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【酒呑童子】日本の鬼の総大将

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酒呑童子しゅてんどうじとは、かつて京都にある大江山おおえやまに住んでいた鬼の名前です。
大江山には鬼伝説がいくつかあり、酒呑童子もその一人です。

日本3大妖怪には、【天狗てんぐ】【河童かっぱ】【おに】がいますが、その鬼こそがまさしく酒呑童子のことだとも考えられています。

酒呑童子は大江山を根城ねじろにし、家来に多くの鬼をしたがえていました。
その中には、茨木童子いばらきどうじという非常に強力な鬼も降り、京の都を陥落かんらくさせようとたくらんでいたそうです。

それを討伐とうばつするために派遣はけんされたのが、源頼光みなもとのよりみつです。
頼光は頼光四天王してんのうと呼ばれる四人の男を従えて、大江山の酒呑童子を討ち取ろうとやってきました。

頼光四天王とは、

渡辺綱わたなべのつな
坂田金時さかたのきんとき
碓井貞光うすいのさだみつ
卜部季武うらべのすえたけ

の四人で、中でも坂田金時とは
昔話の【金太郎伝説】や漫画【銀魂ぎんたま】などの元ネタとしてとても有名ですね。

この四人で大江山に向かうことになりました。


(頼光四天王を描いた画)


しかし、相手は最強の鬼。
正面から突っ込んでは勝てるかどうかわからない。

そこで一行は山伏やまぶし(修行僧)の格好かっこうをして、酒呑童子の元へ近づきました。
彼らは素性すじょうや目的を一切明かさず、修行の中でたまたま出会った風を装います。

そして大量の酒を振る舞い、酒呑童子たちを酔わせて眠らせることができました。
その寝込みを襲われ、酒呑童子は討伐されたと言われています。

なんとも格好がつかないというか、
漫画みたいな展開ではないですねw


また大江山に伝わる鬼伝説でもう一つ有名なものがあります。
それは聖徳太子しょうとくたいしの弟である磨呂子まろこ親王しんのうによる鬼退治伝説です。


(磨呂子親王の3体の鬼退治を描いた画)


磨呂子親王は大江山に居る悪名あくみょう高い3体の鬼、
英胡えいこ】【軽足かるあし】【土熊つちぐま
を討伐するよう、天皇から勅命ちょくめいを受けました。

親王は大江山に向かう際に死んだ馬の土葬どそうに出くわします。
その時、
「これから行く鬼退治、我々が勝つのならばこの馬はよみがえる」
(「この征伐利あらば馬必ず蘇るべし」 原文)
声高々こえたかだか宣言せんげんすると、何と馬は息を吹き返しました。

また道中、ある老爺ろうやが親王に白い犬を献上けんじょうします。
その犬は鏡を持っており、これが道案内として役立ったのです。





そしてとうとう、3体の鬼を見つけて
【英胡】【軽足】
の、2体を討伐するも、
【土熊】には逃げられてしまいました。

姿を消し土熊を見つけられない中、
犬が持っていた鏡をかざすと、その中に【土熊を】が映っていました。

それを頼りに【土熊】を討伐し、見事3体の鬼の討伐を達成しました。

親王は
「これは仏の加護かごのおかげである」
と感謝しました。

磨呂子親王の話では正面から戦い討伐し、
頼光の酒呑童子討伐では酒に酔わせての奇襲きしゅうでした。


(ヤマタノオロチの画)


ヤマタノオロチ伝説においても、
スサノオノミコトはヤマタノオロチに酒を盛り、眠ったところを襲ったと言われています。
強い敵を討つには酔わせるのが一番なのかもしれませんw


京都府福知山ふくちやま市には【日本の鬼の交流博物館】という博物館があります。
そこでは様々な鬼にまつわる展示品を見ることができるので、近い方興味ある方は是非、足を運んでみてください。

(日本の鬼の交流博物館 の外観)
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