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第一章 大人の私と高校生の君
1 助けてくれる人
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今の私、眞野しほりは彼氏がいない、未婚の女である。
三十三歳の六月は、雨が多く、例年に比べるとそこまで暑くない。しかし、じめじめとした湿気で気分が悪かった。
他の原因もある。それは私の年齢と、未婚という現実。
私がこの歳になってもまだ結婚できていないのは、本人の性格に問題がある。そう母親に呆れ顔で言われたからだ。
出会いがないからだと、縁がないからだと、否定したくなる。でも、私はそうかもしれないねと肯定した。
彼氏を作る気がないわけではない。働く会社に男性はいるから、出会いがないわけでもない。ただ私を助けてくれる男がいないだけ。
オフィス街の中にある、少し古いビル。その四階に私が働く会社がある。
私は眉間に皺を寄せながら、パソコンの画面と睨めっこ。最後にマウスで印刷をクリックすると、スッと立ち上がった。
大きな印刷機から吐き出された三枚の印刷物を取る。
「一、二……あれ? 足りない」何度数えても印刷したはずの枚数が異なる。再び印刷をしてから足りない印刷物を揃えると、最も大きなデスクに向かった。
「見積もり、作り直しました」
出来立てホヤホヤの書類を上司に手渡す。
ふんぞりかえるように座る中年の男性は、片手で書類を受け取った。
「おー、これでいってみっかな」
彼は一通り目を通すと、徐にデスクにある分厚いファイルを五つ渡してきた。
「……これは?」
「そのファイルに入っている会社の情報が、現状と合うように見直してくれ。あと、直した書類をファイリングして棚に収めておくように」
「はあ。でもなんで急に」
「いやぁな、この前、客先で突かれちまってな? 情報管理をしっかりしてない会社とは契約を結べないって言われてよ」
情報管理ができていない。
そりゃそうだ。後からデータを付け足したり、途中で変えたりしてるもんだから、矛盾したデータになってる。
パソコンにある新しいデータと照らし合わせながら、紙の資料を更新しろと言いたいのだろう。
これはかなり骨の折れる作業になりそうだ。正直、やりたくない。
そう思っていたら、それが表情に出ていたのか、上司にわざとらしく鼓舞される。
「眞野さんにしか頼めないから、宜しく頼むな」
この台詞を聞くたびに、いいように使われているなと思う。
正直、その仕事は誰にでもできる。ただ量が多いことと、ややこしいので誰もやりたがらない。
仕事で失敗を繰り返す私に、上司は誰もやりたくない仕事を押し付けたいだけ。だって、その仕事が終わるまでは他の仕事ができないから。失敗して誰かの足を引っ張ることはない。
わかりましたと、静かに頷く。
ファイルを抱えながら重い足取りでデスクに戻ると、一人の青年がやって来た。
「俺も手伝うよ」
私の三歳上の先輩、奈良栄楊。彼は面倒見がよく、女性からモテるといった印象。
三冊のファイルを代わりに持ってくれると、そのまま「自分の仕事が終わったから、このデータはこっちで見直してみるね」と言ってくれた。
他の社員は見て見ぬフリをして、話しかけてこないのに。
こんな人が彼氏だったらなぁと、思う。
■ ■ ■
正直、苛々していた。
「だから、今年のお盆は仕事が忙しいから帰れないって言ってるじゃん」
スマートフォンを握る手に力が入る。
電話の相手は、母親。
最近は電話に出るたびに、彼氏はいないのかとよく訊かれる。そんな母は、盆に実家へ帰らない私が気に入らないらしい。
私がまだ会社にいることを知ってるのに、嘘だのなんだのとぐちぐちと言って、電話を切らせてくれないからたまったもんじゃない。
それに、今日は定時で終わったら、いつもの喫茶店でご褒美の珈琲を飲もうと思っていた。だから余計に腹立たしい。
「本当に仕事が忙しいの」
休憩時間が終わっているというのに、電話を切らない私を社員が見つめてくる。その視線が痛い。
『そう言って、本当は彼氏とデートなんじゃないの?』
「先週、彼氏はいないってはっきり言ったばっかでしょ。デートとかじゃないから」
