リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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回り道

アスタールの求人旅行 5

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 エルドランの街につくまでの間、鼠人族の子ども達を相手に簡単な魔法を教える。
これが思いの外楽しい経験で、弟子を採るのが想定していた以上に楽しみな気持ちになった。

「えーっと……『われもと……』?」
「『我求む』」
「あ、それそれ! 『われもとむ』」

 たどたどしく呪文を口にしながら、彼らは今、自分に使える魔法を探している。

「あ、あそこにつちまんじゅうができたよ」
「ほんとだ」
「すごいすごい! これで、また穴ぼこがあってもすぐに埋められるね!」

 彼らはきゃーきゃーわーわーと盛り上がりながら、順繰りに同じ魔法に挑戦を始めた。

「できたー!」
「あたしも~!」
「ぼくのつちまんじゅうのほうがかっこいいよ」

 どうやら、ほとんど全員が地の属性であったらしい。
一人の子を除いて、成功したのは土塊つちくれを作り出す魔法だけだった。
この魔法で作り出された土塊は栄養豊富で、植物がよく育つ。
彼らが村に帰ったあとの生活で、とても役に立つことだろう。
残りの一人が成功したのは『照明』の魔法で、これを使うためには光の属性が必要になる。
ただ、この光の属性。
実際には闇の属性と同じものだ。
光がなければ闇を認識することができないからなのだと祖父に教わったのだが、個人的には別枠でもいいのではないかと思う。
キトゥンガーデンの管理者をできる限り少ないなどという猫神の都合は、私にとってどうでもいいことだ。
……そもそもが、祖父の代わりに管理者なんてものになりたかった訳でもないのだから。
まだ見ぬ、弟子になってくれるかもしれない人物が、ついでに管理者の役目も肩代わりしてくれたら嬉しいのだが……
まあ、それは期待するだけ無駄なんだろう。
相変わらず盛り上がっている鼠人族の子供達を見て微笑ましいものを感じつつ、私はこっそりとため息を吐いた。



 道の半ばで子供達は、魔力を使いすぎて倒れ込むように眠りつく。
賑やかなのもたまにはいいが、ずっと続くというのは苦痛なものだということに、静かになった途端に気がついた。
勉強になったような気もするが、グラムナートの街に残してきた妹の成長が少し怖くなる。
彼らのように騒がしくなったらどうしよう?
いや、大丈夫だ。
少しずつ騒がしくなっていくならば、耐性もつくに違いない。
きっと。
多分……?
想像しただけで怖くなってきたので、私はそれ以上考えるのをやめることにした。

 モンスター爆誕の予感に心の中で密かに慄いているうちに、いつの間にやらエルドランの街の入街門にたどり着いていた。
ずっと見上げていると首が痛くなってくるほどに高い外壁には、大きな門がパカッと口を開いている。
人の流れを見たところ、馬車と徒歩の者とは別の手続きがあるらしい。
祭りがあるせいか、街へ入るための列が随分と長く伸びていた。
幼さゆえの回復力の高さのお陰か、目を覚ました子供達は街中から聞こえてくる音楽に合わせて元気に歌を歌って盛り上がっている。
その姿は微笑ましいもので、やはり妹の成長は楽しみかもしれないと考え直す。
うむ。
元気で活動的なのは、決して悪いことではない。

 街門で入街手続きを終えると、気のいい鼠人族の家族とはお別れだ。

「おにーちゃん、またねー!」
「うむ。仕事に困ったら、グラムナートの街にきたまえ」

 元気に手を振る子供達を見送り、宿を探す。
まだ昼にもならない早い時間から宿を探すことにしたのは、鼠人族のご婦人からそのほうが良いと強く進められたからだ。
まさか、祭の日の前後は宿を探すのが大変だとは知らなかった。
彼女の言葉通りどこもいっぱいで、なかなか宿が決まらない。
やっと見つけのは値段ばかりがやたらと高くて、部屋は狭くて不衛生というひどいものだった。
仕方がないので、部屋に『洗浄』の魔法を使って衛生状態を整える。
念の為に、今日と明日の二晩分の料金を支払ったが、明日になったらもう少し良い部屋を探すことにしよう。
そう心に決めつつ、祭りで賑わう街中へ繰り出した。
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