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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略
第329話 迷宮都市 リースナーの子供達へのプレゼント 2
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子供達が食べるには、かなりボリュームがある『フィッシュバーガー』を口を大きく開けてかぶりついていく。
「美味し~い!」
と食べた子供達がまた大合唱だ。
ニコニコと笑顔で口一杯に頬張る姿が可愛らしい。
『フィッシュバーガー』の味を確かめた後で『シチュー』を飲み、またその味に感激している。
「お姉ちゃん。この白いスープには何が入っているの!?」
「そのスープには、ミルクカウという魔物の牛乳が入っているのよ。後の隠し味はひ・み・つ!」
「お姉ちゃんの作る料理は秘密が一杯だね~」
リースナーを活動拠点にしていた時、子供達の家に様子を見に行った際作ったスープにはコンソメを入れていたから覚えていたんだろう。
あの時も質問されて秘密だと答えた気がする。
『キッシュ』と『フライドポテト』が一緒に盛られた皿も大好評だった。
卵(1個200円)は異世界では高額だし、塩味が利いた『フライドポテト』はカリっとして中はホクホクの状態。
子供達は手が止まらず次々と口に入れていた。
そんな様子を見ながら私達も夕食を取る。
ここでも兄達は子供達を微笑ましく見ていた。
赤ちゃんかぁ~。
ここが日本なら、代理出産とかもう少し可能性はあったんだけど……。
異世界の医療は、全く進んでいないから体外受精は無理だろう。
そなると非常に原始的な方法を試すしかないので、倫理的に兄は受け付けないと思う。
実の兄妹である兄の子は産めないけど、旭の子だったらいけるかな?
ちょっと考えてしまい、なんだか脳がぐるぐるしたので思考を中断した。
子供の事は兄達2人に任せよう。
もしお願いされたら……その時考えればいい。
子供って1回じゃ出来ないよね……。
2食続けての『フィッシュバーガー』は、流石に胃が靠れそうなので私は『ナン』だけに変更。
兄達は食べ盛り? なので問題ないらしい。
食後のデザートはダンジョン産の桃だ。
皿に盛ったカット済みの桃を渡すと、小さな子供から先に食べさせてあげている。
年長者は、この数年で親代わりが出来るまでに成長している事を実感する。
こんな風に一緒の家に住む事で家族になっていくんだろう……。
血の繋がりなんて、本当は些細な物なのかも知れない。
食事も終わったのでメインのプレゼントを渡そう。
年齢の低い子から順に並んでもらい、防寒着&防寒具をサイズ別に手渡していく。
隣では兄達が使い方の説明をしている。
夕食を食べ終わった頃には少し寒くなっていたので、子供達はポンチョを着て帰るようだ。
サヨさんの知り合いが編んでくれたポンチョは、ひとつとして同じ物がない。
色や柄がそれぞれ違っているので、自分の物が分かり易いだろう。
耳当てとスヌードを試した子供が暖かさで頬が緩んでいる。
耳が出ていると結構寒さを感じやすい。
同じ理由で首元をしっかり防寒するだけで、外での体感温度が大分変わるだろう。
「お姉ちゃん、もう帰っちゃうの? もう少しだけ一緒にいてほしいなぁ」
女の子に引き留められてしまった。
この子達とは滅多に会えないから寂しいと感じてくれたのかな?
よし!
力作のハンドパペットをお披露目する良い機会だ。
結局1度しか日の目を見る事が叶わなかったシンデレラの変身後の衣装。
折角作ったのだから活用しない手はない。
私はアースボールで人間が隠れるくらいの棚を作り、『シンデレラ』の人形劇を見せる事にした。
『シンデレラ』は、3人で何度も練習したので台詞もバッチリ覚えている。
勿論、原作に忠実な方の内容です。
『アマンダ出世物語』を間違っても披露する心算はない。
あれはもう完全に別物語だ。
子供達には大受けだったけどね!
初めて聞く『シンデレラ』の物語を子供達は真剣に聞いている。
ひょっとして人形劇自体を見るのも初めてなのかな?
