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すごく恥ずかしい思いで食事をした後。
私はバルトさんの部屋の前にいた。
トントン
「おー、入れ」
ノックすると、バルトさんの声がした。
「お邪魔しまーす」
ドアを開けると、キアナとバルト、そしてサクがいた。
さっきのこともあって、サクと目が合わせずらい。
「そこに座れ」
バルトさんと向かい合って座ると、キアナが紅茶を注いでくれた。
「はい、どーぞ。アップルティーだよ」
「わ!ありがとう!!キアナ」
一口飲むとふわっと林檎の風味が広がってとてもおいしかった。
「これ美味しい!」
「ほんと?今度作り方教えてあげる」
「うん」
食後のお茶でしばらくほっこりした後、バルトさんが話始めた。
「なんで呼んだかっていうとな、まぁ、訓練のことでちょっと聞きたいことがあったんだ」
「なんですか?」
「えー、と。まずは…あぁ、レイ。お前、訓練後に酔ったみたいに気持ち悪くなるらしいが、右目と左目でなんか違いがあんのか?」
「なんか…右目の方が、はっきり見えるんですよね、人の動きが」
それに、右目の方が人がゆっくり動いているように見える。
そう伝えると、3人はやっぱりね、みたいな顔をした。
「じゃあ、レイ。お前は明日から、右目だけで訓練しろ。眼帯かなんか渡すから」
そう言われて素直に頷く。
「次に、報告で動きがぬるぬるしてるとの報告があったんだが、どういうことか分かったりするか?」
ぬるぬるとは。
なんか嫌だな、その報告。
嫌だと思ったのが顔に出てたらしい。
サクが笑いながら頭を撫でてくれる。
「攻撃を当てようとしたら、レイ、変な動きで避けるんから、たぶんそれのことだよ」
サクの説明に私は頷いた。なんか、どきまぎする。
「たぶん、貴族の時にダンスを習っていたんですけど。その型で避けたりします。そのことかな?」
「あー、そっか。レイって元々貴族なのか」
納得したように言うキアナに頷く。
「普通のワルツだけじゃなくて、色んなダンスをやっていたから」
ダンスなんて役に立たないと島に来てから思っていたけど、まさかこんなところで役に立つとは。
「あと、一番聞きたいのはだな」
「はい」
「レイ、魔力があるそうだが」
「はい、ありますね」
貴族は小さいときに魔力があるかどうか検査をするので、昔から自分は魔法が使えることを知っている。
「サクによると、身体強化にほとんど使っているそうだが」
驚いてサクをみる。
「僕も魔力持ちだから」
「え!そうなんだ!」
まさか気づかれるとは思わなかった。
「それで?使ってるのか?」
真剣な表情で聞いてくるバルトさんに、わたしは1つ頷いた。
「はい。…そのー、私、王族の婚約者になるようにと教育を受けていて、あまりに厳しいので体力が持たなくて、その時に身体強化を使い始めました」
喋っている途中、急に寒くなった気がした。
…あれ、紅茶凍ってる。
「…こんや、くしゃ?」
サクが何か呟く。
「え、サク?なんて…」
言ったの?って聞こうとした。
瞬間、ぐいっと腕を引っ張られる。
そのままぼすん、と隣に座っていたサクに、背中から抱きしめられていた。
「え、ええええええ」
ぼぼぼぼ、と自分の顔が熱くなるのが分かる。
どうしよう、私今きっと真っ赤だ。
「…ねぇ、婚約者って何?」
「え?え、あ。婚約者候補だよ。まだ会ったこともなかったし」
「婚約者候補のために身体強化かけてまで勉強頑張るの?」
…なんか、サク怖い。
「…家族に誉められること、それしかなかったもの。愛されたかったの」
そう、今思うと私は愛に飢えていた。
「じゃあ僕が愛してあげるね」
「え、う、うん」
「たくさん愛してあげる」
「…ちょっと、サクどうしたの?具合悪い?」
なんだかサクの様子がおかしい。
いつの間にか、寒くなくなっていたけど。なんだったんだろう?
