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121話 新たな道標 12
しおりを挟む…ダダッ、ザッザッ
「お?わあぁ!」
よろけたポラリスが声を上げる。
王都から少し離れた街道沿いの平原。
初めての乗馬に悪戦苦闘するポラリス、草原に置いた箱馬車の横に座り込み作業をするオレ。
…そして呆然ともう一頭の馬を見てるレシアナさん、口が微妙に開いている。
「本当にゴーレムだ…なんて精巧なの…」
目の前の馬ゴーレムを撫でながら呟く。
「ブラン、その人はレシアナさん。
仲間だから仲良くね」
オレがそう言うとレシアナさんの前にいた白い方の馬ゴーレムはレシアナさんに顔を擦り付け始める。
完成した馬ゴーレムを見てポラリスが一頭づつ名前をつけようと言い出し、白い方をオレが"ブラン"、茶色い方をポラリスが"ラリー"と名付けた。
「わわっ、急に懐っこく!なに?このゴーレム言葉も分かるの?」
「いや、普通の馬だって簡単な意思の疎通は出来ますよ」
「そうだけど、反応良すぎない?」
「それはまぁ、ボクがマスターですから」
ポラリスやファル爺も試したので、"精霊視"の持ち主ならある程度複雑な思念会話も出来る、ただ魔力登録しないで命令を聞くのはオレだけになっている。
まぁ、そうしないと知らないエルフに盗まれ放題になっちゃうしな。
「で、リルトくんはさらに馬車も改造してると」
「せっかくだから乗り心地良くしようかと」
ゴーレムが出来たので勢いがついたオレは馬具と馬車を買い、魔改造している。
ゴーレム作りの時にイメージからアルミやステンレスのような軽い合金も作れたので、馬車は一度バラしてそれを使って軽く丈夫な車体に変わっている。
他の部分も色々いじっているが、見た目は木目にしたり偽装してるので普通の馬車に見えるようにしてある。
「まぁ、こんなもんか」
オレは立ち上がり草を払う。
「出来たの?」
「いや、すでに完成はしてました、違和感がないか外で見て最終調整してただけです」
ダダッ、ザッ
ポラリスが戻って来て馬から飛び降りる。
「リルト、ラリーすごい」
「上手く乗れるようになったね」
「ラリーが私がどうしたいか感じて動いてくれるから、簡単に走れる」
そのあたりがただのゴーレムとE-AIゴーレムの違いだろう、この短時間でも人がどうしたいのかを学習して適した動きを出来るようになる。
「それで…やっぱりこの馬ゴーレムと馬車でルティスタに向かうつもりなのよね?」
レシアナさんがこちらを伺うように聞く。
「…騒ぎになりますかね?」
「そりゃなるわよ!どうするの?」
「…値段でも決めときます?」
「…いくらくらいなの?」
「素材代でいうと…30万くらい?」
「…絶対その値段は口にしちゃダメ。
本物の馬だって安くても100万はするのよ?」
レシアナさんは頭を抱える。
一応ファル爺に支払うと言ったが断られ、「販売する時の為に素材代金を知りたい」と言って値段だけは聞いていた。
どれもそこまで高級な素材ではないし、しいて言えばミスリルだが全身に使っていても糸のような細さだからそれほどの量じゃない。
(…うーん、これもマーカス商会に丸投げしようかな?)
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