【完結】もう我慢できないので婚約破棄してください!!逃げ出した先の伯爵家に愛されすぎてます

なか

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17話ーあの子のためにー

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「おい、アジャ…こんなとこで何してんだ…ほら、戻ってこいよ」

賊達は興奮して暴れようとするアジャをなだめながら近づいた

「おい聞け、戻ってきたらまた餌をやるよ」

「え、餌!?」

「そうだ。ほら……だから俺たちの元に戻ってこ!?」

近づいてきた賊はアジャに鷲掴みにされ
そのまま投げ飛ばされる
他の者も地面にたたきつけられた


アジャは地面を叩きながら叫んだ

「餌!!いらない!!アジャはもう…もう悪い事しない!!」


そう言って
賊達に襲い掛かった




窓からその様子を見ていたラバルトは思う

(わかるぜ、アジャ……つれえよな、あの嬢ちゃん見たら、俺たちはなんて馬鹿なことしてたんだって……気づいたんだ、だからさ、俺たちが救ってやろうぜ)


ラバルトは部屋にいた全員に声を掛ける

「正面はアジャが抑えてくれるはずだ、だがまだまだ全方位に敵がいる…」

ラバルトの言葉にハウルが返した

「この騒ぎだ、直ぐに騎士団が来てくれるはずだ」

「いや、それは無理だな。あいつらには賢者と呼ばれたグラッジがいる」

ラバルトが言った瞬間
屋敷の周囲に大きな土壁ができていく
外に逃げることはできず
さらに騎士団が来ることも不可能にされた


「ほらな、今俺たちができるのはただ耐える事だ」

「く…衛兵達に直ちに防衛の用意をさせる!」

「あぁ、旦那頼んだぜ、屋敷に入られたら終わりだ…それに寝ている嬢ちゃんも起こさないようにしてくれ」

「ど、どうして?」

カイエンの問いにラバルトは答える

「記憶の追体験をしている最中だ、なにがきっかけで記憶が崩れるかわからねえ、不用意に手を出さない方がいい」

ハウルが頷く

「分かった、カイエン、オリビア、エブリンは赤子を連れてこの部屋にいてくれ」

「あなた、私がいくわ!」

「ダメだ!!」

ハウルは真剣な表情でオリビアを見つめる

「産後の身体で無理をするな、それに産まれたばかりの子のそばにはお前が一緒にいてやってくれ」

「あなた……」

「大丈夫だ、告白した時に言っただろう?俺は家族を絶対に守ってみせる……それはお前も一緒だ」

オリビアは、涙を浮かべて頷いた
ハウルはカイエンの頭を撫でて顔を合わせる

「カイエン、お前は母さんとアリサ、エブリンを…赤子を守ってやってくれ…できるな?」

「う…うん!!絶対に、絶対に守ってみせる」

「さすが、俺の子だな」


ラバルトがそっと呟く

「旦那、そろそろ」

「あぁ…ルル、君も手を貸してくれるかい?」

ルルは、真っ赤な髪を後ろで束ねて頷いた

「はい、私も友達を…アリサを絶対に守ります」

「ありがとう……」


「旦那、俺はちょいと準備してくる…絶対に役に立つから耐えていてくれ」

ラバルトはそう言って窓から飛び出した

ハウルとルルは動き出した
そして屋敷を守るため

いや

家族を
友達を

アリサを守るためにそれぞれが動き出した









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


衛兵を一ヶ所に集めハウルは指揮を執る
いまはアジャが注意を引いているおかげで攻め込まれてはいない

だが時間の問題だ


「みなも分かっていると思うが現在ベルモンド家は襲撃されている…使用人のアリサを狙ってな」

ハウルは言葉を続けた

「助けは………来ないかもしれない」

衛兵達がざわついた
動揺している者もいる、無理もない

ハウルは頭を下げた

「力を…貸してほしい、私達家族を、アリサを守るために君たちの力が必要だ…頼む」

状況は絶望的だ
士気も下がり
投げ出す者もいるかもしれない
覚悟の上だった

だが、予想は違った

痛快な笑い声が屋敷に響いたのだ

「ハウルさん、俺たちはあなた達を守るためにここにいるんですよ!」

「そうそう、賃金も貰ってますしね!!」
「賊共の相手ぐらい楽勝ですよ!」

衛兵たちは絶望どころか笑っていた
そして

「それに、狙われてるのってアリサちゃんですよね?」

「あんないい子狙うなんて最低な奴らだな」

「おれ、あの子にマフラー作ってもらったんだ、恩を返さねぇとな」

「俺も、あっつい中で水を差し入れしてくれた」

衛兵の一人がハウルに笑顔で話す


「俺たちは絶対にあなた達家族と、優しいあの子を守って見せますよ!!」


快活に笑う衛兵達に気持ちがこみ上げた
ハウルは涙を浮かべて
もう一度頭を下げた


(アリサ、君は僕たちだけじゃない、皆に愛されているんだ…だから早く帰ってくるんだ……)



「行こう、みんな」

ハウルの言葉に、衛兵達は大きく返事をした






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


衛兵達は屋敷の東と西に散って賊達の相手をした

そして北にはあの子が
ハウルに自分一人で大丈夫だと宣言して

北の守りを一任した







真っ赤な髪をなびかせて
天才と呼ばれた魔法使いは微笑んだ

ルル・マリアンヌ
アリサの初めての友達


「アリサ、はやく帰ってきなさいよ…友達の私が待ってるんだから」



彼女はそう言って
賊達の前へと歩いた




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