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二年目 錬金術師のお仕事
ヤギはいらない子
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「そういえば、リエラがヤギとあんまりにも仲が悪いから、自分用の騎獣を作ったらどうかってアスタールさんから言われてるんですよ」
「自分用の騎獣?」
それを思い出したのは、アスラーダさんの後ろをウサギが走っていくのが目に入ったからだ。
「騎獣ねぇ……。お前が一人で跨るのか?」
なんか、『一人では乗れないだろう?』って言わんばかりの口調に腹が立つ。
でも、実際に自分一人で騎獣に乗れるかって言うと……多分無理。
ヤギはもちろん論外だけど、馬も、誰かが手綱を引いて歩いてくれるならとにかく、そうでないならダメだと思う。
「むむむ……。そしたら、車を牽いてもらう方向で」
「車を牽かせるにしても、どの程度の重さの物を、どの位の速度でとかの条件を考えるべきだな」
おおう……。
力の強さと足の速さ、どっちを取るかっていう選択が必要、と。
「――ああ、ある程度の大きさもないと見た目もヤバい」
「……確かに、普通のウサギにしか見えないのにヤギ車と同じサイズのを牽いてたら、心理的に怖いですね」
一瞬、ウサギさんが四人乗りの車を牽いているところを想像しちゃったよ……。
箱庭で作る魔獣って、ある範囲を超えて強くなってくると元にした動物のサイズまで縮む。
だから、四人乗りの車を牽けるウサギさんを作ることは可能だ。
でも、実際に作るかどうかは別問題だよね。
第一、牽くのが可能だったとしても、体高の関係上ハーネスを引きずっちゃうよね。
普通のウサギさんサイズはナイナイナーイ! だ。
まあ、一旦ウサギさんの事は横に置いて……話を戻さないと。
「とりあえず、利用方法は中町の移動に使う位ですかね?」
「なんでそこが不明瞭なんだ……」
「いや、他に一人で使う場面が思いつかなくって」
ぼんやりとした用途にアスラーダさんは呆れ顔だ。
でも、車って荷物や人を運ぶのが基本だし、リエラはあまり工房から出歩かない。
出掛ける時は、大概は誰かと一緒……というか、ほぼアスラーダさんと一緒だ。
そう考えると、むしろ彼の為に魔獣を作る方が正しいのでは?
良い事を思いついたと思ってそれを話してみたら、彼はガックリとうなだれてしまった。
「いや、スタート地点はアスタールのヤギの代わりを用意しろと言われたことだろう……? なんで俺に騎獣を作る話に変わってるんだ」
「は。……そういえばそうでした」
確かに、アスタールさんのヤギの代用品を作ろうって話がスタートなんだから、アスラーダさんの騎獣を作るって話になるとまた別件になっちゃうね。
んー……なんか、いい方法はないかな?
「……あ。そしたら、どっちにも使える子を作ればいいんですよ!」
「いや、そこは考える必要はないんじゃないか?」
いい考えだと思ってポンと手を打つと、即座にツッコミが入った。
でも、リエラの中ではすでに決定事項ってことで、聞き流させてもらおう。
だってね、『アスタールさんのヤギと仲が悪いから』って理由だと、リエラがヤギから逃げ出したようでちょっとシャクじゃない?
アスラーダさんが喜ぶかもしれない騎獣を作る『ついで』なら、そこのところを回避できるという……言い訳。
「って訳で、アスラーダさんの好きな動物は?」
「お前な……」
彼はあきれ顔でため息を吐いたものの、最後には結局、リエラの質問に全部答えてくれた。
素材回収所に来るといつもウサギを抱っこしていたし、そうなんじゃないかなーと思ってたんだけど、アスラーダさんの好きな動物はやっぱり『ウサギ』。
フワフワした毛と、ピコンピョコンと動く耳がイイらしい。
赤くならなくても、アスラーダさんが小さくて可愛い生き物が好きなのは知ってたから大丈夫ですよ?
「『ウサギ』をベースにするのは確定……と。ついでに、毛皮や目の色も決めちゃいましょうか」
「色はあんまり奇抜なのにしない方が良いだろうな」
「奇抜な色というと――」
「赤とか青とか。迷宮産だと言えば納得はされるだろうが、変なのに目を付けられやすくなる」
「なるほど。そしたら白とか茶色ですかね?」
「黒もアリだとは思う」
色々と話し合った結果、アスラーダさんの為の子の毛色は黒で、目は暗めの赤ということになった。
ヤギの代わりに車を牽かせる、リエラの分の子はさんざん悩んだ挙句、薄茶の毛皮に琥珀色の目に決定だ。
他にも細かく騎乗用ウサギの能力に関して相談しているうちに、あっという間に夕方になってしまってたのは……まあ、仕方がない。
リエラはその日の夜、寝る前の時間を利用して、廃研究所の箱庭で騎乗用ウサギを新しく作り出したのでした。
素材回収所の方を使わなかったのは、単純にリソースが足りなかったから。
なにはともあれ、これであの子憎たらしいヤギとはお別れだ!
