リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 錬金術師のお仕事

獣の氏族 中

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 祈りをささげる人々に導かれるようにヤギ車は、獣の氏族の居住区の中にある二つ目に大きな山に向かう。
一番大きな山に行くと思っていたリエラは、不思議に思ってアスタールさんに聞いてみたら、一番大きな山には獣舎や解体所や加工品を作る工房が入っているんだという返事が返ってきた。
住んでいるのはそれよりも小さな山なんだって。
言われてみると、ルナちゃんに連れて行ってもらった事がある中町の工房街はみんな、その氏族の居住区の中では一番大きな山だったような気がする。

 リエラがそんな風に考え事をしている間にもヤギは迷いなく足を進め続け、目的地の地上部分にあるヤギ車置き場の黒く大きな入口へと入り込んでいく。
入口からの光が入らなくなった辺りから、壁の両側に魔法の明かりが増えていくのは、中町の他の工房街と変わらない。
毎度のことながら、こういうところに気軽に魔法を使われているのを見ると、グラムナードの民にとって魔法が身近な物なんだと思い知らされる気分だ。
リエラの育った町でこういう場所で使われるのは、良くてランタン……かな?
かがり火とか松明の可能性もあるけど、そもそも昼間に明り取りの窓で足りないような構造の建物自体があまりなかった気がする。

「錬金術師様。本日もこのように獣臭い場所までご足労いただきありがとうございます」

 そう口にしながら腰を折るのは、髪に白いものの混じる輝影族の男性だ。
むしろ、黒い髪が混ざっていると言ってもいいくらいだから、長命な輝影族の中でも結構な年齢なのかもしれない。
200歳代なのか、300歳代になるのかはわからないけど。

「お初にお目にかかります。獣の氏族の長のダヴィドと申します。以後、お見知りおきを」
「あ、リエラと申します。ご丁寧にありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします」

 リエラに向かって腰を深く折りなおす男性に思わず頭を下げ返そうとすると、アスタールさんにそれを阻止された。
ちょっと、アスタールさん! いくら何でもわしづかみはひどいと思います!!
掴まれたコメカミが痛ぎる……!
抗議の気持ちを込めて涙目でにらむと、金色の瞳が冷静に見つめ返してくる。

「君と彼では立場が違う。背筋を伸ばしたまえ」

 まっすぐに背筋を伸ばして、リエラの後ろに立っているはずのアスタールさんの声が耳元で聞こえて、驚きに息をのむ。
目の前の男性が何の反応もしないところを見ると、何らかの魔法を使ってリエラにだけ話しかけているらしい。

「『代行者』の君が侮られるという事は、私が侮られるのと同じ事だ。グラムナードこの町で、君よりも上の立場にいるのは私だけだと胸に刻んで行動したまえ」

 ちょっと、『アレ?』って思ってしまう言葉も交じってたけど、リエラが下手に頭を下げたりするとまずいらしいという事は理解した。
理解したのと同時に体から力を抜くと、アスタールさんの手が頭から離れていく。
ちなみにアスタールさん、『代行者』に関してはなんにもするとは言ってないですよ?
リエラが協力するのは、異世界の恋人さんリリンさんの案件だけですから……!
……って言っても、誰かに交代するって事も出来なそうな雰囲気だったから、言うだけ無駄か。
代行者の方に関しては、出来るものならば他の人に代わってほしいところなんだけどね……。

「私の一番弟子のリエラだ。今日は、私が帰るまでの間に獣の氏族の生活を見せてやってほしい」
「かしこまりました、錬金術師様」

 氏族長さんはすぐに、少し離れた場所で待機していた若そうな女性を呼ぶと小声で指示を出す。
一瞬だけ席を外した彼女が戻ってくると、アスタールさんはリエラを置いて、ダヴィドさんと一緒にどこかへ行ってしまう。
リエラは、女性が連れてきた男の人たちに獣の氏族の居住区を案内してもらう事になるらしい。
案内してくれるのは総勢六人。
なんか、人数がおかしい気がする。
リエラ一人を案内するのに、六人もいらないよね??
若干、不安を感じながらもリエラは彼らの後について行く事にした。
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