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天才魔法少女はこの気持ちを認めない
ep2ー報告ー
しおりを挟む「ラバルト、あんた…補佐官って何をするつもりなの?」
「あぁ?俺の仕事はだな」
そう言ってラバルトは先程魔法を放ったグロスへと近づいていく
「な、なんだよ!!」
「おめぇ、さっき人に向けて魔法を放っただろ?」
「そ、それがなんだ!怒る気か!?俺には魔法があるんだ!!なんでもできるんだ!!」
グロスは近づくラバルトを警戒して
手のひらに大きな水球を作るが
「ほい、キャンセル」
ラバルトのキャンセル魔法はその水球をあっさりと打消し
「鉄拳制裁だ!」
ゴツン
痛そうな音とグロスの叫びが聞こえた
「い、いってー!!!」
「ほら、お前の魔法はなんでもできる訳じゃないんだ、あんまり自分の力を過信し過ぎるなよ」
ラバルトはニヤニヤと笑いながら
「でないと……俺みたいになっちまうぞ」
誰にも聞こえない声でそうつぶやいた
「はい、こっからはルル先生の仕事だぜ?」
「うっ……」
ラバルトが怒った事によって
子供達も大人しく話を聞くようになった
仕事をしたという事だろう
(認めたくないけど……ハウル様がラバルトを選んだのも納得だわ)
ルルはそう思いながら生徒達の前に立つ
そして、初めての授業を行った
といっても最初の内容は簡単だ
各々の魔法の力量を調べ
魔力の成り立ちやら
魔法の基礎など、眠くなるような座学を終えて今日は終わる
「それじゃあ、今日はここまで」
「疲れたー!!」
「グロスはほとんど寝てたじゃないか」
「うるせー」
男の子同士
グロスとクレインは少し言い合う
何だかんだで仲が良いようだ
反対に少女のエウィはまじめだが余り誰かと仲良くなろうとしている訳じゃないみたいだ
とはいえ、初日なので踏み込みすぎるのもよくない
最後にこれだけは彼らに言っておこう
「みんな、よく聞いてね魔法は素晴らしい力だけど使う人によって大きく意味は変わるの、みんなの力は誰かを助けるために使ってね、先生との約束」
「「「はーい」」」
「はい、よろしい」
生徒達が出ていくのを確認しながらルルは一息つく
(何とかなった、ヤンチャそうなグロスもあの後私が魔法を見せたら言うことを聞くようになったし…ひとまずは安心かな)
そう思っていると
ラバルトが笑みを見せながら拍手した
「いや、良かったぜルル先生」
「なんです、からかってるの?」
「いや、本当だって…特に最後の一言なんて昔の俺に聞かせてやりたいぜ」
ラバルトは言葉を続ける
「俺がガキの頃にもあんたみたいに魔法を教えてくれる人がいればな」
「……当然です、私はあなたやあの賢者のように魔法を悪用させないように教育するために教師になったんですから」
「そりゃ大層なこった……頑張ってあのガキどもを導いてやってくれ」
「言われなくても!それよりラバルト!あなたも生徒の前に出るんだから!髭に髪に服装ぐらい整えて来てください!!」
ラバルトは数か月前のアリサの式ではしっかりと整えていたのだが
今ではすっかりひげを伸ばしたおじさんだ
「へいへい」
軽い返事にルルはため息をつきながら教室を出ていく
「はぁ、頼みますよ…あの子たちを導くのは、私達なんだから」
「!……あぁわかった」
ルルと共に教室を出るラバルトは思った
(一緒に導くためにか…ちょっと違うんだよルル先生……俺の本当の仕事はな)
ラバルトの補佐官としての仕事は
ルルのサポートもあるが
本質は違う
このラディウス王国では件の賢者襲撃事件以降
ベルモンド家以外の貴族連中が極端に魔法使いを恐れ始めたのだ
賢者・グラッジの力は確かに一国に勝る力であった
故にラディウス王国では第二のグラッジが現れる事を恐れている
だが同時に希望を持っているのも事実だ
だから、この魔法学園に多額の寄付金が集められたのだ
幼き魔法使いが道を踏み外さないよう
教育者としてルルが選ばれ
そして
道を踏み外した者を
ラバルトが止めるために選ばれたのだ
(厄介な仕事だと思ったが、あの様子だと大丈夫そうだな……)
ラバルトはそう思いながらルルと共に建物を出た
時刻はすっかり夕方で
陽の落ちてきた街並みは人々で賑わっていた
ルルとラバルトが歩き出そうとした時
遠くから人影が走ってきた
「ん?なんだあれ?」
「え?」
ラバルトの問いかけにルルも反応して同じ方向を見る
大きな人影がこちらに走ってくるのだ
あれは………………
「アジャか?なにしてんだあいつ」
アジャがその巨体を揺らしてこっちに走って来ているのだ
息を荒くしながらこちらを見てアジャが叫んだ
「た、たいへん!!アジャ!!伝えにきた!!」
「!?……アジャ!何があったんだ!」
ラバルトの叫びの返答にアジャは必死に答えた
「ア、アリサちゃんが!!大変なんだ!!」
「アリサが!?」
今度はルルが大きく叫んだ
アジャはようやく辿り着き
息を荒くしている
「なにがあったの!?アリサになにが!?」
「落ち着け、アジャ…喋れるか?」
アジャは息を整えて
「アリサちゃんが、アリサちゃんが………」
「妊娠したって!」
その言葉を聞いて
一瞬二人は固まったが
ルルはすぐさま満面の笑みを浮かべて走り出した
「私!行ってくる!!」
「あ、おい………まあそりゃそうなるわな……」
ラバルトは笑いながら
同時に心からの祝福の気持ちで満たされた
(俺たちが救ったあの嬢ちゃんがね)
初めて力を誰かのために使ったあの日のお陰で
幸せを作り出すことができた
そんな誇らしい気持ちと共に、ラバルトとアジャは屋敷に戻っていった
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