継承者たち

禁忌と呼ばれる技術というのは、どんな時代にも世界にも存在する。その数は決して多いわけではないにしても、世界全体に影響を及ぼす力は絶大で、だからこそ時の権力者たちは、その『力』を欲した。世界を蹂躙せしめる特別な力を。

私はその『力』の存在を、ある特別な書庫に置かれている埃をかぶった本の中で知った。知ったところで私は脆弱な一人の人間の女に過ぎないので、ただその本をイタズラに読んで、そっと閉じた。

誰かが気の迷いで描いた、バカみたいな空想絵巻だと思い込んで。そういう間違いが、私の人生には往々としてある。平たい話が、もっと人生の早い段階でその事実を事実として認識することが出来ていたならば、多分、もっと違った、幸せな人生を歩む手伝いくらいにはなったような気がする。

だけれど結果として、そうはならなかった。

ーーーー

今、私の目の前には、世界中からかき集められた精鋭の軍勢がいる。狭い谷間で、私一人を(正確には仲間も含めた一部の人間たちを)討伐する為に、将軍たちから命じられて息を巻いている。

私は後ろを振り返るけれど、そこにいる仲間たちは誰一人として悲観的な顔を私に向けてはいない。皆サーカスを楽しむかのようにワクワクとした表情で、私の背中と、横顔とを見つめている。

私は彼ら、彼女らに向けて満面の笑みを浮かべて見せ、それから朗らかな口調でこう言った。世界を救うために。

(さあ、これから大冒険を始めようじゃないか。憐れな私達、人間たちの為に。)

細かな槍の先端が、遥かな先で防塁の壁の上に立つ私たちに向けて捧げられた。その矛先で貫かんとして。

私達はそれらの幾多の輝きに向けて、不敵に微笑みを浮かべて見せた。

そうして、事は始まり、事は終わるのだった。

そして、新しい扉がどこかで開き始める。

どこかで、そっと。


ーーーー

不定期更新になるかもしれませんが、宜しければご一読してみてください。暇つぶしにはなるかもしれません。

スマホで描くと、ちょっと腱鞘炎のような感じになりまスネ。面白い。
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