その体で『男友達』は無理があるだろう!?

 そいつのためなら、どんなことがあっても必ず味方でい続ける。

 俺……氷室京水(ひむろきょうすい)には昔、そう思えるほどの親友がいた。
 でもそいつは、小学2年生で転校してしまった。どうやら親の都合で、海外に引っ越してしまったらしい。
 二度と会えないかもしれない。俺は小さいながらにそう思い、泣いたのを覚えている。
 もう顔も朧気で、名前しか覚えていない。

 火咲奏多(ひさきかなた)。

 元気で、活発で、いたずら好き。誰とでもすぐに仲良くなれ、少し喧嘩っ早い。
 あいつは今、外の国でも元気でやっているのだろうか。



「火咲奏多です。よろしくお願いします」



 そんなあいつが、高校1年生の時に転校してきた。
 ──女物の、制服を着て。

「お前……女だったの!?」
「気付いてなかったの!?」

 誰もが羨むほどの美貌を手にした奏多は、昔と同じように絡んでくる。
 スキンシップは激しく、スカートでもぴょんぴょん跳ねまわり、俺の前でも平気で着替え……男女の距離感ではなく、『男友達』の距離感で接してきた。

 こんなん、好きになっちゃうでしょうが!?!?
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