【完結】もう我慢できないので婚約破棄してください!!逃げ出した先の伯爵家に愛されすぎてます

なか

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10話ー正体ー

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なんだこれは…聞いていないぞ
ラバルトは冷や汗を流した、警戒すべきなのは魔法を使える少女一人のみだと思っていた

だが、実際はどうだ…
魔法を使える少女がもう一人いて、さらにアジャを一発でダウンするほどの女性が現れたのだ

計算、情報、全てが間違っていた

だがラバルトの内心はまだ焦ってはいない、アジャはやられたがここからが
奴の本領発揮だ

「起きろ!!アジャ!!仕事だ!!」

ラバルトがアジャの頭に触れ
魔法を使う
それは脳に直接命令を行い、体を強制的に動かす魔法だ

(勝てる!!アジャの本領はこの頑丈な体と力だ、意識を失っているが…俺が動かせば問題はない!!)

「へぇ、まだ動けるんだねそのデカブツ」

オリビアがそう言って構える

「強気でいられるのも今のうちだ!!アジャは俺の魔法で倒れない!!ここまで騒ぎになったんだ!全員ぶっ殺してやるよ!!」

「やってみなよ」

余裕ぶるオリビアに向かってアジャは純粋な力による攻撃を行う
殴り、蹴り、頭突き、その全てが軽く鋼鉄さえ砕く威力だ

だがオリビアはまるで歩くように避け、そのままアジャの頭を掴んだ

「力だけね、昔鍛えまくった時にあんたみたいなのはいやというほど相手してきたの!!」

オリビアはそのままアジャを頭から地面に叩きつけた
彼女には力はそれほどない、だが彼女の努力による戦闘の才能がそれを実現させた
アジャの自重とオリビアの力を乗せた叩きつけは地面を大きく砕き轟音が鳴る

(あ、ありえねぇ…アジャが完全に壊された…化け物かこの女!)

いよいよ後がなくなったラバルトは最後の手段にでた
胸元からナイフを取り出し走り出す

(あの化け物から逃れるには人質が必要だ!!あの子供が狙い目だな!)

ラバルトは真っ先に狙ったのはカイエンだった
だが、その前にアリサが立ちはだかり、魔法を発動しようとした


「無駄だ!!俺にはキャンセル魔法がある!!」

ラバルトのキャンセル魔法は対象の魔法を一つかき消す事が可能だ
ひ弱な魔法使いはこの魔法があれば無抵抗も同然

だが、ラバルトの誤解は
アリサが一つしか魔法を使えないと勘違いしていたことだった

「もう、許しません!!」

アリサは自分の周りに様々な魔法を発動させる
数百を超える魔法が同時に展開されていくのだ

ラバルトは走っていた足を止めて乾いた笑い声を上げた

「こりゃ…無理だな」

呟いたと同時に数百の魔法によって吹き飛ばされ、大通りまで飛んでいく
そしてそのまま地面へと落ち、動けなくなった

ラバルトはこの時
初めて自分が天才などではないと気づく
自分は井の中の蛙なのだと知った






「大丈夫!?みんな!」

オリビア様が心配そうに駆け寄る
そうだ!ルルは!

「ルル!!大丈夫!?」

「ええ…ちょっと気持ち悪いけど大丈夫…」

カイエン様が片手を抑えながら呟く

「ふっ…この封印された邪気を使わなくてすんだな…」

「カイエン様も…助かりました、あの時、気を引いてくれたお陰です…」

私がそう言うと、カイエン様はこちらからから視線をずらす

「ぶ、無事でよかったよ…師匠も……アリサも」

「はい!」

照れているカイエン様にオリビア様が近寄る

「カイエン、あなたが守ってあげたのね」

「母君…なにか問題あるか」

そっぽ向くカイエン様をオリビア様が優しく撫でる

「あるわけないでしょ、流石あたしの息子だね」

「!!………ありがとう……おかぁさん……」

カイエン様は少しだけ泣いていたが意味深なポーズで隠していた

「さて、騒ぎにもなったから今日は退散しましょう」

「オリビア様、さっきの二人はどうしますか?」

「ふふ、大丈夫!あの人が何とかするわ」

あの人?
少し疑問に思ったが、今はルルの体調も心配なのでオリビア様に連れられて屋敷に戻る事にした



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


アリサの仕えるベルモンド家には手を出すなと

ラディウス王国では言われている
その理由の一つが、かつて誰にも止められないと言われた暴虐の令嬢

オリビアの存在が大きい

だが
そんな彼女に恋をして射止めた者がいた
現ベルモンド家の当主

ハウル・ベルモンドである
そんな彼もベルモンド家が畏怖されている理由の一つである
それはなぜか


「ハウル様、こちらが騒ぎを起こした者達です」

「うむ……」

ハウルは既に気絶しているラバルトとアジャに近づく

「どうやら気絶しているようです、どうしますか」

「うん、君は少し下がっていたまえ」

「え?は、はい」



ハウルは気絶しているラバルトに近づくと、落ちていたナイフをそのまま突き刺した


「がぁぁぁぁぁ!!!!!!」


あまりの痛みにラバルトの意識が戻った
が、ハウルは気にせずにそのまま笑顔で話かける

「おはよう、それじゃ…全て話してもらおうか」

「は……なにを……」

グリグリとハウルは笑顔のまま突き刺したナイフを回す
ラバルトの声にならない悲鳴が響いた


「君がなぜ僕の家族を狙ったのか、そのすべてをね、僕はね……家族に害をなすクズが大嫌いでね」

「あ……あ……」

ラバルトは気づいた
ハウルの笑顔は決して笑っていない、その瞳は業火のような怒りで燃え滾っていることに

ベルモンド家が恐れられている理由
それはハウル・ベルモンドの家族愛が異常であるからだった


そしてラバルトはその圧に負けて全ての情報を吐いたのであった
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