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二年目 錬金術師のお仕事
ウサギ車
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翌日の朝から、さっそくリエラの騎乗用ウサギ『ディー』をアスタールさんにお披露目した。
お披露目というか、ただ単にアスタールさんのヤギの代わりに、早速ディーに車を牽かせているだけなんだけど。
まあ、これもお披露目の一種じゃないかな?
それはそれとして、ディーはヤギと体高を合わせて創ったから、車を牽かせるのも問題なくこなせているし、悪さもせずに良く言う事を聞いてくれる。
これで午前中の移動が、随分と快適になったよ。
毎日の移動の為の準備が憂鬱だったから、リエラとしてはそれが一番嬉しかったりする。
「名前はそれでいいのかね?」
「ディーですけど……何か問題でも?」
ヤギ車改めウサギ車を操りつつ(と言っても、口頭で指示するだけだけど)紹介した、ディーと言う名前に首を傾げるアスタールさんに、同じ仕草を返しながら訊ねる。
平然とした表情になるように頑張ってるけど、内心ではちょっぴりドキびくだ。
だってさ……ディーの名前の元ネタに気づかれてたら嫌だな~……なんて思ったりなんかしたりして。
でも、それはリエラの勘繰りで、アスタールさんが考えてたのは別の事だったんだけど。
「『串焼き』とか、『フリッター』とかではないのかね?」
「いやいやいやいや、なんでディーを食べないといけないんですか!?」
「私のヤギは『煮込み』や『ステーキ』と呼んでいたではないか」
思わず目をむいて抗議するリエラに返ってきたのは、そんなお言葉。
はい。確かにそう呼んでましたね……。
「え~……。だって、あのヤギってばリエラの事をバカにしてひどい事ばっかりするんだもん……」
リエラは忘れない。
先週ずーーーーーーーっと、ヤギにつばを吐きかけられたり、頭を齧られ続けた事を。
ねちっこいかもしれないけど、本当に怒ってるんだから。
『洗浄』の魔法で汚れも匂いもきれいさっぱり洗い流せたとしても、セリスさんがリエラの為にって作ってくれた服を汚されまくったのは動かしようのない事実。
恨まないではいられないのです。
「なにはともあれ、『車』を牽かせる為の動物は工面できたのだから、次は『車』本体が作れるように手配するとしよう」
「……そういえば、そんな事も言ってましたね」
「うむ。――折角だから、部品を作るところからやってみると良い」
「部品から、ですか?」
ふむ……。
部品からってことは、こう、ネジとかクギとかそういったものの加工も全部?
それとも、木材なんかの素材類を入手するところから?
「素材を加工するところから始めた方が勉強になるのではないかと思うのだが、君はどうしたいかね?」
「むむむ。難しい事を聞きますね」
確かに素材の加工から学んでいった方が、自分で他の物を作ることになった時に応用がきくようになるだろう。
だとしたら、選択肢はひとつ。
「じゃあ、素材の加工から始めます」
「では、一台分の原材料の代金は工房で出すことにするから、素材を入手するところからはじめたまえ」
リエラの宣言を聞くと、アスタールさんは喋りながら何やらメモを書き始める。
なにやらブツブツ呟いているのに耳を傾けてみると、どうやらリエラが手に入れてこなくてはいけない素材のリストを作っているらしい。
最近気が付いたんだけど、アスタールさんって意外と、その時のノリと勢いで喋ってるよね……。
しばらくして渡されたメモに目を通して、リエラは思わず天を仰ぐ。
「アスタールさん……?」
「何かね?」
「これ、ウサギ車を作るための材料ですよね?」
「そうだが?」
「なんなんですか、これ! 内容がアバウトすぎます!」
メモに書かれていた材料は、牽引用ハーネスと車体の材料と用意すべき量だ。
ぶっちゃけ、必要な量に関してはずいぶんとたくさんの材料が必要なんだなぁって思った程度。
でも、必要な素材がすごくアバウトなんだよ。
牽引用ハーネスだと、《皮》と《金属》。
車体の場合は、《木材》と《金属》と《蛇型魔獣の皮》。
それから、座席用のクッション素材として《綿》もしくは《毛》と、《布》か《皮》。
「素材の加工は、私と共に各氏族に出向いている間に行うと良い。何を作るつもりかを説明したうえで相談すれば、どのようなものを用意すればいいか分かるはずだ」
「……素材の勉強からって事ですか」
それなりに素材に関しても勉強はしたつもりだけど、それは魔法薬や一部の魔法具で使うものに関してだけだ。
正直な話、まだまだ知らないものがたくさんある。
そういうのを学ぶのにいい機会だと、まぁそういう事なんだろうとリエラは納得して頷く。
「原材料の代金を出してくれるってことは、買っても構わないんですか?」
「うむ。入手の方法は問わない」
念の為に確認してみると、あっさりと肯定の返事が返ってくる。
自力で手に入れてこないとダメだとかなり厳しかったけど、そうじゃないと言われてほっと胸をなでおろす。
まだまだ、血に対しての耐性がつかないお陰で、《皮》の類を自分で手に入れるのは、ほぼ絶望的だからなぁ……。
「仕上がるまでには、時間がかかるだろう。まずは牽引用ハーネスから作りたまえ」
そうして作ることになったウサギ車が出来上がるのは、これから三か月後の秋の三日月も半ばに差し掛かるころ。
出来上がったウサギ車は、普段使いにするサイズではなく十人は乗れるであろう大型車。
リエラは、自分で作ったウサギ車で里帰りする羽目になるなんて、この時は思ってもみなかったのでした。
お披露目というか、ただ単にアスタールさんのヤギの代わりに、早速ディーに車を牽かせているだけなんだけど。
まあ、これもお披露目の一種じゃないかな?
