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帰国
コーヒーブレイク②
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「真琴先生が、一体どれだけ呑んだかって、心配してたぞ…」
アイランドキッチンから牛乳をミルクパンに入れながら理先生が奏先生に向けて発する。
「あ~、『翡翠』で呑んだ後、クラブに行ってボトル1本空けたかな?」
理先生の推察通りの答えに驚いた。
半乾きの髪をタオルでゴシゴシしながらソファーにやって来た奏先生。
徐に、理先生のノートパソコンを開き、画面を眺める。床に座り込み、
「真琴先生、そこの充電ケーブル取って?」
と僕に投げかけて来た。
床に纏められているケーブルを手渡すとノートパソコンに繋ぎながら、
「まだ兄貴、論文探しやってるんだ…。少しは進んだ?」
キッチンでカップにコーヒーを入れている理先生に投げかける奏先生。
トレーに3つカップを乗せて、こちらに向かいながら、
「進捗はあまり芳しくないな…。個別の論文をあたっているけどそれも数がそこそこあって中々時間がなくて読みきれてないのが現状だな。」
カップを、テーブルに置き斜向かいの席に座る。
奏先生は、置かれたカップに即座に手をつける。奏先生のだけ、何故かミルクが入ってなかったけど…。
僕も、
「いただきます。」
と言い、一口頂く。
「美味しい…。」
牛乳のまろやかさと、コーヒーの苦味の絶妙なバランスが何とも言えない。時折、バニラのような香りも漂う。
「隠し味に、バニラシロップをちょっとだけ入れて見たけど、どうかな?」
「すごく美味しいです。カフェで飲むのより下手したら美味しいかも知れないですよ!」
と、素直な感想を伝えた。
「喜んで頂けたようで嬉しいです。」
理先生が喜んでくれた。
「あのぉ~、さっきから論文の話をされてましたけど、よければ詳しくお聞きしてもいいですか?」
1人だけ蚊帳の外に置いておかれるのが寂しく感じて口に出した僕。
「今、私が筆頭で書いている論文の根拠付けの論文を探しているんだ。テーマは【循環器領域における性個体の特異性】なんだが、βを基準として捉えたら、αは心臓の収縮力、循環血液量、血管壁の厚みなどに於いては高い数値が出ている。一方で、Ωはαとは真逆で低い数値を呈している事の裏付けを取るための論文を探しているんだが、中々見つからなくてね。ここ数週間行き詰まっている状態なんだ。」
理先生が話してくれた。
「僕の荷物って、何処にありますか?」
そう尋ねると、
「階段下のフリースペースにおいてあるけど、どうした?」
と理先生が不思議そうに聞くので、
「そのお手伝い、僕出来そうなんで…。」
と言い、階段下のフリースペースからかばんを持って戻った僕は、奏先生のように床に座り込んだ。
かばんから素早くノートパソコンとUSBケースを取り出し、ノートパソコンの電源を入れ立ち上げる。
「手伝えるって、どう言うことだよ?」
奏先生が少しイラっとした口調で聞くので、初期画面になった画面を確認してから
「去年、キャロライン教授と共同である論文を学会で発表しました。タイトルは【各性個体における循環器領域の特徴における評価】…。先程、理先生の言っていた裏付けとなりうる論文です。」
ピシャリと言い切り、目的である論文が入っているファイルのロックを解除した。
ファイルを開き論文の内容が読めるようにし、ノートパソコンを理先生の方へ見えるように差し出した。
奏先生も気になったのだろう。理先生のそばに駆け寄って一緒に画面を覗き込んだ。
アイランドキッチンから牛乳をミルクパンに入れながら理先生が奏先生に向けて発する。
「あ~、『翡翠』で呑んだ後、クラブに行ってボトル1本空けたかな?」
理先生の推察通りの答えに驚いた。
半乾きの髪をタオルでゴシゴシしながらソファーにやって来た奏先生。
徐に、理先生のノートパソコンを開き、画面を眺める。床に座り込み、
「真琴先生、そこの充電ケーブル取って?」
と僕に投げかけて来た。
床に纏められているケーブルを手渡すとノートパソコンに繋ぎながら、
「まだ兄貴、論文探しやってるんだ…。少しは進んだ?」
キッチンでカップにコーヒーを入れている理先生に投げかける奏先生。
トレーに3つカップを乗せて、こちらに向かいながら、
「進捗はあまり芳しくないな…。個別の論文をあたっているけどそれも数がそこそこあって中々時間がなくて読みきれてないのが現状だな。」
カップを、テーブルに置き斜向かいの席に座る。
奏先生は、置かれたカップに即座に手をつける。奏先生のだけ、何故かミルクが入ってなかったけど…。
僕も、
「いただきます。」
と言い、一口頂く。
「美味しい…。」
牛乳のまろやかさと、コーヒーの苦味の絶妙なバランスが何とも言えない。時折、バニラのような香りも漂う。
「隠し味に、バニラシロップをちょっとだけ入れて見たけど、どうかな?」
「すごく美味しいです。カフェで飲むのより下手したら美味しいかも知れないですよ!」
と、素直な感想を伝えた。
「喜んで頂けたようで嬉しいです。」
理先生が喜んでくれた。
「あのぉ~、さっきから論文の話をされてましたけど、よければ詳しくお聞きしてもいいですか?」
1人だけ蚊帳の外に置いておかれるのが寂しく感じて口に出した僕。
「今、私が筆頭で書いている論文の根拠付けの論文を探しているんだ。テーマは【循環器領域における性個体の特異性】なんだが、βを基準として捉えたら、αは心臓の収縮力、循環血液量、血管壁の厚みなどに於いては高い数値が出ている。一方で、Ωはαとは真逆で低い数値を呈している事の裏付けを取るための論文を探しているんだが、中々見つからなくてね。ここ数週間行き詰まっている状態なんだ。」
理先生が話してくれた。
「僕の荷物って、何処にありますか?」
そう尋ねると、
「階段下のフリースペースにおいてあるけど、どうした?」
と理先生が不思議そうに聞くので、
「そのお手伝い、僕出来そうなんで…。」
と言い、階段下のフリースペースからかばんを持って戻った僕は、奏先生のように床に座り込んだ。
かばんから素早くノートパソコンとUSBケースを取り出し、ノートパソコンの電源を入れ立ち上げる。
「手伝えるって、どう言うことだよ?」
奏先生が少しイラっとした口調で聞くので、初期画面になった画面を確認してから
「去年、キャロライン教授と共同である論文を学会で発表しました。タイトルは【各性個体における循環器領域の特徴における評価】…。先程、理先生の言っていた裏付けとなりうる論文です。」
ピシャリと言い切り、目的である論文が入っているファイルのロックを解除した。
ファイルを開き論文の内容が読めるようにし、ノートパソコンを理先生の方へ見えるように差し出した。
奏先生も気になったのだろう。理先生のそばに駆け寄って一緒に画面を覗き込んだ。
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