上 下
4 / 4

魔法使いは見た(おまけ)

しおりを挟む
 勇者。奴は危険な存在だ。

 突然開花した才能は、魔王を封印に追い込んだ。だが、封印しただけだ。魔王が復活する可能性は消えていない。そして何より勇者が魔王になる可能性も微レ存。おっと、こういう言い方は一部に嫌われるんだったな。可能性も無きにしも非ず。と言い直しておこう。

 というわけで、今日も僕は勇者を監視している。


「おーい。サリー!一緒にストレッチやろうぜ。」

「僕の名前はサリーじゃない!」

「魔法使いなんだろ?サリーやないか。」

「だけど女の子じゃない。」

「じゃあ、サリーとちゃうかぁ。ハハハハ」

 奴がいつもやるこのやり取りは何なんだ。意味わからん。要るか?


 僕は、奴が旅を終えた後始めた『劇団』に参加させられている。歌ったり、踊ったり、お芝居したりするアレだ。男ばかりで女はいない。女がいなくて成立するのか?と思ったが、意外に成立するし、グッズが飛ぶように売れている。魔王退治の旅の支援金が終わった今、この収入はありがたい。


 最近、奴の行動が怪しい。どうも文官の女をマークしている。夕刻、彼女の執務室を見ては、舌打ちをしてイライラし始める。彼女は危険な存在なのか?確かに彼女は国の重要なポストについているし、他国の王子とも仲が良い。彼女が不正ななにかの取引をしているとみてるのか?とにかく僕も彼女のことは気にしておこう。


 結果、僕の調査によると彼女はシロだ。彼女は単なる勇者推しのオタクだ。

 クローゼットの中に勇者グッズを大量に隠し持っている。僕のは一個もなかった。僕が表紙のパンフレットは、勇者のページが開かれて壁に貼ってあった。くそっあれは僕が主役だったのに。


 ---今日はやけに勇者がおかしい。シャツは新品だし、汗をかくようなこともしない。眉間にしわを寄せて考え込んでいる。あっ、飛び出した。

 僕は、急いでネズミに姿を変え追いかける。どこにいくんだ?何が起きたんだ?

 勇者はこっそり彼女の部屋のクローゼットへと入っていった。もちろん僕も滑り込んだ。


 この後見たことはとてもじゃないが、ここでは言えない。

 とりあえず、とっても興奮した♡だって男の子だもん。とだけ言っておく。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

車いすの少女が異世界に行ったら大変な事になりました

AYU
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:646pt お気に入り:52

記憶がないっ!

青春 / 連載中 24h.ポイント:2,600pt お気に入り:2

錬金術師の性奴隷 ──不老不死なのでハーレムを作って暇つぶしします──

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:411pt お気に入り:1,372

聖域で狩られた教師 和彦の場合

BL / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:72

男’S!(オッス!)

経済・企業 / 連載中 24h.ポイント:355pt お気に入り:26

処理中です...