貴方の隣で呼吸がしたい。
恋人が、死んだ。
将来を誓い合った仲だった、大切な人だった、誰よりも、何よりも愛していた。
「きみ、異世界転生って知ってるかね?」
ちょっとした顔見知りのその少年は、そんな突拍子もないことを平然と私に訊ねてきた。
喪失感が消えぬまま彼女の墓の前で立ち尽くす私に、少年は言った。
「きみの恋人はね、異世界で新しい人生を一から始めたのだよ。こことは全く別の世界さ。――もし、きみがもう一度彼女に会える方法があるとおれが言ったら、きみはどうする?」
「きみはね、異世界転移をすればいいのだよ。彼女が転生したその異世界に。まあ、ルールはいくつかあるのだがね。まず第一に、きみはこの世界での立場を何もかも捨てなければいけない。別世界の人間になるのだからね。第二に、彼女にかつてきみと彼女が恋仲だったと知られてはならない。今の彼女にはこの世界の記憶がないわけだから。第三に、きみにはこの世界と同じく、異世界でも教職についてもらう。そして別世界の彼女はきみの生徒になる。だから大っぴらに彼女に迫ったりはできない。立場上ね」
俄かには信じ難い話を、少年は饒舌に語って。
そして、彼は意味深に笑った。
「以上を踏まえて、だ。きみ、異世界転移に興味はあるかね?」
「おれなら、きみの願いを叶えてあげられるのだよ」
「――なんたって、おれは、『神様』だからね」
普段の私なら、馬鹿馬鹿しいと一蹴していただろう。
それでも。
それでも最愛の存在を失った私は、彼が差し伸べて来た手を縋るように握って。
――愛する彼女に再び出会う為だけに、私は生まれ育った世界を簡単に捨てたのだ。
『貴方の隣で呼吸がしたい。』は死んで異世界転生した恋人に異世界転移で会いに行った主人公がヒロインをただひたすら想い続けるラブストーリーです。
※ヒロインの柊木小夜ちゃん含む大半の登場人物の設定は海月水母さん(@unatuki_minamo)にお借りしました。ありがとうございます!
将来を誓い合った仲だった、大切な人だった、誰よりも、何よりも愛していた。
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「きみの恋人はね、異世界で新しい人生を一から始めたのだよ。こことは全く別の世界さ。――もし、きみがもう一度彼女に会える方法があるとおれが言ったら、きみはどうする?」
「きみはね、異世界転移をすればいいのだよ。彼女が転生したその異世界に。まあ、ルールはいくつかあるのだがね。まず第一に、きみはこの世界での立場を何もかも捨てなければいけない。別世界の人間になるのだからね。第二に、彼女にかつてきみと彼女が恋仲だったと知られてはならない。今の彼女にはこの世界の記憶がないわけだから。第三に、きみにはこの世界と同じく、異世界でも教職についてもらう。そして別世界の彼女はきみの生徒になる。だから大っぴらに彼女に迫ったりはできない。立場上ね」
俄かには信じ難い話を、少年は饒舌に語って。
そして、彼は意味深に笑った。
「以上を踏まえて、だ。きみ、異世界転移に興味はあるかね?」
「おれなら、きみの願いを叶えてあげられるのだよ」
「――なんたって、おれは、『神様』だからね」
普段の私なら、馬鹿馬鹿しいと一蹴していただろう。
それでも。
それでも最愛の存在を失った私は、彼が差し伸べて来た手を縋るように握って。
――愛する彼女に再び出会う為だけに、私は生まれ育った世界を簡単に捨てたのだ。
『貴方の隣で呼吸がしたい。』は死んで異世界転生した恋人に異世界転移で会いに行った主人公がヒロインをただひたすら想い続けるラブストーリーです。
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