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第十二話 痛手
しおりを挟む冒険者達が魔王軍の討伐に向かってから2日。
そろそろ帰ってくるだろうかと思っていたら血塗れの集団がギルドに入ってきた。
「大変だ!楽勝だと思ってた戦いだったのにボロボロにされた」
どうやら魔王軍との戦いに敗れて逃げてきたらしい。近接部隊の半分は殺され、もう半分もかなりの痛手を受けたそうだ。
遠距離部隊は早くに撤退し始めたからかほとんど犠牲者は出なかったそうだが、それでも100人以上が死んだ。
しかも、それだけの犠牲を出して、倒せた魔物はたった100体。100体もやられた事で魔物達は撤退したそうだ。
楽勝の戦いだと思っていたのに、蓋を開けてみたらボロ負け。
「ふざけるな!何が慎重に戦えば犠牲なく勝てるだ!犠牲者ばかりだぞ!何が最高でもCランク相当だ!Cランク冒険者も殺されたんだぞ!」
仲間が殺された怒りをどこに向けるべきか分からないのか、あるいは分かっているからギルドに責任を求めているのか、いずれにせよ彼らは暫く戦えないだろう。
しかし、ガリシアもこんな結果になるとは思っていなかったのだろう。目からはとまどいが読み取れる。
「……あぁ、どうしよ。この戦いは俺が仕切ってた事になってるのに。これじゃ降格するかもしれねぇじゃねぇか……」
……そうだな。あいつはあんな奴だったな。
だが、他の職員は流石に悔やんでいるようだった。
自分たちの浅はかな行動で犠牲者が出た事に。
それに、これでは魔王軍討伐どころの話ではなくなってきた。これだけの冒険者が活動出来ないとなると、町の防衛すら危うい。
しかし、ここで残りの冒険者を無理に駆り出すのは悪手だろう。
八方塞がりだ。
……結局、亡くなった冒険者の人たちの黙祷をギルドを挙げて行った後、王都に騎士団を要請したから、それまでの間冒険者達で食い止めるという結論に至ったと聞かされた。
現状それしか方法はないが、騎士団が到着するまでのひと月の間、防衛が続くとは思えない。
かなりの確率でこの街は滅びそうだが、やるしかないだろう。
というわけで、僕もいい加減ゴブリン以外の獲物と戦う事にする。
街を脅かすCランク魔物………デーモンだ。
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