「んーんー、大丈夫。」
話の続きしよ?そう言われて私はバルトさんとキアナから見られてるのに気づいた。視線が生暖かい。
「!!!!うわっ!サク離して!いつまで抱きしめてるの?!」
「いいじゃん、このままで」
暴れたけどがっちり抱き締められてて全然動けない。
ぐぬぬぬぬ…意外と力強いな…。
「ご、ごほ、ごほっ。…続けていいか?」
バルト さんが気まずそうに言う
「…はい」
もうやだ。
顔の熱が全然引かない。
_____________________
長くなるので、ここで一旦区切りますー。
すごく恥ずかしい思いで食事をした後。
私はバルトさんの部屋の前にいた。
トントン
「おー、入れ」
ノックすると、バルトさんの声がした。
「お邪魔しまーす」
ドアを開けると、キアナとバルト、そしてサクがいた。
さっきのこともあって、サクと目が合わせずらい。
「そこに座れ」
バルトさんと向かい合って座ると、キアナが紅茶を注いでくれた。
「はい、どーぞ。アップルティーだよ」
「わ!ありがとう!!キアナ」
一口飲むとふわっと林檎の風味が広がってとてもおいしかった。
「これ美味しい!」
「ほんと?今度作り方教えてあげる」
「うん」
食後のお茶でしばらくほっこりした後、バルトさんが話始めた。
「なんで呼んだかっていうとな、まぁ、訓練のことでちょっと聞きたいことがあったんだ」
「なんですか?」
「えー、と。まずは…あぁ、レイ。お前、訓練後に酔ったみたいに気持ち悪くなるらしいが、右目と左目でなんか違いがあんのか?」
「なんか…右目の方が、はっきり見えるんですよね、人の動きが」
それに、右目の方が人がゆっくり動いているように見える。
そう伝えると、3人はやっぱりね、みたいな顔をした。
「じゃあ、レイ。お前は明日から、右目だけで訓練しろ。眼帯かなんか渡すから」
そう言われて素直に頷く。
「次に、報告で動きがぬるぬるしてるとの報告があったんだが、どういうことか分かったりするか?」
ぬるぬるとは。
なんか嫌だな、その報告。
嫌だと思ったのが顔に出てたらしい。
サクが笑いながら頭を撫でてくれる。
「攻撃を当てようとしたら、レイ、変な動きで避けるんから、たぶんそれのことだよ」
サクの説明に私は頷いた。なんか、どきまぎする。
「たぶん、貴族の時にダンスを習っていたんですけど。その型で避けたりします。そのことかな?」
「あー、そっか。レイって元々貴族なのか」
納得したように言うキアナに頷く。
「普通のワルツだけじゃなくて、色んなダンスをやっていたから」
ダンスなんて役に立たないと島に来てから思っていたけど、まさかこんなところで役に立つとは。
「あと、一番聞きたいのはだな」
「はい」
「レイ、魔力があるそうだが」
「はい、ありますね」
貴族は小さいときに魔力があるかどうか検査をするので、昔から自分は魔法が使えることを知っている。
「サクによると、身体強化にほとんど使っているそうだが」
驚いてサクをみる。
「僕も魔力持ちだから」
「え!そうなんだ!」
まさか気づかれるとは思わなかった。
「それで?使ってるのか?」
真剣な表情で聞いてくるバルトさんに、わたしは1つ頷いた。
「はい。…そのー、私、王族の婚約者になるようにと教育を受けていて、あまりに厳しいので体力が持たなくて、その時に身体強化を使い始めました」
喋っている途中、急に寒くなった気がした。
…あれ、紅茶凍ってる。
「…こんや、くしゃ?」
サクが何か呟く。
「え、サク?なんて…」
言ったの?って聞こうとした。
瞬間、ぐいっと腕を引っ張られる。
そのままぼすん、と隣に座っていたサクに、背中から抱きしめられていた。
「え、ええええええ」
ぼぼぼぼ、と自分の顔が熱くなるのが分かる。
どうしよう、私今きっと真っ赤だ。
「…ねぇ、婚約者って何?」
「え?え、あ。婚約者候補だよ。まだ会ったこともなかったし」
「婚約者候補のために身体強化かけてまで勉強頑張るの?」
…なんか、サク怖い。
「…家族に誉められること、それしかなかったもの。愛されたかったの」
そう、今思うと私は愛に飢えていた。
「じゃあ僕が愛してあげるね」
「え、う、うん」
「たくさん愛してあげる」
「…ちょっと、サクどうしたの?具合悪い?」
なんだかサクの様子がおかしい。
いつの間にか、寒くなくなっていたけど。なんだったんだろう?
「んーんー、大丈夫。」
話の続きしよ?そう言われて私はバルトさんとキアナから見られてるのに気づいた。視線が生暖かい。
「!!!!うわっ!サク離して!いつまで抱きしめてるの?!」
「いいじゃん、このままで」
暴れたけどがっちり抱き締められてて全然動けない。
ぐぬぬぬぬ…意外と力強いな…。
「ご、ごほ、ごほっ。…続けていいか?」
バルト さんが気まずそうに言う
「…はい」
もうやだ。
顔の熱が全然引かない。
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長くなるので、ここで一旦区切りますー。
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