【完結】もう我慢できないので婚約破棄してください!!逃げ出した先の伯爵家に愛されすぎてます

なか

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最終話ー私の答えはー

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あの事件から4年が経った

屋敷はすっかり元通りだ
エブリン様も屋敷を直すために張り切っていた

「戦闘はできませんが、こういった事は得意ですので」

そう言って
色々な方々と協力し
おかげで屋敷は綺麗に戻った

衛兵さん達もあの日と変わらずに働いてくれている

少しだけ違うのは

ラバルトさんとアジャさんだ
彼らも屋敷で新たにハウル様に雇われていた

なんでもあの襲撃事件で屋敷を守った恩赦として
ハウル様の下でという条件で牢から出してもらったらしい

2人とも喜んで
今では衛兵さん達と飲み合う仲になっていた



4年の月日でベルモンド家も大きく変わった


みんなのその後の前に
一つだけ


私はカイエン様が16歳になった日に呼び出された

花畑の中、おしゃれをしたのだろうカイエン様は顔を赤くしていた
今では身長はすっかり私よりも上だ

後ろの草陰でオリビア様やエブリン様、ルルまでニヤニヤとみていたのだが
ハウル様に連れていかれていた

「カイエン様、お待たせしました」

「あ、あぁ………」

少しだけ無言が続く

「あ、あの…」

思わず私が声をかけたがカイエン様が制止する

「ちょ、ちょっと待って……」

カイエン様は深呼吸をすると、覚悟を決めたように話し出す

「あの時の事!覚えている?」

「あの時?」

「あの、あの事件の時にもう一度聞かせてほしいって言葉」

「もちろん、今でも待っていますよ?カイエン様」

私が笑顔で返すと
カイエン様は顔を真っ赤にしながら、ポケットからある物を取り出した

それは、指輪であった
綺麗な青い宝石が装飾された指輪

「あの時の言葉には続きがあるんだ!」

「カ…カイエン様?」

私は驚きで顔が熱くなるのを感じる
鼓動も早い
カイエン様と同じだ

「あの時から変わらない、俺は一目見た時から君が大好きだ…今もこれからも、ずっとだ…だから」

カイエン様は私と目を合わせて言葉を続けた


「俺はアリサを幸せにするって誓った、だからアリサとずっと一緒にいたい…君と幸せを作りたいんだ、君の幸せも…守りたい、だから!!」






「結婚してください!!!!」



花畑の中、私に言ってくださった言葉
嬉しさと共に、涙が流れた


私の答えは………………













ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「ほら、できたよアリサ」

エブリン様が私にドレスの着付けをしてくれた
真っ白なドレスで
髪も綺麗に整えられて


「ありがとうございますエブリン様」

「ふふ、あんたは孫みたいなもんさ…こんなに嬉しい事はないよ」

微笑むエブリン様
そして部屋の扉が開き
ルルが入ってきた

「おぁ!すっごい綺麗……こりゃ弟子にはもったいないかもね」

「もう!ルル!」

「ふふ、ウソウソ!!おめでとう……アリサ!」

「うん…ありがとう」

ルルは今はベルモンド家の屋敷では働いていない
なんでもこのラディウス王国では初となる魔法専門の学校を任されているのだ
ハウル様の推薦らしい

今年から、初めて生徒を迎え……教師となるらしい
そんな忙しい中来てくれたのだ

彼女いわく

「友達なんだから、当然でしょ!」

といつもの笑顔で言ってくれた


ルルに続いて小さな女の子が駆け足で入ってきて私に抱きつく

「アリサ!!おめでと!!!だいすきー!!!」

「わっ………ふふ…リゼット、ありがとう私もリゼットが大好きですよ」

「本当!?お兄ちゃんより?」

「それは、どっちもです」

リゼット、彼女はあの日産まれたオリビア様の娘だ
元気いっぱいで、私の事を本当の姉のように慕ってくれている


「こらリゼット、アリサちゃんがこま……」

続いて入ってきたオリビア様は私を見て動きが止まる

「オ、オリビア様!?」

「ア!!アリサちゃん!!可愛い!!なになに!!今まで慣れてきたけど可愛さ更新したじゃない!!ちょ!ちょおっと!!抱きついてもいいかしら!?本当に少しだけ!直ぐに済むから!一時間だけ!!」