この世界に旅芸人はいないのだろうか……。
ガラスの靴がシンデレラの足にぴったりと嵌る場面では、皆がほっとした表情を見せた。
人形劇を終えて姿を見せると子供達から拍手が送られる。
ちょっと興奮気味だ。
楽しんでくれたみたいで私も嬉しい。
そろそろ時間なので撤収作業に入る。
予定外の人形劇を披露したので、少し帰りが遅くなってしまった。
小さな子供達は、お腹一杯になって眠たくなる頃だろう。
「お姉ちゃん、美味しい料理と沢山のプレゼントをありがとう!」
「僕達、ちゃんと毎日【約束】守ってるから心配しないでね!」
「B級冒険者になったら、迷宮都市に会いに行くよ~!」
大勢の子供達に見送られ、リースナーの町を後にした。
1年の間に皆は背が伸び、しっかりと成長した姿を見せてくれた。
やがて、この子達も家を出て独り立ちする日がやってくる。
そしてまた自分達が育った家へ支援をしてあげるようになるだろう。
孤児院とは違う、新しい形の支援制度がいつまでも続く事を願いながら自宅へと戻った。
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お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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「美味し~い!」
と食べた子供達がまた大合唱だ。
ニコニコと笑顔で口一杯に頬張る姿が可愛らしい。
『フィッシュバーガー』の味を確かめた後で『シチュー』を飲み、またその味に感激している。
「お姉ちゃん。この白いスープには何が入っているの!?」
「そのスープには、ミルクカウという魔物の牛乳が入っているのよ。後の隠し味はひ・み・つ!」
「お姉ちゃんの作る料理は秘密が一杯だね~」
リースナーを活動拠点にしていた時、子供達の家に様子を見に行った際作ったスープにはコンソメを入れていたから覚えていたんだろう。
あの時も質問されて秘密だと答えた気がする。
『キッシュ』と『フライドポテト』が一緒に盛られた皿も大好評だった。
卵(1個200円)は異世界では高額だし、塩味が利いた『フライドポテト』はカリっとして中はホクホクの状態。
子供達は手が止まらず次々と口に入れていた。
そんな様子を見ながら私達も夕食を取る。
ここでも兄達は子供達を微笑ましく見ていた。
赤ちゃんかぁ~。
ここが日本なら、代理出産とかもう少し可能性はあったんだけど……。
異世界の医療は、全く進んでいないから体外受精は無理だろう。
そなると非常に原始的な方法を試すしかないので、倫理的に兄は受け付けないと思う。
実の兄妹である兄の子は産めないけど、旭の子だったらいけるかな?
ちょっと考えてしまい、なんだか脳がぐるぐるしたので思考を中断した。
子供の事は兄達2人に任せよう。
もしお願いされたら……その時考えればいい。
子供って1回じゃ出来ないよね……。
2食続けての『フィッシュバーガー』は、流石に胃が靠れそうなので私は『ナン』だけに変更。
兄達は食べ盛り? なので問題ないらしい。
食後のデザートはダンジョン産の桃だ。
皿に盛ったカット済みの桃を渡すと、小さな子供から先に食べさせてあげている。
年長者は、この数年で親代わりが出来るまでに成長している事を実感する。
こんな風に一緒の家に住む事で家族になっていくんだろう……。
血の繋がりなんて、本当は些細な物なのかも知れない。
食事も終わったのでメインのプレゼントを渡そう。
年齢の低い子から順に並んでもらい、防寒着&防寒具をサイズ別に手渡していく。
隣では兄達が使い方の説明をしている。
夕食を食べ終わった頃には少し寒くなっていたので、子供達はポンチョを着て帰るようだ。
サヨさんの知り合いが編んでくれたポンチョは、ひとつとして同じ物がない。
色や柄がそれぞれ違っているので、自分の物が分かり易いだろう。
耳当てとスヌードを試した子供が暖かさで頬が緩んでいる。
耳が出ていると結構寒さを感じやすい。
同じ理由で首元をしっかり防寒するだけで、外での体感温度が大分変わるだろう。
「お姉ちゃん、もう帰っちゃうの? もう少しだけ一緒にいてほしいなぁ」
女の子に引き留められてしまった。
この子達とは滅多に会えないから寂しいと感じてくれたのかな?
よし!
力作のハンドパペットをお披露目する良い機会だ。
結局1度しか日の目を見る事が叶わなかったシンデレラの変身後の衣装。
折角作ったのだから活用しない手はない。
私はアースボールで人間が隠れるくらいの棚を作り、『シンデレラ』の人形劇を見せる事にした。
『シンデレラ』は、3人で何度も練習したので台詞もバッチリ覚えている。
勿論、原作に忠実な方の内容です。
『アマンダ出世物語』を間違っても披露する心算はない。
あれはもう完全に別物語だ。
子供達には大受けだったけどね!
初めて聞く『シンデレラ』の物語を子供達は真剣に聞いている。
ひょっとして人形劇自体を見るのも初めてなのかな?
この世界に旅芸人はいないのだろうか……。
ガラスの靴がシンデレラの足にぴったりと嵌る場面では、皆がほっとした表情を見せた。
人形劇を終えて姿を見せると子供達から拍手が送られる。
ちょっと興奮気味だ。
楽しんでくれたみたいで私も嬉しい。
そろそろ時間なので撤収作業に入る。
予定外の人形劇を披露したので、少し帰りが遅くなってしまった。
小さな子供達は、お腹一杯になって眠たくなる頃だろう。
「お姉ちゃん、美味しい料理と沢山のプレゼントをありがとう!」
「僕達、ちゃんと毎日【約束】守ってるから心配しないでね!」
「B級冒険者になったら、迷宮都市に会いに行くよ~!」
大勢の子供達に見送られ、リースナーの町を後にした。
1年の間に皆は背が伸び、しっかりと成長した姿を見せてくれた。
やがて、この子達も家を出て独り立ちする日がやってくる。
そしてまた自分達が育った家へ支援をしてあげるようになるだろう。
孤児院とは違う、新しい形の支援制度がいつまでも続く事を願いながら自宅へと戻った。
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