『アンタが嘘ついてるかもしれないでしょ? で、どうなのよ? いるんでしょ? 彼氏』
ああ、鬱陶しい。
休憩室でコソコソと隠れながら電話する私の身にもなってほしい。社員の視線が更に増えて耐えられない。
「だから、いないって!」
『もう三十半ばに差し掛かろうという女が、そんなのでいいと思ってるの? 三十五を過ぎたら、結婚できなくなるっていうし、早く孫の顔を見せなさいよ』
「ああ、もう。私のことは放っておいてよ」
そもそも具体的な年齢をあげないでほしい。科学的な根拠があるわけでもないのに。
その場に座り込み、膝に顔を埋める。胸下辺りまで伸びた黒髪がさらりと揺れた。
「大体、今は結婚願望とかないから。無理、ほんとに無理」
すると、母は怒ったように声を荒げ、捲し立てた。
『結婚しないでどうすんのよ⁉︎ 私の老後を誰が見ると思ってんの? あんたしかいないのよ、あーんーたーしーか! 私の子供はあんただけ! あんたが私の面倒を見るの! それに、今は一人で生きていけるでしょうけど、歳を食えば独りだなんて不安ばかりなの、わかってる? 安定の生活を手に入れないと、後からつらい思いをするのはあんたよ⁉︎』
あんたあんた煩い。
結局、心配してるのは娘ではなく、自分の老後のこと。正直、そんな親の面倒をみてやりたいとは微塵も思わない。
「もう電話いい? こんなくだらない話をする暇なんてないの」
『くだらな——』
「じゃあね!」
母の言葉を遮って、一方的に電話を切ってやった。大人しくなる親ではないが、流石にそろそろ仕事に戻らないと上司に怒られる。
「私だって、本当は彼氏がほしいに決まってるじゃん……もっと上手く話せたら、もうできてたのかなぁ」
社会人になって十一年。一人暮らし歴も十一年。
元々寂しがり屋の私は、今も寂しくて堪らない。だからといって、口うるさい親がいる実家に帰る気にはなれない。
私は立ち上がりながら、スマートフォンをポケットに入れようとした瞬間、頭がくらっとした。
「あー……」
最近は特に〝練習〟に励んでいる。疎かな食事と短い睡眠時間から立ちくらみを起こしたのだろう。
あまり気にすることなく、休憩室を出た。
三十三歳の六月は、雨が多く、例年に比べるとそこまで暑くない。しかし、じめじめとした湿気で気分が悪かった。
他の原因もある。それは私の年齢と、未婚という現実。
私がこの歳になってもまだ結婚できていないのは、本人の性格に問題がある。そう母親に呆れ顔で言われたからだ。
出会いがないからだと、縁がないからだと、否定したくなる。でも、私はそうかもしれないねと肯定した。
彼氏を作る気がないわけではない。働く会社に男性はいるから、出会いがないわけでもない。ただ私を助けてくれる男がいないだけ。
オフィス街の中にある、少し古いビル。その四階に私が働く会社がある。
私は眉間に皺を寄せながら、パソコンの画面と睨めっこ。最後にマウスで印刷をクリックすると、スッと立ち上がった。
大きな印刷機から吐き出された三枚の印刷物を取る。
「一、二……あれ? 足りない」何度数えても印刷したはずの枚数が異なる。再び印刷をしてから足りない印刷物を揃えると、最も大きなデスクに向かった。
「見積もり、作り直しました」
出来立てホヤホヤの書類を上司に手渡す。
ふんぞりかえるように座る中年の男性は、片手で書類を受け取った。
「おー、これでいってみっかな」
彼は一通り目を通すと、徐にデスクにある分厚いファイルを五つ渡してきた。
「……これは?」
「そのファイルに入っている会社の情報が、現状と合うように見直してくれ。あと、直した書類をファイリングして棚に収めておくように」
「はあ。でもなんで急に」
「いやぁな、この前、客先で突かれちまってな? 情報管理をしっかりしてない会社とは契約を結べないって言われてよ」
情報管理ができていない。
そりゃそうだ。後からデータを付け足したり、途中で変えたりしてるもんだから、矛盾したデータになってる。
パソコンにある新しいデータと照らし合わせながら、紙の資料を更新しろと言いたいのだろう。
これはかなり骨の折れる作業になりそうだ。正直、やりたくない。
そう思っていたら、それが表情に出ていたのか、上司にわざとらしく鼓舞される。
「眞野さんにしか頼めないから、宜しく頼むな」