「まずいよ!!ルル!奥様を止めるよ!」

「え?私もですか!?」

「リゼットもおかぁさん止めるよ!!」

私に向かって走り出したオリビア様をエブリン様とルル、そしてリゼットが止めた

「さぁアリサ、オリビア様に衣装が荒らされる前に早く見せにいってやりな!」

「そうそう!!弟子もドキドキしながら待ってるんだから!」

「おかぁさん!」

「ま、まってアリサちゃん!ちょっとだけだから………………あぁ、でもこれはこれで幸せかも…」

「あ、ありがとうございます!皆さんまた後で!」



私は少し駆け足で、彼の待つ部屋へ
道中、ハウル様と出会った

「アリサ、オリビアを見なかったか?」

「い、いまエブリン様達が止めてくれています」

「遅かったか……式までは我慢するように言ったのだが、私も止めてこよう」

「は、はい」

再び駆け出した私をハウル様は思い出したように呼び止めた

「そうだ、アリサ」

「?」

「君がきてから、私達は数え切れない思い出と、幸せを貰っているよ…ありがとう」

「私も……言葉にできないほど…幸せです、ありがとうございます!」

「あぁ、息子も君が来るのを心待ちにしてしているだろう行ってやってくれ」

私は頷き、彼の元へ


扉の前で深呼吸をする
髪は乱れていないだろうか、服は……?
大丈夫……よし


扉を開けると
私と同じく正装し、髪も整えられた





カイエン様がいた



いつもと変わらないはず
なのになぜか、ドキドキと胸が高鳴る
今日この日は特別で
一生の思い出となるのだから

彼はこちらを見ると笑顔を見せた

「アリサ」

「は、はひ!?」

思わずおかしな返事をしてしまうが
彼は微笑みながら
私をそっと抱きしめてくれた

「凄くきれいだよ」

「カイエン様も…」

「ふふ、ありがとうアリサ」


初めて会った日のような子供らしさは今は無くなり
すっかり大人の顔つきになったカイエン様はそっと私の額に口付けを行った

「!?」

驚いた私をからかうようにカイエン様は笑みを見せた

「今では俺をしっかり意識してくれて嬉しいよ」

「も、もぅ…」

今では昔と違い
立場が逆転してしまった気がする
私がそう思っていると
そっと、カイエン様は私の口元に手を当てる
ゆっくりと顔が近づいていくが
今度は私から口付けを行った

不意の出来事にカイエン様は顔を赤くする

「ふふ、お返しです」

そう笑った私に
カイエン様は再び口付けを行った
もう我慢できないというように

熱く、抱きしめる力が強くなっていく

私も、それに答えるように強く
腕を回した









式では大勢の人が祝ってくれた

衛兵さん達は大きな拍手で迎えてくれた
泣いている人までいる

ラバルトさんも、今日は流石に無精ひげを剃って祝ってくれている

アジャさんも喜んでいる
何でも今日のお祝いのためにオリビア様が作った
巨大なケーキを運んでくれていたのだ



私の大切なみんなも


エブリン様は涙を流していた

ルルはとびきりの笑顔で

オリビア様やハウル様
そしてリゼットも
暖かい笑顔の中

私とカイエン様の結婚式は行われた
祝福の声に包まれながら






地獄の日々だった過去


あの日
逃げ出した事に後悔なんて一切ない

逃げたっていいんだ



私はいま………凄く幸せで
これからもずっと幸せなんだから


これからは



アリサ・ベルモンドとして生きていく



この幸せは皆と共に























ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ここまで読んでいただき本当にありがとうございます

本編はここで完結です



ですが




後日談エピソードとして幾つか投稿予定です




まずはとある魔法少女の恋について
第一話を同時に公開します

もしよければ引き続き読んで頂けると嬉しいです

































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