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断罪する者たち、その結末

ヒステリーな女

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「陛下!いい加減、王位をお譲りなさい!いつまで王座にしがみつくつもりですかっ!」

 豪華なドレスに身を包んだ、キツめの顔の女がまくし立てる。美人といえなくもないが、それよりも苛烈な性質が顔立ちに出ている王妃マターノ。

 夜の国王宮、主寝室。

 マターノは老齢の国王に迫った。

 王妃の背後には彼女直属の親衛隊が控え、王を威圧する姿勢をとっている。

「だ、だめじゃ!ワシはあやつを王太子にしたことすら後悔しておる!ミセラサに権力を与えたがために、どれほどの者が不幸になったか…。ましてや王位など…」

「陛下っ!なんてことを!!」

 マターノの甲高い声が室内に響く。

「聖女エリカや宰相の支持を得ているのはミセラサではありませんか!あの子なくしては国が立ち行きません!」

 王は呆れたようにため息をつく。

「支持…じゃと。ワシには利用されているだけにしか見えん」

 激昂する王妃。

「ど、どこまで!どこまで我が子を見下しているの!あの子は大きくなった!アナタには見えていないのです!」

「我が子か…。ミセラサはワシの子ではあるまいて…」

 雷に打たれたように衝撃を受けるマターノ。

「な…なぜ…、それを…!いえ、そんな、あの子はアナタの子です!」

 王は首を振る。

「…いや、追及すまい。ワシは決めた、妃よ」

「い、今なんと!?」

「決めたと言っておるのじゃ」

 マターノの声が高くなる。

「ああ、ついに王位をお譲りになるのですね!」

 王は決意を口にする。

「お前とは離縁する。ミセラサは廃嫡とし、ワシは王位を退く」

 一瞬の沈黙。

 瞬間、女のけたたましい笑い声が響き渡る。

「アハハハハッ!おかしい!思いもしなかった!離縁だって!ミセラサを廃嫡?このジジイ!ついに耄碌した!あー、おかしい!アハハハハッ!」

 笑いが止まらないマターノ。

 王は憐れむように言葉をついだ。

「兵を退くんじゃ。このまま出ていけ。さすれば、後は穏便に済ませてやる」

 途端、王を睨めつける妃。

「ボケるのもたいがいにしなっ!だいたい、アンタ一人で離縁宣言して何になるのさ!立会人もなし、ボケ老人の言うことなんて誰一人として聞くかあっ!」

 妻だった者の悪態を悲しそうに聞き届ける王。言葉も出ない。

 「陛下よー、もういいんじゃねーかー?この女、救いようないぜー」

 野太い声と共に物陰から現れたのは、身の丈2メートルほどの大男。

 天下無双、ホウゲン大将軍だった。
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