彼女ぬるぬる動くんですよね」
ぬるぬるってなんだ、もう少しちゃんと報告しろよ。

「レイは体小さいですが、びっくりするくらい体力がありますね。島の淵を走らせてみたんですが30周は走れるみたいです。」

なんだ、なんだ。
貴族のお嬢様じゃなかったのかよ。

日々入ってくる訳のわからん報告に首を傾げまくっていた時。
キアナとサクがふと言った言葉で、さらにの謎が深まることとなる。

「レイは、目がいいんですね。」

俺の自室で、今日のレイの訓練報告をしているのはサクとキアナだ。

ついでに紅茶をつぐ、といったキアナは、どこからかティーセットを取り出しながら俺に言った。

「どういうことだ?」

「今日、試しに実戦したんですけど。右目だけ私の動きについてきてるんですよね」

右目は、レイが死にかけたときの後遺症のひとつだったはずだ。白目の部分が赤く染まり、初めてみる人は怖がる見た目となっている。

「右目だけ…?」

「そうです、右目だけ。レイ、訓練の後酔ったみたいになるって言ってたんですけど。もしかしたら右目と左目で見え方がちがうのかもしれないですね。」

今度の訓練で、試しに片目だけで動いたらいいんじゃないでしょうか?

そう報告しつつ、キアナはティーカップに紅茶を注いでいく。
トポポポ…という軽い音と共に紅茶のいい匂いが部屋に広がっていった。

「…サクは?なにか報告あるか?」

「…今日もレイが天使だった」

「チッ。そういうのいいから。訓練の報告だよバカ野郎」

紅茶を受け取り一口飲むと熱かった。黙って机にティーカップを置くと、サクがバカにしたように笑う。

「強いて言うなら、身体強化に自分の魔力を全振りしてるみたいだよ」

「えー、と。それってやばいの?身体強化ってなに?」

というか、魔力ってなんなの?

キアナの疑問に俺が答える。
体内に魔力がある人とない人の違いは魔力だめ、という器官が体にあるかないかで決まる。

魔力が多い人ってのはこの魔力だめが大きい人だ。
魔力だめにある魔力を一度に使いきると、最悪死ぬこともあるから、魔力を持っていると判断された人間は講習を受ける必要がある。

それくらい命に関わることなのだ。

そして身体強化とは。その名前の通り身体能力を強化する事。魔力をもつ人が、講習会で一番始めに習う魔法でもある。

キアナへ説明してあげると納得したように頷いた。

「なるほどー、じゃあ、レイは魔力を持っている人間で、身体強化で自分の体力を底上げしてたんですね?」

「まあ、単純に考えるとそうなるな」


「後さ、レイ、少しづつ訓練時間延びてるんだよね。魔力は増えないんでしょ?」


「たぶん、元々の体力が上がってるんだろうな…。まぁ、とりあえずレイと話すか。」

サク、レイを呼んでこい。
そう言うと、さっと立ち上がりさっとサクが出ていく。
レイの事になると行動が早い。


背もたれにもたれて紅茶を口に含む。今度は熱くなかった。











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