ひゃっほー!
「自分用の騎獣?」
それを思い出したのは、アスラーダさんの後ろをウサギが走っていくのが目に入ったからだ。
「騎獣ねぇ……。お前が一人で跨るのか?」
なんか、『一人では乗れないだろう?』って言わんばかりの口調に腹が立つ。
でも、実際に自分一人で騎獣に乗れるかって言うと……多分無理。
ヤギはもちろん論外だけど、馬も、誰かが手綱を引いて歩いてくれるならとにかく、そうでないならダメだと思う。
「むむむ……。そしたら、車を牽いてもらう方向で」
「車を牽かせるにしても、どの程度の重さの物を、どの位の速度でとかの条件を考えるべきだな」
おおう……。
力の強さと足の速さ、どっちを取るかっていう選択が必要、と。
「――ああ、ある程度の大きさもないと見た目もヤバい」
「……確かに、普通のウサギにしか見えないのにヤギ車と同じサイズのを牽いてたら、心理的に怖いですね」
一瞬、ウサギさんが四人乗りの車を牽いているところを想像しちゃったよ……。
箱庭で作る魔獣って、ある範囲を超えて強くなってくると元にした動物のサイズまで縮む。
だから、四人乗りの車を牽けるウサギさんを作ることは可能だ。
でも、実際に作るかどうかは別問題だよね。
第一、牽くのが可能だったとしても、体高の関係上ハーネスを引きずっちゃうよね。
普通のウサギさんサイズはナイナイナーイ! だ。
まあ、一旦ウサギさんの事は横に置いて……話を戻さないと。
「とりあえず、利用方法は中町の移動に使う位ですかね?」
「なんでそこが不明瞭なんだ……」
「いや、他に一人で使う場面が思いつかなくって」
ぼんやりとした用途にアスラーダさんは呆れ顔だ。
でも、車って荷物や人を運ぶのが基本だし、リエラはあまり工房から出歩かない。
出掛ける時は、大概は誰かと一緒……というか、ほぼアスラーダさんと一緒だ。
そう考えると、むしろ彼の為に魔獣を作る方が正しいのでは?
良い事を思いついたと思ってそれを話してみたら、彼はガックリとうなだれてしまった。
「いや、スタート地点はアスタールのヤギの代わりを用意しろと言われたことだろう……? なんで俺に騎獣を作る話に変わってるんだ」
「は。……そういえばそうでした」
確かに、アスタールさんのヤギの代用品を作ろうって話がスタートなんだから、アスラーダさんの騎獣を作るって話になるとまた別件になっちゃうね。
んー……なんか、いい方法はないかな?
「……あ。そしたら、どっちにも使える子を作ればいいんですよ!」
「いや、そこは考える必要はないんじゃないか?」
いい考えだと思ってポンと手を打つと、即座にツッコミが入った。
でも、リエラの中ではすでに決定事項ってことで、聞き流させてもらおう。
だってね、『アスタールさんのヤギと仲が悪いから』って理由だと、リエラがヤギから逃げ出したようでちょっとシャクじゃない?
アスラーダさんが喜ぶかもしれない騎獣を作る『ついで』なら、そこのところを回避できるという……言い訳。
「って訳で、アスラーダさんの好きな動物は?」
「お前な……」
彼はあきれ顔でため息を吐いたものの、最後には結局、リエラの質問に全部答えてくれた。
素材回収所に来るといつもウサギを抱っこしていたし、そうなんじゃないかなーと思ってたんだけど、アスラーダさんの好きな動物はやっぱり『ウサギ』。
フワフワした毛と、ピコンピョコンと動く耳がイイらしい。
赤くならなくても、アスラーダさんが小さくて可愛い生き物が好きなのは知ってたから大丈夫ですよ?
「『ウサギ』をベースにするのは確定……と。ついでに、毛皮や目の色も決めちゃいましょうか」
「色はあんまり奇抜なのにしない方が良いだろうな」
「奇抜な色というと――」
「赤とか青とか。迷宮産だと言えば納得はされるだろうが、変なのに目を付けられやすくなる」
「なるほど。そしたら白とか茶色ですかね?」
「黒もアリだとは思う」
色々と話し合った結果、アスラーダさんの為の子の毛色は黒で、目は暗めの赤ということになった。
ヤギの代わりに車を牽かせる、リエラの分の子はさんざん悩んだ挙句、薄茶の毛皮に琥珀色の目に決定だ。
他にも細かく騎乗用ウサギの能力に関して相談しているうちに、あっという間に夕方になってしまってたのは……まあ、仕方がない。
リエラはその日の夜、寝る前の時間を利用して、廃研究所の箱庭で騎乗用ウサギを新しく作り出したのでした。
素材回収所の方を使わなかったのは、単純にリソースが足りなかったから。
なにはともあれ、これであの子憎たらしいヤギとはお別れだ!
ひゃっほー!
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