それはそれとして、ディーはヤギと体高を合わせて創ったから、車を牽かせるのも問題なくこなせているし、悪さもせずに良く言う事を聞いてくれる。
これで午前中の移動が、随分と快適になったよ。
毎日の移動の為の準備が憂鬱だったから、リエラとしてはそれが一番嬉しかったりする。
「名前はそれでいいのかね?」
「ディーですけど……何か問題でも?」
ヤギ車改めウサギ車を操りつつ(と言っても、口頭で指示するだけだけど)紹介した、ディーと言う名前に首を傾げるアスタールさんに、同じ仕草を返しながら訊ねる。
平然とした表情になるように頑張ってるけど、内心ではちょっぴりドキびくだ。
だってさ……ディーの名前の元ネタに気づかれてたら嫌だな~……なんて思ったりなんかしたりして。
でも、それはリエラの勘繰りで、アスタールさんが考えてたのは別の事だったんだけど。
「『串焼き』とか、『フリッター』とかではないのかね?」
「いやいやいやいや、なんでディーを食べないといけないんですか!?」
「私のヤギは『煮込み』や『ステーキ』と呼んでいたではないか」
思わず目をむいて抗議するリエラに返ってきたのは、そんなお言葉。
はい。確かにそう呼んでましたね……。
「え~……。だって、あのヤギってばリエラの事をバカにしてひどい事ばっかりするんだもん……」
リエラは忘れない。
先週ずーーーーーーーっと、ヤギにつばを吐きかけられたり、頭を齧られ続けた事を。
ねちっこいかもしれないけど、本当に怒ってるんだから。
『洗浄』の魔法で汚れも匂いもきれいさっぱり洗い流せたとしても、セリスさんがリエラの為にって作ってくれた服を汚されまくったのは動かしようのない事実。
恨まないではいられないのです。
「なにはともあれ、『車』を牽かせる為の動物は工面できたのだから、次は『車』本体が作れるように手配するとしよう」
「……そういえば、そんな事も言ってましたね」
「うむ。――折角だから、部品を作るところからやってみると良い」
「部品から、ですか?」
ふむ……。
部品からってことは、こう、ネジとかクギとかそういったものの加工も全部?
それとも、木材なんかの素材類を入手するところから?
「素材を加工するところから始めた方が勉強になるのではないかと思うのだが、君はどうしたいかね?」
「むむむ。難しい事を聞きますね」
確かに素材の加工から学んでいった方が、自分で他の物を作ることになった時に応用がきくようになるだろう。
だとしたら、選択肢はひとつ。
「じゃあ、素材の加工から始めます」
「では、一台分の原材料の代金は工房で出すことにするから、素材を入手するところからはじめたまえ」
リエラの宣言を聞くと、アスタールさんは喋りながら何やらメモを書き始める。
なにやらブツブツ呟いているのに耳を傾けてみると、どうやらリエラが手に入れてこなくてはいけない素材のリストを作っているらしい。
最近気が付いたんだけど、アスタールさんって意外と、その時のノリと勢いで喋ってるよね……。
しばらくして渡されたメモに目を通して、リエラは思わず天を仰ぐ。
「アスタールさん……?」
「何かね?」
「これ、ウサギ車を作るための材料ですよね?」
「そうだが?」
「なんなんですか、これ! 内容がアバウトすぎます!」
メモに書かれていた材料は、牽引用ハーネスと車体の材料と用意すべき量だ。
ぶっちゃけ、必要な量に関してはずいぶんとたくさんの材料が必要なんだなぁって思った程度。
でも、必要な素材がすごくアバウトなんだよ。
牽引用ハーネスだと、《皮》と《金属》。
車体の場合は、《木材》と《金属》と《蛇型魔獣の皮》。
それから、座席用のクッション素材として《綿》もしくは《毛》と、《布》か《皮》。
「素材の加工は、私と共に各氏族に出向いている間に行うと良い。何を作るつもりかを説明したうえで相談すれば、どのようなものを用意すればいいか分かるはずだ」
「……素材の勉強からって事ですか」
それなりに素材に関しても勉強はしたつもりだけど、それは魔法薬や一部の魔法具で使うものに関してだけだ。
正直な話、まだまだ知らないものがたくさんある。
そういうのを学ぶのにいい機会だと、まぁそういう事なんだろうとリエラは納得して頷く。
「原材料の代金を出してくれるってことは、買っても構わないんですか?」
「うむ。入手の方法は問わない」
念の為に確認してみると、あっさりと肯定の返事が返ってくる。
自力で手に入れてこないとダメだとかなり厳しかったけど、そうじゃないと言われてほっと胸をなでおろす。
まだまだ、血に対しての耐性がつかないお陰で、《皮》の類を自分で手に入れるのは、ほぼ絶望的だからなぁ……。
「仕上がるまでには、時間がかかるだろう。まずは牽引用ハーネスから作りたまえ」
そうして作ることになったウサギ車が出来上がるのは、これから三か月後の秋の三日月も半ばに差し掛かるころ。
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リエラは、自分で作ったウサギ車で里帰りする羽目になるなんて、この時は思ってもみなかったのでした。
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