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ほどけるきもち *

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お腹の中の奥の方、そこがずっときゅうきゅう甘く泣いていて、そこをどうにかしてほしくて何度も俊君にしがみついて腰を揺らした。

「しゅ、く…おく!ぉ、くいれてよ、ぁぅう…」
「き、いち、っ…くそ、くそ!」
「あ、ぁあ、あっあ!は、ゃっぃい、イぅっ!」

僕も俊くんも酷く興奮していて、換気もせずにむせ返るような性的な匂いに包まれていた。

部屋に響くのは濡れたような音と、悲鳴じみた嬌声だ。僕の声かわからないくらい、さっきからきゃんきゃんと甘ったるい声で喘いでいる。
なんだか熱くてだるくて、お腹の中に俊くんのが行ったり来たりするたびにもっともっとと強請ってしまう。
ベッドの周りには散らかした服や、破いたパッケージ。使い終わったゴムやらティッシュやらが散乱して酷い有様だ。

僕は、もらった俊くんの服を体液でびしょびしょにしながら、腰を掴まれガツガツと揺さぶられては精液を撒き散らすの繰り返しである。

「ぁ、ぁン、っふ、ぃあ、ああっ!あ、また!またいくぅ!」
「イけ!ああ、くそ、っきいち、なぁ、かんでいいか…俺、だめだ、も…良いって、いって…!」
「ぁ、らめ、ぇっ…ひう、で、できちゃ…っかんじゃ、だ、ぇっ!」
「つくろ。な?俺と番って、きいち、おれと…赤ちゃん作ろ、なぁ…っ」
「や、ぁあ!まだ、だめぇ!!」

俊くんの我慢強い理性も、燻る熱には抗えなかったのか、さっきから僕は本能に流されないように必死だった。
僕のヒートに釣られて、アルファである俊くんの理性が焼ききれたのだ。抑制剤を僕に飲ませたまではいいのだが、自分自身にまで気が回らなかったらしい。
大好きな俊くんの切羽詰まった甘い声に、何度も流されそうになる。
腹の奥が俊くんの子供を望んでいるのが良くわかった。さっきから奥にぶつけられる俊くんの性器を、離したくないとばかりに吸い付いていたからだ。

「あ、ぁっしゅん、しゅんやだ、ぁっそこ、ぉっ」
「ここ、に!はら、め…っ、きい、ちっ…ああ、俺のきいち…!」
「ひ…ぎ!っ…あ、ぁあ、あー!!」
「ぐ、あ…っ、」

ぐぽ、と奥が大きく口を開く。腰から一気に電撃が走り下半身の感覚が更に鋭くなった瞬間、今までとは違う最奥に俊くんの性器を飲み込んだことがわかった。

眼の前が弾けるように瞬き、臍の下に俊くんの存在を感じる。ゴム越しとはいえ、そこに擦り付けるようにして何度も薄い被膜の中を暴れまわる熱い精液を受け止めると、僕はなけなしの理性で項をガードしたままガクンと突然暗幕が落ちるかのように意識が反転してしまった。


気絶する前、俊くんの焦ったような声と、何かの音がしたのだが、確認しないまま意識を手放した。
全身がだるくて痛くて、お腹の気持ちいいのも取れないまま、意識だけはふわふわのマシュマロにくるまれたような心地の良いまどろみに身を投じた。

やがて水面から徐々に上がるように僕の意識が浮上し、目を冷ましたときに真っ先に飛び込んできたのは知らない天井と、嗅ぎなれない薬品の匂いに包まれた場所だった。


















「…は…ぁ、れ…」
「っ、きいち?…きいち、わかるか?」
「し、ゅ…ここ、どこ…」
「ちょ、ちょっとまってろ、な?おきてろよ?」
「ぁ…ね、ここど、こ……」

瞼が開かないまま、声だけを頼りに当たりをつけると、何故か僕の質問に答えないまま慌てたように俊くんが何処かへ走り去っていってしまった。
縋ろうとゆるゆると上げた手は、手持ち無沙汰にも空を切ったままだ。
頭に生クリームでも詰まったのかというくらいもったりとした思考の中、ゆるゆるとまぶたを開くと自分の手であるはずのそれは、信じられないくらいに包帯で巻かれていた。慌ててもう片方の手も確認すると、同じような両腕が目に入ってきて絶句した。

「え、え?」
「きいちくん!!」
「きいち!!」
「えええ?」

なんで僕の腕がミイラになってんの!?しかもここよく見たら病院だし、声がする方を見ると何故か頬に湿布貼って頭に包帯をまいた俊くんと、真っ青な顔をした忍さんと呆れた顔のオカンがあとから入ってきた。
おい、一番最後にきたオカンは緊張感もなんもなくない?他の二人との温度差がエグすぎて余計にわけがわからなくなる。

ひとまず僕は何かをやらかしてしまったのではないか、そしてそれに俊くんを巻き込んだ気がするんだけども、僕もパニックだからちょっと思考が纏まらない。

「オカン…、なんで」
「このクソガキめ。」
「いってぇ!!!」

呆気にとられる僕の顔めがけて見事な平手をかまされた。さすがである。ただ元ヤンのオカンが手を出すときは、僕がやらかしたときしかないのである。久しぶりにぶっ叩かれたのだが、この一発分の以外は何もしてこないのをしっているので甘んじて受けた。
そしてなぜか忍さんは真っ青な顔でオカンを抑えてるけど大丈夫だよもうしてこないとおもうから。

「お前、いつから体が変だった。」
「え?」
「人様んちでヒート起こしたんだよ。」
「ヒート…え、ヒート!?」

ああ、なるほど。たしかにとんでもないことをしてしまった。
事の顛末は、俊くんが忍さんにあてた連絡らしい。

僕がヒートのような症状がでたことで、抑制剤の場所を確認した後、忍さんにオカンと連絡を取るように伝えた。部屋に行って暫く籠もるから、抑制剤がきく三時間後に殴ってでも止めに入ってほしいこと、救急車を読んでほしいことなどをあの短時間で連絡し、僕が落ち着くまで付き合ってくれたらしい。

「まじ、俊くんに感謝しろよお前。こんなできたアルファいねーよ?」
「や、ちょっと…そこは殴ってください。」
「俊は忍が殴ったろ?俺はいーって言ったのにかわいそーに。」
「きいちくんまじすまん、うちのアホがほんとに…」
「アッイヤゼンゼン…」

まじで俊くんには感謝しかないのだけれど、うちのオカンと忍さんのテンションというか、完全に置いてけぼりである。毎度思うのだがうちのオカンほ男前すぎやしないだろうか。ヤッちまったんだからしかたねーべとか、いや本当にそうなんですけどね!!

そんなよく分からない状況のなか、ずっと黙っていた俊くんが、決意をしたようにオカンに向って言った。

「晃さん、きいちを俺の番にさせてください。」

突然の一言だった。
静かにしなきゃいけないはずの病室の外に、聞こえるくらいの三人の驚愕の声が響いた。


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