この台詞を聞くたびに、いいように使われているなと思う。
正直、その仕事は誰にでもできる。ただ量が多いことと、ややこしいので誰もやりたがらない。
仕事で失敗を繰り返す私に、上司は誰もやりたくない仕事を押し付けたいだけ。だって、その仕事が終わるまでは他の仕事ができないから。失敗して誰かの足を引っ張ることはない。
わかりましたと、静かに頷く。
ファイルを抱えながら重い足取りでデスクに戻ると、一人の青年がやって来た。
「俺も手伝うよ」
私の三歳上の先輩、奈良栄楊。彼は面倒見がよく、女性からモテるといった印象。
三冊のファイルを代わりに持ってくれると、そのまま「自分の仕事が終わったから、このデータはこっちで見直してみるね」と言ってくれた。
他の社員は見て見ぬフリをして、話しかけてこないのに。
こんな人が彼氏だったらなぁと、思う。
■ ■ ■
正直、苛々していた。
「だから、今年のお盆は仕事が忙しいから帰れないって言ってるじゃん」
スマートフォンを握る手に力が入る。
電話の相手は、母親。
最近は電話に出るたびに、彼氏はいないのかとよく訊かれる。そんな母は、盆に実家へ帰らない私が気に入らないらしい。
私がまだ会社にいることを知ってるのに、嘘だのなんだのとぐちぐちと言って、電話を切らせてくれないからたまったもんじゃない。
それに、今日は定時で終わったら、いつもの喫茶店でご褒美の珈琲を飲もうと思っていた。だから余計に腹立たしい。
「本当に仕事が忙しいの」
休憩時間が終わっているというのに、電話を切らない私を社員が見つめてくる。その視線が痛い。
『そう言って、本当は彼氏とデートなんじゃないの?』
「先週、彼氏はいないってはっきり言ったばっかでしょ。デートとかじゃないから」
『アンタが嘘ついてるかもしれないでしょ? で、どうなのよ? いるんでしょ? 彼氏』
ああ、鬱陶しい。
休憩室でコソコソと隠れながら電話する私の身にもなってほしい。社員の視線が更に増えて耐えられない。
「だから、いないって!」
『もう三十半ばに差し掛かろうという女が、そんなのでいいと思ってるの? 三十五を過ぎたら、結婚できなくなるっていうし、早く孫の顔を見せなさいよ』
「ああ、もう。私のことは放っておいてよ」
そもそも具体的な年齢をあげないでほしい。科学的な根拠があるわけでもないのに。
その場に座り込み、膝に顔を埋める。胸下辺りまで伸びた黒髪がさらりと揺れた。
「大体、今は結婚願望とかないから。無理、ほんとに無理」
すると、母は怒ったように声を荒げ、捲し立てた。
『結婚しないでどうすんのよ⁉︎ 私の老後を誰が見ると思ってんの? あんたしかいないのよ、あーんーたーしーか! 私の子供はあんただけ! あんたが私の面倒を見るの! それに、今は一人で生きていけるでしょうけど、歳を食えば独りだなんて不安ばかりなの、わかってる? 安定の生活を手に入れないと、後からつらい思いをするのはあんたよ⁉︎』
あんたあんた煩い。
結局、心配してるのは娘ではなく、自分の老後のこと。正直、そんな親の面倒をみてやりたいとは微塵も思わない。
「もう電話いい? こんなくだらない話をする暇なんてないの」
『くだらな——』
「じゃあね!」
母の言葉を遮って、一方的に電話を切ってやった。大人しくなる親ではないが、流石にそろそろ仕事に戻らないと上司に怒られる。
「私だって、本当は彼氏がほしいに決まってるじゃん……もっと上手く話せたら、もうできてたのかなぁ」
社会人になって十一年。一人暮らし歴も十一年。
元々寂しがり屋の私は、今も寂しくて堪らない。だからといって、口うるさい親がいる実家に帰る気にはなれない。
私は立ち上がりながら、スマートフォンをポケットに入れようとした瞬間、頭がくらっとした。
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最近は特に〝練習〟に励んでいる。疎かな食事と短い睡眠時間から立ちくらみを起こしたのだろう。
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※「恋する弟」として掲載していた作品を改題したものです
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