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断罪された公女、抗う

だまされる女

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(やった!この女、だまされた!)

 聖女エリカは狂喜乱舞する。

(エリカ!よくやりました!さすがわたくしの選んだ聖女です!)

 エリカの意識とつながる女神も喜色を隠せない。

 これでエリカが女神の核に触れば、その瞬間、彼女の保有する大量の魔力を吸収し自分は復活する。瞬く間に忌々しい反逆者どもを皆殺しにできる。

(女神の実体化を解いた程度で勝ったと思うなど、やはり人間は甘いこと。その油断が命取りなのですよ)

 しかし、メイリーンの次の一言が女神に衝撃を与えた。

「なお、女神の核ですが一部のみ削ってお渡しします」

(…!削る!わたくしを削るって!エリカ、ダメです!断りなさい!」

(え…、ダメなんですか?どうせ媒介なんだし、ちょっとあれば、なんとかなりません?)

 せっかく交渉が上手くいったと思ったエリカは面白くなさそうだ。

(削られすぎたら復活などできません!早く撤回させなさい!)

(ええー!もう!女神様、不便!)

 そうこうしている間に、エリカは再度、猿ぐつわを締められてしまった。

「あっ…ちょ…まっで…ぐ!」

 今度は厳重に処置され、まともに声を出すことさえできない。

(エリカ!エリカ!なんとかなさい!)

(そ、それどころじゃありません!アゴが動かない!苦しいっ!)

 エリカはパニックになり、精神状態が乱れた結果、女神からの交信を受け取れなくなる。

(エ…リカ!わたくし…力を振るえないまま…終わ…許せな…)

 女神の悔しがる声が途絶え途絶えに伝わってくる。

「無駄ですよ」

 メイリーンが床に転がる女神の核に呟いた。

「全部、聴こえてますから」

(…な!なぜ!わたくしの念話を盗聴するなど…!普通の人間にできるはずが…!)

 永きを生き精霊神の領域に差し掛かった自分。その魔法に干渉可能な人間など存在するはずがない。

(お前は何者だ!)

得体の知れない存在を目の当たりにして、長年の演技で染みついた女神の口調すら忘れる。

メイリーンは他の誰にも聴こえないよう、念話で答える。

(私は先代聖女の隠された弟子。後継者とされた者。ただ、それだけです)

(まさか…!お前は本物の…、聖女!)
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